推し活×聖地巡礼

映画​「国宝」​の​聖地巡礼|出石永楽館・​びわ湖大津館・​京都の​歌舞練場から、​和歌山の​演目ゆかりの​寺へ​【推し活×聖地巡礼】

映画「国宝(こくほう)」で、歌舞伎役者・立花喜久雄(たちばなきくお)が舞台に立つ出石永楽館(いずしえいらくかん)。歌舞伎劇場「日乃本座」の外観になったびわ湖大津館。京都の先斗町(ぽんとちょう)と上七軒(かみしちけん)では、役者の楽屋と舞台が撮影されました。喜久雄と、師匠の息子・大垣俊介(おおがきしゅんすけ)が芸を競う物語は、現役の劇場や公開施設を組み合わせてつくられています。

食事の場面を撮った京都府八幡市の百花園(ひゃっかえん)では、ハンバーグやオムライスを楽しめます。和歌山県のホテルいとうは、レストランから岩出の街を眺められるロケ地です。道成寺(どうじょうじ)では、劇中の演目に関わる伝承を聞けます。撮影された場所と、展示や演目にゆかりのある場所を、それぞれの見どころとともに紹介します。

びわ湖大津館を訪れる二人の女性のイラスト

劇場、橋、食事の店と、演目ゆかりの寺を訪ねる

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国宝(こくほう)の訪問先11か所滋賀県大津市・兵庫県豊岡市・大阪府柏原市・藤井寺市・京都府京都市・大阪府大阪市・京都府八幡市・和歌山県岩出市(いわでし)・和歌山県日高川町(ひだかがわちょう)
実写ロケ地公開展示名前・伝承ゆかり

① びわ湖大津館

日乃本座の外観とロビー稽古の撮影地。湖畔の建物で食事もできます。

びわ湖大津館を詳しく

② 出石永楽館(いずしえいらくかん)

喜久雄と俊介の「二人藤娘(ににんふじむすめ)」と楽屋を撮影した芝居小屋。一般見学と映画の特別展示があります。

出石永楽館を詳しく

③ 出石家老屋敷(いずしかろうやしき)

永楽館とあわせて映画の特別展示を案内している公開施設です。

出石家老屋敷を詳しく

④ 玉手橋(たまてばし)

少年時代と成長後の場面を撮影した橋。白い塔と赤い欄干が特徴です。

玉手橋を詳しく

⑤ 上七軒(かみしちけん)歌舞練場(かぶれんじょう)

浪花座の舞台、稽古、曽根崎心中(そねざきしんじゅう)の客席の場面を撮影しました。

上七軒歌舞練場を詳しく

⑥ 先斗町(ぽんとちょう)歌舞練場

浪花座の楽屋口と楽屋を撮影。公演時は京都の舞踊を鑑賞できます。

先斗町歌舞練場を詳しく

⑦ 国立文楽劇場

鷺娘(さぎむすめ)の姿で舞台へ向かう場面の撮影地。公演と資料展示の施設です。

国立文楽劇場を詳しく

⑧ レストラン百花園(ひゃっかえん)

喜久雄と彰子の食事場面を撮影した洋食店。ハンバーグやオムライスを楽しめます。

レストラン百花園を詳しく

⑨ 今宮神社

京都撮影に使われた紫野(むらさきの)の神社。境内と参道を歩いて参拝できます。

今宮神社を詳しく

⑩ ホテルいとう

屋上と客室を撮影。一般利用はレストラン等で、屋上は立入禁止です。

ホテルいとうを詳しく

⑪ 道成寺(どうじょうじ)

二人道成寺(ににんどうじょうじ)の伝承に関わる寺。絵とき説法で安珍と清姫の物語を聞けます。

道成寺を詳しく

1びわ湖大津館|「日乃本座」の外観とロビーの稽古

クリーム色の外壁と二つの屋根があるびわ湖大津館と、前に立つ女性のイラスト

滋賀県大津市のびわ湖大津館は、映画で歌舞伎劇場「日乃本座」として登場します。使われたのは劇場を表す外観と、ロビーで稽古する場面。

建物は、かつて琵琶湖ホテルとして使われていました。設計したのは、東京の歌舞伎座も手掛けた岡田建築事務所です。和風の屋根を載せた外観と、洋風の内観を持つ建物で、湖に面した場所にあります。劇場らしい外観が撮影に選ばれた理由にもなりました。

