Bリーグと推し活|延べ548万人、観戦前後まで続くファン体験
暗転したアリーナに選手の名前が映り、音楽に合わせて拍手が起こる。応援していた選手のシュートが決まると、隣の席からも歓声が上がる。Bリーグには試合を見る楽しさに加え、好きな選手やクラブを応援する「現場」の楽しさがあります。

ただ、入場者が増えたという数字だけで、どの演出やSNS施策が来場につながったかまでは分かりません。この記事ではリーグの公式発表と川崎ブレイブサンダースの観戦ガイドを手がかりに、初めての観戦から、試合のない日の応援までを考えます。
この記事の背景:研究所は2025年4月、Podcast第4回とnote記事「スポーツファンを“推し”に変える驚くべき仕掛けとは」で、スポーツと推し活の関係を取り上げました。本記事は、2026年の公式データと観戦案内をもとに書き直したものです。
延べ548万人の入場と、数字からは分からないこと
2026年7月14日のB.LEAGUE公式ブリーフィング では、2025-26シーズンの入場者数を548万168人と発表しています。前シーズンから63万5,059人増え、前年比113%となり、シーズン最多を更新しました。
同じ発表にあるB1の平均入場者数は5,171人、B2は3,071人です。総入場者数と1試合当たりの平均は別の指標であり、延べ入場者数を「548万人の異なるファンがいる」という意味には使えません。何度も通う人はその都度数えられます。
| 公式発表の数字 | 記事で読むときの注意 |
|---|---|
| シーズン入場者数548万168人 | 延べ人数。個人を重複なく数えたファン人口ではない |
| 前年比113% | 入場者数の比較。グッズ売上や利益の伸び率ではない |
| B1平均5,171人・B2平均3,071人 | カテゴリーごとの平均。どのクラブ・試合も同じ人数ではない |
入場者数の増加は確認できます。一方、選手の活躍、対戦カード、会場、日程、チケット販売、情報発信などの影響を、この数字だけで切り分けることはできません。「推し活施策で増えた」と結論づけるには、来場理由や初来場後の再訪など、別の調査が必要です。
公式写真で見る、初めての人にも伝わる応援
川崎ブレイブサンダースの「バスケ観戦の楽しみ方 ver.2025-26」 は、準備、来場当日、試合中、観戦後という順番で構成されています。ここでは2025-26シーズンの案内例として取り上げます。現在の開場時刻やイベント内容は、観戦する試合の公式情報で確認してください。
応援のやり方を、会場で見せる
ガイドでは、試合前にチアリーダーズ「IRIS」を見ながら応援を練習する時間を紹介しています。初めての人にとっては、「盛り上がろう」と言われるだけでなく、どのタイミングで何をすればよいかが分かる案内です。
写真では、客席に向かってポンポンを高く上げる動作が見えます。応援の見本が人の動きで示されている点に注目できます。ただし、全員が同じように声を出したり、腕を上げたりする必要はありません。静かにプレーを見たい人にも自分のペースで参加できる余地があります。
クラブが初来場者向けのページを作るなら、応援の動画と一緒に、荷物をどこに置くか、席を離れるときに何に気をつけるか、困ったときに誰に聞くかも案内したいところです。応援に慣れている人には当たり前のことが、初めての人には分からないためです。
大きな画面で、選手とプレーを伝える
同じガイドにあるセンターハングビジョンの写真には、選手の顔、背番号、名前が大きく映っています。ガイドの説明では、このビジョンをプレーのリプレイやファウルの解説にも使うと案内しています。
選手をまだ覚えていない段階では、顔と名前が一緒に見えること自体が助けになります。試合後に「あの選手は誰だっただろう」と公式の選手紹介を開くきっかけにもなります。ただし、写真から観客満足度や集客効果まで読み取れるわけではありません。この写真と説明から確認できるのは、会場で紹介している情報と、その見せ方です。
公式動画で、試合のない日にも触れられる
観戦ガイドから案内されている公式動画に、「ダンスダンスサンダース テーマソング」のSpecial Dance Videoがあります。競技ルールの解説ではなく、クラブの音楽やダンスを楽しむための映像です。
試合結果だけを発信する場合、競技をまだ知らない人には情報の意味が伝わりにくいことがあります。音楽や選手紹介、会場の食事など、別の関心からクラブを知る方法があると、観戦までの準備をしやすくなります。動画を見た人が来場したかどうかは、再生回数とは別に確かめる必要があります。
