社内推し活とは?同僚への感謝を伝える仕組みと、強制しない運用
同僚に助けてもらったことや、仕事の工夫に気づいたことを、社内でどう伝えていますか。研究所では、応援する、魅力を語る、節目を祝うといった推し活の行動を、職場の関係づくりを考える手掛かりにしています。この記事では、その見方を「社内推し活」と呼びます。

特定の施策で社員の気持ちが変わると保証するものではありません。感謝を伝える場を用意するときに、何を決め、どのように負担を確かめるかを、公開されている企業事例とともに整理します。
社内推し活と、個人の推し活を支える福利厚生は目的が違う
ライブなどに参加するための推し活休暇や手当は、社員が社外で楽しむ活動を支える制度です。一方、ここでいう社内推し活は職場の人や仕事の良さを伝え合うための考え方です。福利厚生への賛同を調べたアンケートだけで、社内の感謝共有に効果があるとは判断できません。
推し活から参考にする行動には、次のようなものがあります。
| 推し活での行動 | 職場で考えられる接点 |
|---|---|
| 魅力を自分の言葉で語る | 同僚の工夫や助けてもらったことを紹介する |
| ファンレターを書く | 感謝を短いメッセージで伝える |
| 周年や節目を祝う | プロジェクトの完了や小さな進展を共有する |
| 同じ関心の仲間とつながる | 任意の勉強会や、仕事の知識を共有する場を設ける |
これは研究所による応用の整理です。推しへの感情と、雇用関係のある職場での行動を同じものとして扱うのではなく、使えそうな部分を選んで考えます。
公式事例:MRTの紙のサンクスカードと、拠点間の共有
Uniposが公開するMRTの導入事例では、感謝を書いた紙を社内の壁へ掲示する取り組みが紹介されています。社員や支社が増える中で、手作業の集計や、離れた拠点同士でのやり取りが課題になり、デジタルの仕組みを導入したと説明されています。
写真では、短い言葉を残して他の人も見られる形が分かります。一方、共有する相手が遠くにいると、同じ掲示板を見る方法だけでは届きません。企業が参考にできるのは、紙かアプリかという好みより、誰にどのような手段で届けたいかを先に決めることです。
導入事例は取り組みを知る資料になります。ただし、サービス提供者による説明だけで、離職率や売上への効果を証明したとは扱いません。自社で試した場合も、他の制度変更や業務状況と分けて振り返ります。
始める前に決める4つのこと
1. 何を伝えるための場か
「会社を好きになってもらう」だけでは、書く内容が曖昧になります。「困ったときに助けてもらったこと」「業務で参考になった工夫」など、具体的な行動に絞ると書きやすくなります。人柄や人気だけを評価する場にしないよう、投稿の見本も用意します。
たとえば「いつもありがとう」に加え、「資料の場所を教えてくれて、引継ぎの準備が進んだ」と書くと、何に感謝しているかが伝わります。これは記載例で、実際の社員の発言ではありません。
2. 誰が見るか
本人だけ、チーム内、全社では、書ける内容が変わります。顧客名、未公開案件、個人の事情を含めないルールを決めます。写真やメッセージを採用広報へ使う場合は、社内共有の同意だけで済ませず、本人に利用範囲を確認します。
3. 参加しない選択をどう残すか
投稿しないことや、紹介を希望しないことを理由に不利益が生じない運用を考えます。全員が毎週一定数を書くノルマや、送受信数の順位づけは、感謝を伝える目的に合っているかを見直します。
読むだけの参加、本人へ直接伝える方法、公開しない連絡先など、別の関わり方も用意できます。数が少ないからと、社員に好意の表明を繰り返し求めることは避けます。
4. 運営を誰が担うか
問い合わせ、誤記の訂正、掲載をやめたいという相談を受ける担当を決めます。個人に対するからかいや、私生活への踏み込みがあったときに、運営が対応できる範囲で始めます。アプリを使う場合は、権限、閲覧範囲、保存期間、費用も確認します。
小さく試して、負担と届き方を確かめる
- 目的を一つ決める。 たとえば「チームをまたいだ手助けを知る機会を作る」と設定します。
- 少人数の有志で試す。 紙、既存の社内ツール、短い共有時間など、使える方法を選びます。
- 受け手と書き手に感想を聞く。 役に立った点、気を使った点、公開したくなかった内容がないかを確かめます。
- 続ける範囲を決める。 運営の作業時間も含め、変更する、休む、終える選択を残します。
表彰や人事評価と結びつける場合は、制度全体での公平性や説明が必要です。感謝を受け取った数を、そのまま仕事の貢献度とみなさないようにします。目立ちにくい仕事や、勤務時間・拠点による接点の違いもあります。
投稿数以外にも、運用を振り返る材料がある
| 見たいこと | 確かめ方の例 |
|---|---|
| 届けたい相手に届いたか | 部署・拠点をまたぐやり取りの有無を確認する |
| 参加が負担になっていないか | 任意の聞取りやアンケートで、書く手間や気遣いを聞く |
| 書かない人も過ごしやすいか | 非参加を問題視する言動や、公開範囲への相談を確認する |
| 運営を続けられるか | 管理時間、問い合わせ、費用を振り返る |
人数が少ない組織では、匿名の感想でも誰が書いたか推測される場合があります。回答の扱いや共有する範囲を先に説明し、困りごとは個別に相談できるようにします。エンゲージメント調査を使う場合も、数値の変化だけで施策の効果を断定しません。
推し活未来研究所メモ:感謝を伝えやすい日常から
推し活の応援は、本人が関わりたいと思って続くものです。職場へ応用するときも、会社が社員の「好き」を確かめる仕組みにするより、本人が伝えたかった感謝を届けやすくすることから始めたいと考えています。
まずは一つのチームで、どんな場面の助け合いが見えにくいかを聞きます。そのうえで、伝える方法と見せる範囲を選び、社員の感想をもとに調整します。これは、大きな制度名を掲げる前にも試せる方法です。
企業の推し活施策やファンとの関係づくりのご相談は、株式会社KAZAORIまで。関連記事:推し活マーケティングとは/ファンマーケティングとは
よくある質問
社内推し活とは何ですか?
この記事では、応援する、魅力を語る、節目を祝うといった推し活の行動を、職場の関係づくりへ応用して考える見方を指します。特定の効果が保証された制度の名称としては扱っていません。
推し活休暇や手当とは違うのですか?
推し活休暇や手当は、個人の推し活を支える福利厚生です。ここでいう社内推し活は職場の人や仕事への感謝を伝える方法を考えるものです。両者への反応や効果は分けて確かめます。
小さな会社でも試せますか?
目的を一つ決め、少人数の有志で、紙や既存の社内ツールを使って試す方法があります。書き手・受け手の負担と、運営にかかる時間を確認し、変更や中止も選べるようにします。
効果はどう確かめればよいですか?
投稿数だけでなく、伝えたい相手に届いたか、参加しない人も過ごしやすいか、書く負担や運営コストを確認します。感謝の数をそのまま貢献度としたり、調査スコアの変化だけで施策の効果としたりしないようにします。