現在はレストランや貸室などを備える施設です。館内で食事を楽しめるほか、湖畔には別料金で入園できるイングリッシュガーデンがあります。

映画公開後には、1階ロビーで場面写真などのパネル展も開かれました。このロケ地パネル展は終了が告知されています。

出典:滋賀県・映画「国宝(こくほう)」の滋賀ロケ地 / びわ湖大津館公式

所在地滋賀県大津市のびわ湖大津館

2出石永楽館(いずしえいらくかん)|喜久雄と俊介が「二人藤娘(ににんふじむすめ)」を舞う芝居小屋

赤提灯が下がる出石永楽館の外観と、前に立つ女性のイラスト

兵庫県豊岡市の出石永楽館では、喜久雄と俊介が「二人藤娘」を舞う場面と、楽屋の場面が撮影されました。歌舞伎の公演にも使われる芝居小屋で、公演や貸館のない日は一般見学を受け入れています。

映画の特別展示も再開しており、劇中で使われた品々を見られます。

永楽館では2008年のこけら落とし公演から歌舞伎公演が続いてきました。2025年の第十五回永楽館歌舞伎では、出演する片岡愛之助と中村壱太郎が、映画への登場と劇場への思いを語っています。

見学できる日と、観劇する日では利用方法が変わります。休館日、公演日、貸館日は通常見学ができないため、永楽館の開館カレンダーで確認してください。所在地は豊岡市出石町柳17-2です。

出典:関西広域ロケ地マップ / 但馬國出石観光協会・映画の特別展示 / 松竹・第十五回永楽館歌舞伎 / 豊岡市・永楽館で撮影した舞台と楽屋

所在地兵庫県豊岡市の出石永楽館

3出石家老屋敷(いずしかろうやしき)|永楽館とあわせて開かれる特別展示

瓦屋根、白壁、木格子が続く出石家老屋敷の外観のイラスト

出石家老屋敷では、永楽館と並行して映画「国宝(こくほう)」の特別展示が開かれています。

白い土塀と長屋門を持つ建物は、江戸時代の上級武士の住まいを伝える公開施設です。外からは平屋に見えますが、内部には隠し階段があり、天井の低い二階へ上がれます。入口の出石城下図や、館内の大名行列の道具も見学できます。

所在地は豊岡市出石町内町98-9。永楽館とは開館時間や休館日が異なります。特別展示を目当てにする場合は、現在の展示内容と公開日を観光協会の案内で確かめてから利用してください。

出典:但馬國出石観光協会・国宝の特別展示 / 出石家老屋敷の施設案内

所在地兵庫県豊岡市の出石家老屋敷

4玉手橋(たまてばし)|石川を渡る、白い塔と赤い欄干の吊り橋

白い橋塔と赤い吊り構造がある玉手橋を訪れる二人の女性のイラスト

大阪府柏原市と藤井寺市の間を流れる石川には、白い塔を連ねた玉手橋が架かっています。「国宝(こくほう)」のロケが行われた橋で、柏原市も広報誌で撮影場所として紹介しました。劇場の内部とは異なり、川と空が広く映る屋外の風景です。

橋を支えるのは、城の塔を思わせる四組の白い塔。欄干には赤色が使われています。元は道明寺駅から玉手山遊園地へ向かうために架けられた橋で、遊園地の閉園後も地域の通勤・通学路として使われてきました。

