国立競技場がMUFGスタジアムに/ワンピース旗艦店が新宿に500点新商品で開業【週刊推し活ニュース 2025年10月17日号】

2025年10月10日〜10月16日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードは、企業が「名前」と「場所」をIPに貸し借りした一週間でした。
三菱UFJフィナンシャル・グループが国立競技場の命名権を取得し、新呼称「MUFGスタジアム」が10月15日に発表されました。契約期間は2026年1月から2030年12月末までの5年間で、契約金額は非公開ながら国内最大規模の命名権契約になる見通しです。同じ週には、VTuber事務所ホロライブプロダクションが「hololive SUPER EXPO 2026」の開催を発表。2026年3月6日から3日間、幕張メッセで初の連続開催となります。
ファッションとマンガの世界でも大型コラボが動きました。ヴィヴィアン・ウエストウッドは連載25周年を迎えた『NANA』とのコラボレーションを発表し、東京・青山と大阪・心斎橋のブティックで限定コミックスを販売します。『ONE PIECE』は新宿マルイに公式旗艦店「ONE PIECE BASE SHOP」を12月5日にオープンすると発表し、約500点の店舗限定新商品を用意しています。
老舗ブランドと出版社が、日本発IPを世界戦略に据えた
ヴィヴィアン・ウエストウッド×NANA — 連載25周年で実現した念願のコラボ
英国発ファッションブランド「ヴィヴィアン・ウエストウッド」が10月8日、漫画『NANA』とのコラボレーションを発表しました。連載25周年を記念する企画で、矢沢あいが新たに描き下ろしたカバーを使用したコラボ限定版コミックス「NANA 25周年記念エディション第1巻」を、同ブランドの東京・青山、大阪・心斎橋のブティックで販売します。米国では書店Books-a-Millionで10月21日に、英国では書店Waterstonesで11月20日に発売予定です。発表時点ではブティックでの発売日を10月31日としていましたが、その後11月14日に延期されました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 『NANA』作中で主人公たちが実際に着こなすブランドとのコラボという「作品内の設定」を現実の商品化に転換した点が特徴です。海外の書店網まで巻き込んだ展開は、日本マンガが持つファンダムの越境力を裏付けています。自社のIPが海外でどう着られ、どう読まれているかを把握することが、コラボ相手選びの第一歩になります。
マガジンハウス博 — 創業80周年、雑誌IPを「世界へ」発信するビジョン
出版社マガジンハウスが10月10日、東京・銀座で創業80周年記念イベント「マガジンハウス博 “銀座から世界へ”」を開始しました。Ginza Sony Parkとのコラボレーション企画で、会期は10月25日まで。歴代表紙を展示する「マガジンハウスの80年表紙展」などを展開しています。鉄尾周一社長は「グローバル展開」と「IPを活用した新しいビジネス」を今後のビジョンに掲げ、事例として『POPEYE』の公式Instagramのフォロワー約80万人のうち半数が海外ファンであることや、2025年に発売した『POPEYE』『BRUTUS』の英語版が2週間で重版決定したことを挙げました(AdverTimes.)。
研究所メモ: 1945年創業の出版社が、雑誌そのものを「IPの宝庫」と定義し直した点が興味深いところです。フォロワーの半数が海外という数字は、コンテンツを翻訳・輸出する前からすでにファンダムが越境していたことを示しています。自社の発信データの中に、気づいていないファン層が眠っている可能性は他業種にも共通する示唆です。
スタジアムとVTuber事務所が、最大規模の看板を掲げた
国立競技場×MUFG — 国内最大規模とみられる命名権契約が始動
国立競技場(東京・新宿)の命名権を三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が取得したと10月15日に発表されました。新呼称は「MUFGスタジアム」で、契約期間は2026年1月から2030年12月末までの5年間。契約金額は非公開ですが、国内最大規模の命名権契約になる見通しです。国際大会では従来通り「国立競技場」の正式名称を使用し、「MUFG国立」の略称での定着を目指すとしています。運営会社は今後のビジョンとして共創プラットフォーム「KOKURITSU NEXT」を掲げ、周辺商店街と連携した周遊プログラムや非興行日の学校教育活用を計画しています(AdverTimes.)。