動画などで情報を受け取る場とチケットを買う場が離れている場合は、動画の説明欄や公式プロフィールから、試合日程、会場、購入方法へ進める導線が役立ちます。投稿を増やすだけでなく、見た人が次に知りたい情報へたどり着けるかを確かめる設計です。
B.LEAGUE PREMIERは、事業と会場も審査する
2026-27シーズンに始まったB.LEAGUE PREMIERでは、競技成績による昇降格から、ライセンスにもとづく参入へと仕組みが変わりました。売上高、入場者数、アリーナなどが参入判断に関わります。
ただし、「売上12億円・平均4,000人・5,000席を全クラブが同じ条件で満たせばよい」と覚えるのは正確ではありません。初回審査の公式基準 には段階ごとの条件があり、参照するシーズンや判定時期、アリーナの整備期限も確認する必要があります。
現在の具体例として、仙台89ERSの2026年10月20日発表 では、2028-29シーズンのライセンス継続交付にあたり、2025-26シーズンの平均入場者数4,275人、売上高約17.45億円、ホームアリーナの基準への適合を報告しています。これは仙台の公表実績であり、全クラブの平均ではありません。
研究所が注目するのは、勝敗に加えて、クラブを継続して運営する条件も制度に組み込まれている点です。もっとも、売上や席数は体験の質そのものではなく、ライセンスを得れば満足度や黒字が保証されるわけでもありません。入退場のしやすさ、座席からの見え方、案内の分かりやすさなどは、実際の運営で確かめる必要があります。
初来場から再訪まで、クラブが確かめたいこと
以下は公式の統一基準ではなく、初来場者向けの案内を点検するための研究所の提案です。
| 場面 | 案内・運営で確かめること |
|---|---|
| 購入前 | 席からの見え方、総額、対象年齢、購入・入場方法を理解できるか |
| 来場前 | 最寄り駅からの道順、開場時刻、持込制限、帰路を調べられるか |
| 試合中 | 応援が分からない人や、静かに観戦したい人も過ごしやすいか |
| 観戦後 | 選手紹介、公式ハイライト、次の試合へ進む情報が見つかるか |
公式グッズを持っていないことが、来場をためらう理由にならない案内も役立ちます。ユニフォームを買うかどうかは、観戦してから選んでもよいはずです。撮影、応援用品、飲食などのルールはリーグ・会場・試合の最新案内を優先し、別のライブ会場の習慣をそのまま持ち込まないよう伝えます。
施策の評価では、延べ入場者数に加え、初来場者へのアンケート、再訪の状況、案内窓口に多い質問などを組み合わせる方法があります。音楽が楽しかった人、選手のプレーに惹かれた人、家族と出かけたかった人では、また来たいと思う理由も違うでしょう。
研究所メモ:応援する理由を、一つに決めない
好きな選手からクラブ全体を応援するようになる人も、地元のチームだから通う人もいます。箱推し と選手個人への応援は共存できますが、すべての観客をアイドルファンと同じ行動で説明する必要はありません。
Bリーグの公式事例から参考にできるのは、試合前の案内、会場での参加方法、観戦後の映像をつなげる工夫です。初めての人が迷うところを一つずつ減らし、好きになった人には、無理なく続けられる応援の仕方を用意する。スポーツの推し活を考えるとき、そうした運営の積み重ねを見ていきたいと思います。
スポーツチーム・アリーナの推し活施策のご相談は、株式会社KAZAORI まで。
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よくある質問
Bリーグの入場者数は増えていますか?
2026年7月14日の公式発表では、2025-26シーズンの入場者数は548万168人、前年比113%でした。延べ入場者数であり、重複を除いたファンの人数ではありません。
B.LEAGUE PREMIERとは何ですか?
2026-27シーズンに始まった新トップカテゴリーです。ライセンスに基づく参入で、売上高、入場者数、アリーナなども審査されます。基準は判定時期や適用条件によって異なるため、対象シーズンの公式資料を確認する必要があります。
初めて観戦するときは何を確認すればよいですか?
チケットの席種と購入・入場方法、開場時刻、会場への道順、撮影や持込のルールを確認します。応援方法や当日のイベントもクラブの試合情報で調べられます。公式グッズを買うかどうかは、観戦してから選ぶ方法もあります。