橋の上からは石川の流れと両岸を眺められます。写真を撮る際は、日常的に橋を使う人が通れる幅を空けてください。

出典:柏原市・玉手橋 / 広報かしわら2025年6月号・国宝の撮影場所

所在地大阪府柏原市・藤井寺市の玉手橋

5上七軒(かみしちけん)歌舞練場(かぶれんじょう)|稽古する役者と、「曽根崎心中(そねざきしんじゅう)」の客席

青い瓦屋根とクリーム色の壁がある上七軒歌舞練場と、手前の女性のイラスト

上七軒歌舞練場では、浪花座の舞台や舞台袖の場面が撮影されました。喜久雄たちが稽古する姿や、喜久雄の「曽根崎心中」を俊介と、喜久雄の幼なじみ・福田春江(ふくだはるえ)が客席から見つめる場面です。舞台に立つ役者の側と、それを見る観客の側を、同じ劇場の空間で描いています。

上七軒は、北野天満宮の東側に広がる京都の花街です。歌舞練場は、芸妓や舞妓が日頃の稽古の成果を披露する場所です。映画の中の浪花座という名前から訪ねた人も、実際の建物では上七軒の公演文化に触れられます。

歌舞練場の隣には、光盛大明神があります。春江が稽古場を訪ねる場面にも関わる、同じ敷地の小さな社です。通常の見学は外観が中心で、場内へ入れるのは公演や特別公開の機会に限られます。

出典:京都市メディア支援センター・上七軒の撮影場面 / 京都府観光連盟・上七軒

所在地京都府京都市の上七軒歌舞練場

6先斗町(ぽんとちょう)歌舞練場(かぶれんじょう)|「浪花座」の楽屋口と、役者の楽屋

六角窓が三つ並ぶ先斗町歌舞練場の外観と、手前の女性のイラスト

京都の先斗町歌舞練場は、劇中の「浪花座」の楽屋口や楽屋に使われました。少年時代の喜久雄と、師匠の妻・大垣幸子(おおがきさちこ)が車を降り、楽屋口に入る場面を撮影した場所です。成長した喜久雄や、師匠・花井半二郎(はないはんじろう)が過ごす楽屋も、ここで撮られています。

先斗町歌舞練場は、1927年に完成した建物です。先斗町の芸妓や舞妓が出演する「鴨川をどり」や「水明会」の会場として使われています。映画では歌舞伎の劇場に見立てられていますが、実際には京都の花街の舞踊を支える場所です。

建物の前では、映画の登場人物が劇場へ入っていく場面と、入口の位置を重ねて見られます。楽屋は公演を支える仕事場のため、通常の観光で自由に入る場所ではありません。館内を訪れる際は、その時期に開かれる公演や公開企画の案内に沿って利用します。

出典:京都市メディア支援センター・国宝(こくほう)の撮影場面 / 先斗町歌舞会公式

所在地京都府京都市の先斗町歌舞練場

7国立文楽劇場|「鷺娘(さぎむすめ)」の姿で舞台へ向かう場面

縦格子と橙色の提灯がある国立文楽劇場と、前に立つ二人の女性のイラスト

大阪・日本橋の国立文楽劇場では、喜久雄が「鷺娘」の衣装を着て、舞台へ向かう場面が撮影されました。

国立文楽劇場は、文楽をはじめとした伝統芸能を上演する施設です。文楽は、人形を操る人形遣い、物語を語る太夫、三味線の演奏で人物や場面を表す芸能。歌舞伎とは表現方法が違いますが、「曽根崎心中(そねざきしんじゅう)」など、双方で上演される作品もあります。

館内には、文楽劇場と小ホールのほか、資料展示室があります。展示の開室日は、人形や舞台に関する資料も見られる機会です。舞台裏の撮影区画は通常の展示見学には含まれません。

所在地は大阪市中央区日本橋1-12-10。公演を観る場合は作品と日時を選び、チケットを購入します。資料展示室は企画ごとに開室日が案内されるため、公演カレンダーと展示の案内を分けて確認すると、目的に合う利用日を選べます。

