推し活は月いくら?最新調査データで見る平均支出と内訳【2026年版】
ファンは推し活に、月いくら使っているのでしょうか。商品やサービスを企画する企業にとって、支出額は価格や販売計画を考える参考になります。ただし、SNSで目立つ購入例や調査の平均額だけでは、顧客の予算を捉えきれません。

そこで、2025年から2026年に発表された主要な調査を並べ、平均・中央値・年代別・内訳という順に整理しました。市場全体の規模については推し活の市場規模はいくら?にまとめてあるので、この記事は「一人あたり」の話に絞ります。
結論:平均は年20万円、中央値は年4万円
まず、平均と中央値が表すものの違いを押さえておきます。中央値は、支出額の順に並べたとき、ちょうど真ん中にいる人の金額です。
CDGとOshicocoの「第3回推し活実態アンケート調査」では、年間支出の平均と中央値に大きな差がありました(マナミナによる調査解説)。
| 指標 | 年間の支出 | 月に換算した金額 |
|---|---|---|
| 平均 | 209,716円 | 約1万7,000円 |
| 中央値 | 4万円 | 約3,300円 |
両社は2026年1月15〜22日に、15〜69歳の男女23,125人を対象に調査を行い、2月4日に結果を発表しました。
月換算でも、平均と中央値には約5倍の開きがあります。平均を「みんなの標準」と読むと、実感と大きくずれます。 一部の高額支出者が平均を押し上げるためです。
同じ調査では、前年の平均255,035円から金額が下がった一方、推し活をしている人の割合は増えています。参加者の広がりと平均支出の変化を、合わせて見る必要があります。
主要調査の一覧(2025〜2026年発表)
| 調査(発表元) | 主な金額・割合 |
|---|---|
| 第3回推し活実態アンケート調査(CDG・Oshicoco) | 年間平均209,716円/中央値4万円 |
| 26年最新推し活調査(ビデオリサーチ ひと研究所) | 月10万円以上は20代で1.9% |
| コンテンツファン消費行動調査2025(博報堂DYグループ) | 1人あたり85,137円(11ジャンル計) |
| 「オタク」に関する消費者アンケート調査(矢野経済研究所) | 年間平均50,472円(31分野) |
| 推し活と金銭感覚・消費傾向に関する調査(メルペイ) | 支出管理に悩む人が63.3% |
| 遠征消費調査(Oshicoco) | 遠征1回あたり平均約5.9万円 |
金額を見る際は、発表時期と調査対象も合わせて確認します。
| 発表元 | 発表時期・調査対象 |
|---|---|
| CDG・Oshicoco | 2026年2月発表/15〜69歳 23,125人 |
| ビデオリサーチ ひと研究所 | 2026年3月発表/15〜69歳 本調査2,639人 |
| 博報堂DYグループ | 2025年8月発表/全国15〜69歳 1万人 |
| 矢野経済研究所 | 2025年12月発表/15〜69歳 1万人 |
| メルペイ | 2025年12月発表/18〜69歳 4,707人(うち推し活600人) |
| Oshicoco | 2026年4月発表/推し活層 664件 |
表の金額は、そのまま大小を比べられるものではありません。調査ごとに対象者や、支出として数える範囲が異なるためです。
なぜ調査ごとに数字が違うのか
違いを理解するには、「誰に聞いたか」「何を数えたか」「本人が推し活と捉えているか」の三つを確認します。
1. 誰に聞いたかが違う
「推し活をしている」と自認する人だけに聞けば、金額は当然高く出ます。矢野経済研究所の調査は「オタク」31分野の消費者全体を母数にした平均のため、5万円台にとどまります(矢野経済研究所のリリース)。同調査では「推し」がいるオタクは64.2%でした。
2. 何を数えたかが違う
博報堂DYグループの「コンテンツファン消費行動調査2025」の金額は、11ジャンルへの支出を合算したものです。対象はドラマ・アニメ・マンガ・映画・音楽・ゲーム・スポーツなどです。1人あたり85,137円で、前年より6,034円増え、2011年の調査開始以来の最高額を記録しました。一方で、支出する人数自体は減る傾向にあります(日経クロストレンドの解説)。金額は伸び、人数は減る傾向にあり、支出は熱心な層に集中しつつあります。
3. 自覚の有無が違う
メルペイが2025年10月30日に発表した調査は、この論点を正面から扱っています。推し活をしている自覚がない「無自覚推し活層」は、約6割(57.9%)を占めました。この層でも、「好き」への支出は月平均3.9万円ありました(メルペイの発表)。自覚がない人の支出は、推し活を対象にした調査には含まれません。