研究所メモ: MUFGは会見で、ネーミングライツを「企業認知にとどまらない」取り組みと位置づけました。スタートアップ支援やエンタメコンテンツ発信の強化まで含めた5年契約は、単なる看板の掛け替えではなく、スタジアムを介した継続的なファンとの接点づくりです。1回きりの協賛ではなく、複数年で場を共有する発想は、他のスポーツ施設・文化施設のスポンサーシップにも応用できます。
hololive SUPER EXPO 2026 — 幕張メッセ初の3日間、8000万人規模のファンダムが集結
VTuber事務所ホロライブプロダクションが10月9日、「hololive SUPER EXPO 2026」と「hololive 7th fes. Ridin’ on Dreams」の開催を発表しました。開催期間は2026年3月6日から3月8日までの3日間で、会場は幕張メッセ。同事務所にとって3日間連続開催は初めてです。ホロライブプロダクションはYouTubeの総チャンネル登録者数が約8,000万人を超え、日本語圏、インドネシア語圏、英語圏を中心に80名以上のタレントが活動しています(4Gamer.net)。
研究所メモ: 8,000万人という登録者規模は、単独の音楽アーティストのファン数を大きく上回ります。会期を2日から3日に延ばすという判断は、既存のファンダムがすでにその規模の会場・日数を吸収できるという見立てがあってこそ成立します。イベント規模を拡大するタイミングは、ファンの熱量ではなく会場・日数のキャパシティ側の制約で決まることが多いという事例です。
コンビニと外食チェーンが、限定メニューで来店動機を作った
呪術廻戦×ファミリーマート — 復活上映に合わせた特別ラッピング店舗
アニメ『呪術廻戦』とファミリーマートのコラボレーション企画が10月15日にスタートしました。第1弾は10月17日から復活上映される『劇場版 呪術廻戦0』に合わせたもので、東京・銀座木挽町通り店が特別ラッピング店舗になっています。店内のマルチコピー機サービス「ファミマプリント」では劇中名シーンのブロマイド(L判200円、2L判300円、全30種)を取り扱い中です。10月17日からは「んまほっぺシリーズ」との初コラボグッズも全国約2,200店舗で発売されます(PR TIMES)。
研究所メモ: ラッピング店舗という限られた1店舗の施策と、全国2,200店舗規模のグッズ展開を同時に走らせている構成が特徴です。話題化は1店舗に集中させ、購買機会は全国に広げる。コンビニのように店舗網を持つ業態は、この「集中と分散」を同時に設計できる強みがあります。
HD-2Dドラクエ×ローソンストア100、ハイキュー!!×大戸屋 — 期間限定コラボメニュー
ローソンストア100は、HD-2D版『ドラゴンクエストI&II』とのコラボキャンペーンを10月22日から11月11日まで開催します。ロトの紋章をあしらったパンやおにぎりのほか、購入するとレシートスタンプが貯まるキャンペーンを実施し、抽選で『ドラゴンクエスト』グッズが当たります(インサイド)。定食チェーンの大戸屋は10月15日から、『ハイキュー!!』とのコラボキャンペーンを開始。烏野高校の澤村大地ら6名のキャプテンをデザインした34万食限定の「ビジュアルボード付き定食」(各1,880円)を展開し、対象ドリンクも14万本限定で用意しています(超!アニメディア)。
研究所メモ: どちらも「数量限定」を明示している点が共通しています。34万食、14万本という具体的な数字を事前に出すことで、ファンに「今回を逃すと終わる」という行動の理由を与えている。コンビニ・外食のような日常業態でのコラボは、期間だけでなく数量の上限を切ることで、来店の優先順位を上げられます。
アパレルと小売が、キャラクターを日常の棚に並べた
サンリオ×MOUSSY — ハローキティのニットコラボ第2弾
サンリオの人気キャラクター「ハローキティ」とハイカジュアルブランド「MOUSSY」のコラボレーション第2弾が実現し、10月9日から発売されています。ハンドニット調の編み地で表現した「HELLO KITTY CHUNKY SWEATER」(11,000円)、オリジナル柄のカーディガン「HELLO KITTY RETRO STRIPE CD」(13,970円)、同柄のストール(7,480円)の3アイテムを展開。MOUSSY各店舗のほかZOZOTOWNでも取り扱われています(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 2度目のコラボという継続性が示すのは、単発の話題づくりではなく、シーズンごとに商品を入れ替える定番ラインとしての運用です。ニットという秋冬素材に絞ったことで、キャラクターものに抵抗があった層にも自然に届く導線ができています。IPコラボを一度で終わらせず、シーズン企画として設計する視点は継続力のあるブランドに共通します。