出典:関西広域ロケ地マップ / 国立文楽劇場公式 / 国立文楽劇場・施設案内

所在地大阪府大阪市の国立文楽劇場

8レストラン百花園(ひゃっかえん)|喜久雄と彰子が食事をした洋食店

煉瓦で縁取られた入口があるレストラン百花園と、手前の女性のイラスト

京都府八幡市のレストラン百花園では、喜久雄と、歌舞伎役者の娘・彰子が食事をする場面を撮影しました。喜久雄を演じる吉沢亮が食べたのは、ハンバーグステーキに海老フライを加えた料理。彰子役の森七菜はオムライスを食べています。

百花園は1964年にドライブインとして開店した洋食店です。店内には創業当時からのU字型カウンターがあり、青やオレンジの椅子が並びます。舞台衣装や化粧から離れた二人が、普段の服で食事をする場所として登場しました。

ハンバーグは鉄板で提供され、デミグラスソースを使います。オムライスにも同じくデミグラスソースがかかるのが店の特徴。映画の料理を手掛かりに、実際に食事を楽しめるロケ地です。料理の提供数や当日の営業は、店の最新案内で確かめてください。

所在地は八幡市八幡池ノ首14-1。旧京阪国道沿いにある営業中の飲食店なので、見学施設として立ち寄るより、食事の利用を考えて訪ねる場所です。

出典:京都市観光協会・レストラン百花園の取材

所在地京都府八幡市のレストラン百花園

9今宮神社|京都で撮影に使われた紫野(むらさきの)の神社

朱色の門と緑の柵がある今宮神社のイラスト

京都市北区の今宮神社も、「国宝(こくほう)」の京都撮影に使われた場所です。先斗町(ぽんとちょう)や上七軒(かみしちけん)の歌舞練場(かぶれんじょう)とともに、京都市が撮影を支援しました。劇場の建物が集まる中心部から離れた、紫野の神社です。

今宮神社は、疫病を鎮める祈りに由来する社です。境内と参道を歩きながら参拝でき、周辺にはあぶり餅の店もあります。所在地は京都市北区紫野今宮町21で、市バス「今宮神社前」からすぐ。境内は自由に参拝でき、社務所は9時から17時まで開いています。

出典:京都市メディア支援センター・撮影支援実績 / 京都市公式観光情報・今宮神社

所在地京都府京都市の今宮神社

10ホテルいとう|喜久雄が踊り続けた屋上と、岩出の眺め

緑の縦窓と橙色の屋根縁があるホテルいとうの外観のイラスト

和歌山県岩出市(いわでし)のホテルいとうは、喜久雄が地方のホテルの屋上で踊り続ける場面の撮影地です。

客室でも、喜久雄が眠っているところへ、興行会社の社員・竹野が起こしに来る場面が撮影されました。

撮影に使った屋上は、一般の立入りが禁止されています。来訪者が利用できるのは、最上階のレストラン「シャトレーヌ」などです。テラスからは、ロケが行われた屋上と同じ岩出市街の方向を眺められます。食事の利用を通じて、劇中の屋上の周囲に広がる風景を見られる場所です。

出典:和歌山県公式観光サイト・ホテルいとうの撮影場面と利用範囲

所在地和歌山県岩出市のホテルいとう

11道成寺(どうじょうじ)|「二人道成寺(ににんどうじょうじ)」の鐘の物語を絵ときで聞く

灯籠が並ぶ参道から道成寺の本堂を訪ねる女性のイラスト

和歌山県日高川町(ひだかがわちょう)の道成寺は、映画に登場する演目「二人道成寺」に関わる伝承の寺です。鐘に登る喜久雄と俊介の舞台の背景には、僧の安珍を追う清姫が蛇となり、安珍の隠れた鐘に巻き付くという物語があります。

道成寺では、絵巻を用いて安珍と清姫の物語を語る「絵とき説法」を聞けます。舞台で舞う白拍子(しらびょうし)や、恨みの対象となる鐘が、どのような伝承から生まれたのかをたどる体験です。映画のロケ地とは別の形で、劇中の演目を知る場所といえます。