数字を引用するときは、金額の横に「調査名・発表元・年・対象」を添えます。これだけで、ほとんどの食い違いは説明がつきます。
年代とジャンルで、使い方の中身が変わる
推し活の数字は、年代別に見ると違った傾向が分かります。ビデオリサーチ「ひと研究所」が2026年3月25日に発表した調査では、「推しがいる」人が40.9%と初めて4割を超えました。20代に限れば約6割です。さらに、月10万円以上を使う層は20代で最も多い(1.9%、推計およそ14万人規模)という結果でした(ビデオリサーチの調査結果)。
支出の中身も、年代で分かれます。
| 年代 | 支出の中心 |
|---|---|
| 10〜40代 | グッズ購入が中心。点数が増えやすく、月ごとの変動が大きい |
| 50〜60代 | 作品購入やライブチケットなど、体験・作品への支出が優位 |
若い層ほど「持つ」ことに、上の層ほど「行く・観る」ことにお金を使う傾向があります。前年のCDG調査(2025年1月発表)では、年間支出額が最も高いのは35〜39歳男性で44万5,565円でした。次いで40〜44歳男性、女性では30〜34歳が最上位です。「推し活は10代女性のもの」という像は、金額の面ではすでに実態と合っていません。
支出の内訳を3つの層で見る
推し活費を次の三層に分けると、自社商品以外にどのような支出があるかを整理できます。
- 直接支出:チケット・グッズ・CD・ファンクラブ会費・投げ銭。推しや権利元へ届く支出
- 周辺支出:交通費・宿泊費・現地の飲食・雑誌。推しには届かないが、推し活に必要な支出
- 保管・備えの費用:収納用品・保護用品・保険。あとから効いてくる支出
見落とされやすいのが二層目です。Oshicocoは2026年4月15日に、推し活層664件を対象にした遠征消費の調査を発表しました。この調査では、遠征1回あたりの費用は平均約5.9万円でした。最多回答は3〜5万円の層で、33.7%を占めます。最も費用がかかる項目として挙がったのは次のとおりです(Oshimediaの調査記事)。
| 最も費用がかかる項目 | 回答の割合 |
|---|---|
| 交通費 | 53.7% |
| グッズ・物販 | 30.5% |
| 宿泊費 | 9.5% |
つまり、遠征ではグッズ以外の移動や宿泊にも大きな予算が必要です。年間の回数と現地での過ごし方も、総額を左右します。
| 調査項目 | 回答の割合 |
|---|---|
| 年間の遠征が2〜3回 | 34.7%(最多) |
| 年間の遠征が1回 | 22.1% |
| 年間の遠征が4〜5回 | 21.1% |
| 地元グルメに支出 | 60.0% |
| 観光に支出 | 37.9% |
遠征回数と現地での支出先は別の質問です。遠征は、観光や飲食を通じて地域でお金を使う行動でもあります。
参考までに、SHIBUYA109 lab.が2019年に発表した調査では、当時の若年層の推し活年間支出は15万円と報告されていました(SHIBUYA109 lab.のレポート)。金額そのものより、6年以上前から十数万円規模の支出カテゴリだった点が重要です。
いちばんの悩みは「突発的な出費」
ファンを困らせているのは、金額の大きさよりも支出のタイミングです。メルペイが2025年12月10日に発表した調査では、推し活の支出管理に悩む人が63.3%でした。理由の最多は「予期せぬイベントやグッズ販売など、突発的な高額出費への対応が難しい」で、27.5%を占めます(メルカリのリリース)。
推し活費が家計の他の費目と決定的に違うのは、発生のタイミングを自分で決められないことです。追加公演、受注期間の短い限定グッズ、急な遠征。月々の平均で考えても、出費が来た月に払えなければ意味がありません。
同じ調査では、「循環型推し活」の実施率も報告されています。これは不要になったグッズをフリマアプリで売り、次の資金にあてる方法です。実施率は全体で16.2%、同社のカード利用者では34.7%でした。
ファンの予算の決め方チェックリスト
ファンが無理なく推し活を続けるうえでは、次のような予算の考え方が参考になります。
- 自分の家計から上限を決める:中央値の年4万円(月約3,300円)は比較の参考。生活費や必要な備えを確保し、平均額を目標にしない
- 推し活を独立した費目にする:家計簿アプリやシートで分ける。混ぜると「なんとなく足りない」だけが残る(推し活家計簿のつけ方)
- 月予算と別に突発枠を積む:追加公演と限定グッズ用に、使わない月も積み立てる(推し活貯金のやり方)