ポケモン×ドン・キホーテ — なりきり着ぐるみパーカーで新客層に
「ポケットモンスター」のアパレルが10月11日から、ドン・キホーテ、アピタ、ピアゴで順次発売されています。「コダック」「カビゴン」「ピカチュウ」「ゲンガー」のフード部分がキャラクターの顔になった「BIG着ぐるみパーカー」(4,399円)と、10柄展開の「ボア上下セット」(4,399円)を用意しました(インサイド)。
研究所メモ: ディスカウントストアという業態を選んだことで、普段アニメイトやポケモンセンターに足を運ばない客層にも商品が届きます。価格帯も4,399円と、専門店のフィギュアやコラボアパレルよりやや抑えめ。IPの「露出面積」を広げたいときは、専門店ではなく生活動線上の店舗を選ぶという判断が有効です。
VTuberと玩具メーカーが、ファンの手元に新体験を置いた
にじさんじ3SKM×サンリオ — テディベア「3KUMA」で異業種の掛け合わせ
VTuberグループ「にじさんじ」所属の3人組ユニット「3SKM」が、サンリオキャラクターズとのコラボグッズを発表しました。10月9日から26日まで「にじさんじオフィシャルストア」で受注販売中です。3SKMのグッズに加え、3SKMをイメージしたテディベア「3KUMA」とサンリオキャラクターズがコラボしたグッズも展開し、合計15点のラインナップになっています(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: VTuberというデジタルネイティブなIPと、テディベアという実体を持つマスコットキャラクターを介してサンリオとつなげた構成が巧みです。VTuber本人のビジュアルを直接商品化するのではなく、専用のマスコットを一段挟むことで、コラボ先の世界観との親和性を作っています。異業種コラボで違和感が出やすいときほど、間に立つキャラクターの設計が効きます。
ガンプラ×3Dスキャン — バンダイスピリッツとソニーミュージックの新体験
BANDAI SPIRITSとソニー・ミュージックエンタテインメントが、「ハイクオリティ・ガンプラスキャン」第2弾トライアルを11月15日から12月14日まで、東京・お台場のTHE GUNDAM BASE TOKYOで開催します。予約は10月15日15時から受け付け開始。利用者が所有するガンプラを、ソニー・ミュージックエンタテインメント主導で開発した高精細3Dスキャン筐体「SCANOSYS」で3Dデータ化するサービスで、基本利用料は2,200円です。今回はデジタル空間上でのジオラマムービー作成や、ガンプラを操作するスコアアタック機能が追加されました(Mogura VR)。
研究所メモ: 「飾る」ものだったプラモデルを、スキャンして「動かす」体験に変換している点が新しいところです。2025年2月の福岡開催から東京へ展開場所を広げており、単発の実証実験ではなく段階的な事業化を進めています。ファンが長年蓄積してきた「所有物」をデジタル資産に変換するサービスは、玩具メーカーにとって新しい収益機会になり得ます。
旗艦店とポップアップが、ファンの聖地を各地に増やした
ワンピース旗艦店 — 新宿マルイに500点新商品の公式ショップ
『ONE PIECE』の公式旗艦店「ONE PIECE BASE SHOP」が、2025年12月5日に東京・新宿マルイ本館4階にオープンします。フロア面積1,185平方メートルを使用した大型施設で、12月に発売される約800アイテムのうち約500アイテムがこの店舗限定のオリジナル商品です。400以上のキャラクターからデザインを選んでその場でTシャツをプリントできるサービスや、クレーンゲームなど「探して買う」以上の体験も用意されています。オープンから当面は抽選による事前予約制です(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: バンダイナムコグループは近年、単なる物販にとどまらない「体験型リテール施設」の出店を進めています。約800アイテム中500アイテムを店舗限定にすることで、通販では完結しない来店理由を作っている点がポイントです。ECが主戦場になった今こそ、実店舗にしかない在庫の比率を意図的に高める設計が効いてきます。