個人の絵とき説法は、予約なしで当日申し込める体験です。

出典:和歌山県公式観光サイト・二人道成寺と絵とき説法 / 道成寺公式

所在地和歌山県日高川町の道成寺

作品をもっと知る|『国宝(こくほう)』の人物と歌舞伎の世界

撮影地で演じられた場面を、喜久雄と俊介の関係から振り返ります。続いて、映画に登場する歌舞伎の演目と、舞台をつくった俳優たちを紹介します。

喜久雄と俊介|歌舞伎の家に入った少年と、家に生まれた少年

「国宝(こくほう)」は、歌舞伎役者・立花喜久雄(たちばなきくお)の人生を描く映画です。長崎の任侠の一門に生まれた喜久雄は、抗争で父を失います。彼を引き取るのが、上方歌舞伎の名門を率いる花井半二郎(はないはんじろう)。喜久雄は半二郎の家で、実の息子である大垣俊介(おおがきしゅんすけ)と出会います。

喜久雄と俊介は、同じ師匠のもとで稽古を重ねる仲間です。ただし、歌舞伎の家との関係は異なります。俊介には、父から芸と名を受け継ぐ将来が用意されていました。喜久雄が身を置くのは、生まれて初めて触れる家の習慣と舞台の世界。二人の友情には、後継者を選ぶ師匠の判断も関わってきます。

歌舞伎では、代々受け継ぐ俳優の芸名を名跡(みょうせき)といい、その名を継ぐことを襲名(しゅうめい)と呼びます。映画で喜久雄が名乗る花井東一郎(はないとういちろう)、俊介が名乗る花井半弥(はないはんや)は、それぞれの役者としての名です。

立花喜久雄(たちばなきくお)

吉沢亮が演じる主人公。半二郎に才能を見いだされ、女性の役を演じる「女形(おんながた)」として舞台に立ちます。少年時代を演じるのは黒川想矢です。

大垣俊介(おおがきしゅんすけ)

横浜流星が演じる、半二郎の実の息子。喜久雄の親友であり、同じ舞台で競う相手でもあります。少年時代は越山敬達が演じました。

花井半二郎(はないはんじろう)

渡辺謙が演じる上方歌舞伎の看板役者。喜久雄と俊介の師匠であり、俊介の父でもある人物です。

大垣幸子(おおがきさちこ)

寺島しのぶが演じる、半二郎の妻で俊介の母。家を支えながら、喜久雄の才能にも目を向けていきます。

春江・彰子・藤駒(ふじこま)|舞台の外で喜久雄と関わる人たち

喜久雄の幼なじみ・福田春江(ふくだはるえ)を演じるのは高畑充希です。春江は喜久雄を追って大阪へ向かい、ミナミのスナックで働きます。長崎から歌舞伎の家へ移った喜久雄にとって、春江は少年時代を知る相手でもあります。

森七菜が演じる彰子は、歌舞伎役者・吾妻千五郎(あづませんごろう)の娘です。見上愛が演じる藤駒は、喜久雄が京都で出会う芸妓。彰子は喜久雄を慕い、藤駒はまだ無名の頃からその才能を見込んでいます。

三浦貴大が演じる竹野と、嶋田久作が演じる梅木は、歌舞伎の興行を担う三友の社員と社長。興行会社の二人は、若い役者に出番を用意する立場です。

出典:映画「国宝(こくほう)」公式・物語と人物紹介 / 映画公式・襲名(しゅうめい)と歌舞伎の用語

映画に登場する六つの演目と、舞台をつくった俳優たち

映画には「二人藤娘(ににんふじむすめ)」「二人道成寺(ににんどうじょうじ)」「曽根崎心中(そねざきしんじゅう)」「鷺娘(さぎむすめ)」「連獅子(れんじし)」「関(せき)の扉(と)」の六演目が登場します。恋する女性、親子の獅子、桜や白鷺の精などを演じる歌舞伎です。