- 遠征は年間回数で管理する:調査では1回平均約5.9万円、年2〜3回が最多層。実際の行き先と回数から総額を見積もる
- 交通費を確認する:最も費用がかかる項目に交通費を挙げた人が半数を超える。移動手段や予約条件を含めて費用を比較する
- 手放す前提で整理する:使わないグッズを早めに売り、次の資金へ回す
- 年に1回、家計全体で見直す:収入や生活の変化に合わせて上限を決め直す
学生や収入が限られる時期の工夫は学生の推し活お金事情にまとめています。
キャンセルへの備えという選択肢
遠征には、行けなくなるリスクがついてきます。日本経済新聞(日経MJ)は2025年5月1日付で「推し活、2割が『遠征』キャンセルに泣く 保険の認知は1割」と報じました。遠征のキャンセルに備える少額短期保険も登場しており、2025年度グッドデザイン賞の受賞事例も出ていました。
補償の対象や免責は商品ごとに違うため、加入するなら条件の確認が前提です。使わない人が多くていい種類の備えですが、選択肢として知っているかどうかで、遠征の決め方が変わります。
推し活未来研究所メモ:ファンの予算を踏まえた商品・販売計画へ
年間平均209,716円と中央値4万円には大きな開きがあります。企業が商品を企画するとき、平均額だけを価格設定の根拠にするのは慎重でありたいところです。推し活全体への支出額が、そのまま一つの商品に使える予算になるわけでもありません。
突発的な出費への対応を悩みとして挙げた人は27.5%でした。ファンの立場では、商品を欲しいと思っていても、公演や遠征の出費と重なれば購入を見送ることがあります。企業側では、価格に加えて販売時期や、告知から購入までの期間も検討する必要があります。
野村證券は推し活消費を物価高でも底堅い分野として分析しています(野村證券ウェルスタイルの解説)。その需要を前提に購入額を増やす計画を立てる際も、顧客の予算には限りがあることを踏まえたいところです。価格や発売予定を早めに知らせる、購入を検討できる受注期間を設ける、予算に応じて選べる商品を用意する。
まとめ
- 平均と中央値:年間平均209,716円、中央値4万円。平均額だけで顧客の予算を想定しない
- 調査条件:対象・定義・自覚の有無による違いを確認し、自社の顧客に当てはまる情報を選ぶ
- 年代別の傾向:月10万円以上の高額層は20代に最も多い。別の調査では年間支出の最上位が30代後半の男性層であり、調査条件をそろえて読む
- 支出先:若い層はグッズ、上の年代は体験・作品が中心という傾向を、商品の用途を考える参考にする
- 参加費用:遠征1回は平均約5.9万円。商品代に加え、交通費や宿泊費を含む負担を考慮する
- 販売計画:突発的な出費への悩みを踏まえ、告知時期や受注期間を見直す
- 引用方法:調査名・発表元・年・対象をセットで示す
自社が届けたいファンは、何にお金を使い、どの時期に出費が重なるのか。支出データをその事情と合わせて読み、価格帯や告知時期、購入期間を検討することが、企業側に求められます。
よくある質問
推し活は平均で月いくら使っていますか?
2026年2月発表のCDG・Oshicoco調査では年間平均209,716円、月換算で約1万7,000円です。中央値は年4万円(月換算約3,300円)で、平均とは大きな開きがあります。企業が顧客の予算を考える際は、この差にも注意が必要です。
平均値と中央値はどちらを見ればいいですか?
平均値と中央値の両方を確認します。平均値は高額支出者の影響を受け、中央値は支出順で真ん中の人の金額を示します。どちらも自社商品に使える予算とは限らないため、対象顧客の支出内訳や分布も合わせて検討します。
調査によって金額が違うのはなぜですか?
誰に何を聞いたかが異なるためです。推し活と自覚している人だけに聞く調査もあれば、エンタメ全般の支出を聞く調査もあります。遠征費を含むかどうかや、対象年齢、サンプル数も調査ごとに違います。数字を使うときは調査名と対象をセットで示すと誤解が減ります。
遠征には1回いくらかかりますか?
Oshicocoが2026年4月に発表した調査では、遠征1回あたり平均約5.9万円でした。最も費用がかかる項目は、交通費が53.7%で最も多く、グッズ・物販が30.5%、宿泊費が9.5%でした。最多回答は3〜5万円の層でした。
使いすぎを防ぐにはどうすればいいですか?
ファン向けには、生活費を確保したうえで推し活の上限を決め、予定外の出費を別枠で管理する方法があります。企業側では、送料を含む総額や決済時期、受注期間を購入前に示すことで、ファンが予算を判断しやすくなります。