カプコンストアPOP UP — 愛知2カ所で東京ドーム発の等身大フィギュアを展示
カプコンは、直営店舗「カプコンストア」のポップアップショップを2025年11月から愛知県内2カ所で期間限定開催します。会場はイオンモール岡崎(11月1日〜3日)とイオンモール豊川(11月8日〜9日)で、『モンスターハンター』『バイオハザード』『ストリートファイター』のキャラクターグッズを販売。『ストリートファイター』の「ジェイミー」「豪鬼」「A.K.I.」の等身大フィギュア3体も展示され、これらは東京ドームのポップアップで初登場したものです(GAME Watch)。
研究所メモ: 東京ドームという大規模会場で使った展示物を、地方のショッピングモールに巡回させている点が効率的です。1回限りの大型投資で終わらせず、同じ什器・フィギュアを複数の会場で使い回すことで、地方のファンにも同じ体験を届けられます。都心の大型イベントの資産をどう地方展開に転用するかは、店舗網を持つ企業共通の課題です。
まちカドまぞくVR展示 — 横浜で20歳以上限定のバーチャル体験
漫画「まちカドまぞく」の展示会「まちカドまぞく だぶるあにばーさりー展 みに in横浜」が、2025年11月14日から30日までマルイシティ横浜で開催されます。NTTコノキューが開発したバーチャルライブシステム「Matrix One」を使用し、主人公シャミ子と桃の3Dモデルによる新作映像を公開。VR体験はMeta Questのガイドラインに基づき20歳以上が対象で、VRエリア入場券は前売り2,000円です(Mogura VR)。
研究所メモ: 年齢制限を明示したVR展示という、体験の希少性を年齢という切り口でも作っている点が目を引きます。展示エリアと物販エリアをフロアで分け、VRという上位体験には別料金を設定する価格設計は、無料の物販だけでは届かない収益源を確保する手段になります。
自治体がゲームプラットフォームでファンと出会った
さいたま市×フォートナイト — 3D都市モデルで「たまポン」も連動
株式会社モンドリアンが、ゲームプラットフォーム「フォートナイト」上でeスポーツゲーム「City SPEED TRIAL: SAITAMA SUPER ARENA」を10月4日に公開しました。国土交通省の3D都市データ整備プロジェクト「PLATEAU」を活用してさいたま新都心を再現し、タイムを競うレース形式で遊べます。さいたま市の公式アプリ「さいたま市みんなのアプリ」とも連携し、プレイ体験を通じて地域ポイント「たまポン」が付与される仕組みです。12月14日にはイオンモール与野で無料体験イベントも予定されています(Mogura VR)。
研究所メモ: 自治体が持つ都市データという「地味な資産」を、フォートナイトという巨大なファンダムのあるプラットフォームに載せた発想が新しいところです。ゲーム内での行動を地域ポイントに変換する設計は、バーチャルの体験で終わらせず、リアルの来訪・消費行動に接続する仕組みになっています。地方自治体のファンマーケティングは、独自アプリを作るより「すでに人がいる場所」に相乗りするほうが早いという事例です。
今週の所感
今週は、企業が「名前」と「場所」をIPに貸し借りした一週間でした。
MUFGは国立競技場という国内最大級のスタジアムに5年契約で名前を重ね、ホロライブは幕張メッセに3日間という枠を確保しました。どちらも一過性の広告ではなく、複数年・複数日という「時間」を買う判断です。一方で、ファミリーマートやローソンストア100、大戸屋のような日常業態は、数量限定・期間限定という短い区切りでファンの来店動機を作っています。長期で場を押さえる企業と、短期で回転させる企業。同じ推し活マーケティングでも、時間軸の設計はまったく異なります。
もうひとつの軸は「体験の場所」です。ガンプラの3DスキャンやまちカドまぞくのVR展示は、モノを売るのではなく、モノを使った体験を売っていました。さいたま市がフォートナイトに都市データを載せたのも同じ発想です。自社で新しい場を作るのではなく、すでにファンが集まっている場所やプラットフォームに、自社の資産を持ち込む。この動きは、推し活マーケティングの設計原則やファンマーケティングの基本とあわせて見ておきたいところです。
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