二人藤娘(ににんふじむすめ)・二人道成寺(ににんどうじょうじ)|藤の精と、鐘への恨みを残す女

二人の娘が踊る、異なる二つの演目
  1. 藤の精の踊り

    二人藤娘

    大きな松に藤が絡む舞台で、二人の娘が恋する相手への思いを踊る。

  2. 鐘の伝説

    二人道成寺

    鐘の供養に訪れた、芸を見せる女性・白拍子(しらびょうし)。その姿には、鐘への恨みを残す女の霊が隠れている。

曽根崎心中(そねざきしんじゅう)・鷺娘(さぎむすめ)|恋する人物を演じる女形(おんながた)

恋する人物を演じる、女形の舞台
  1. 徳兵衛とお初

    曽根崎心中

    友人に金をだまし取られ、名誉も傷つけられた手代の徳兵衛と、遊女のお初。周囲に聞かせられない思いを仕草でも伝える。

  2. 白鷺の精

    鷺娘

    人間に恋した白鷺の精が、白い衣装の娘となり、かなわない恋の苦しみを踊る。

女形は、首や肩の動き、手の置き方、歩き方、感情を示す間などを重ね、観客へ人物を伝えます。「国宝(こくほう)」では、喜久雄がその芸を身に付け、舞台に立ち続ける姿が描かれます。

連獅子(れんじし)・関(せき)の扉(と)|親子の試練と、桜の精の争い

親子の試練と、桜をめぐる争い
  1. 親子の獅子

    連獅子

    親獅子が子を谷へ落とし、子が登ってくる伝説を踊る。長い毛を振る場面でも知られる。

  2. 関守と桜の精

    関の扉

    雪の逢坂山で、関守の関兵衛に姿を変えた大伴黒主が桜を切ろうとする。天下を狙う黒主の前に、遊女・墨染の姿をした桜の精が現れる。

出典:映画「国宝(こくほう)」公式・演目紹介(監修:児玉竜一)

歌舞伎指導と撮影|中村鴈治郎(なかむらがんじろう)の指導と李相日(りさんいる)監督の構想

本作の歌舞伎指導を担当したのは、四代目中村鴈治郎です。映画では、彰子の父である歌舞伎役者・吾妻千五郎(あづませんごろう)としても出演しました。舞台で受け継いできた所作を俳優へ伝える立場と、物語の人物を演じる立場の両方から作品に参加しています。

監督は、原作者の吉田修一(よしだしゅういち)と「悪人」「怒り」でも仕事をした李相日です。「悪人」が公開された頃から女形(おんながた)を中心にした映画を構想し、小説「国宝(こくほう)」と出会う前から、歌舞伎の世界に関心を持っていました。

脚本は奥寺佐渡子(おくでらさとこ)、撮影はソフィアン・エル・ファニ、美術監督は種田陽平(たねだようへい)です。

出典:映画公式・スタッフと出演者コメント / 李相日監督インタビュー

原作から映画、展示と映像商品へ

「国宝(こくほう)」は、吉田修一(よしだしゅういち)の小説から生まれました。原作は上巻「青春篇」と下巻「花道篇」の二冊。歌舞伎の家に入った喜久雄が、若い頃から芸を磨き、さまざまな出会いや別れを経験する長い人生を描いています。映画では、その人生を俳優の演技と舞台の映像でたどれます。

  1. 2018年9月原作の単行本上下巻が刊行原作
  2. 2019年原作が第14回中央公論文芸賞に選ばれる受賞
  3. 2021年9月7日朝日文庫版の上下巻発売書籍
  4. 2024年3月京都市内で映画のロケを実施撮影
  5. 2025年5月18日カンヌの監督週間で上映映画祭
  6. 2025年6月6日映画が日本で公開映画
  7. 2025年11月関西広域ロケ地マップ発行地域企画
  8. 2026年1月7〜28日Ginza Sony Parkで映画展と撮影写真展を開催(終了)展示
  9. 2026年2月19日作品と滋賀県・東大阪市・豊岡市がロケーションジャパン大賞グランプリ地域連携
  10. 2026年6月6日Prime Videoで見放題配信開始配信
  11. 2026年12月2日予定Blu-ray・DVD発売予定映像商品

2026年1月の映画展|主題歌の立体音響と撮影写真

東京・銀座のGinza Sony Parkでは、2026年1月7日から28日まで映画「国宝(こくほう)」展が開かれました。

3階では、主題歌「Luminance」を本編映像とともに鑑賞する空間が設けられました。作曲は映画の音楽を担当した原摩利彦(はらまりひこ)、作詞は坂本美雨、歌唱はKing Gnuの井口理です。立体音響と大型の映像を組み合わせ、劇場とは異なる展示空間で音楽を聴く企画でした。

4階では、写真家の荒井俊哉が吉沢亮の準備・撮影期間に密着した写真展も同時開催。513日間のうち5日間に撮影された写真で、舞台を演じるまでの姿が紹介されました。映画展と写真展はいずれも終了しています。

出典:Ginza Sony Park・映画「国宝」展の記録

原作を読む、映画を見返す

原作を読む場合は、朝日文庫の「国宝(こくほう) 上 青春篇」から始められます。喜久雄と俊介の青春を描く上巻に続き、下巻「花道篇」で物語の後半をたどります。

映画は2026年6月6日にPrime Videoで見放題配信が始まりました。利用時の配信条件は、各サービスの作品ページに表示されます。

Blu-rayとDVDは2026年12月2日に発売予定です。歌舞伎指導を担当した中村鴈治郎(なかむらがんじろう)、中村壱太郎、李相日(りさんいる)監督による音声解説などを収録する予定です。

出典:朝日新聞出版・国宝 上 青春篇 / Amazon・配信開始の案内 / 映画公式・Blu-rayとDVD

研究所メモ|ビジネスの視点から:撮影場所の案内を、現地の体験につなげる

「国宝(こくほう)」のロケ地には、劇場の見学、食事、伝承の絵ときなど、異なる過ごし方があります。滋賀県はロケ地マップや展示を展開し、作品と滋賀県・東大阪市・豊岡市は、2026年のロケーションジャパン大賞でグランプリを受賞しました。

地域が参考にできるのは、作品のどの場面と関わり、来訪者が何を利用できるかを結び付ける案内です。公開しない撮影区画があっても、営業中のレストランや劇場の公演など、実際に受け入れられる体験を具体的に示せます。

出典:滋賀県・第16回ロケーションジャパン大賞受賞

出典

会期・営業時間・チケットは執筆時点の情報です。お出かけ前に各公式サイトで最新の情報を確認してください。

よくある質問

映画の劇場は、そのまま見学できますか?

施設により異なります。出石永楽館は公演や貸館のない日に一般見学を受け入れています。先斗町と上七軒の歌舞練場は外観を見られますが、公演や特別公開以外に場内へ自由には入れません。

びわ湖大津館の映画パネル展は見られますか?

ロケ地パネル展は終了しています。建物の外観や、営業中のレストランなどは利用できます。

ホテルいとうの屋上に上がれますか?

撮影に使った屋上は一般立入禁止です。最上階レストランのテラスから、映画の屋上と同じ岩出市街の景色を眺められます。

道成寺は映画を撮影した寺ですか?

道成寺は、劇中演目「二人道成寺」の伝承に関わる寺です。安珍と清姫の物語を伝える絵とき説法を聞けます。

百花園では映画の料理を食べられますか?

喜久雄の食事場面では、ハンバーグステーキに海老フライを加えた料理が使われました。オムライスも紹介されています。提供数や営業は店の最新案内で確認してください。

喜久雄と花井東一郎は別の人物ですか?

同じ人物です。立花喜久雄が役者として名乗る名前が花井東一郎。大垣俊介は花井半弥の名で舞台に立ちます。

原作は一冊で完結しますか?

原作小説は上巻「青春篇」と下巻「花道篇」の二冊です。朝日文庫の上巻は「青春篇」です。

銀座の映画展はいま開催されていますか?

Ginza Sony Parkの映画展と写真展は、2026年1月28日に終了しています。

Blu-rayとDVDは発売されていますか?

2026年10月の執筆時点では、2026年12月2日の発売予定です。仕様や発売状況は映画公式の商品案内で確認できます。