推し活×ニュース

サンリオが​VRテーマパーク常設化、​年間500万人目標/​「味ぽん」​UGC投稿132%増​【週刊推し活ニュース 2025年10月24日号】

2025年10月17日〜10月23日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週のキーワードは、ファンを観客から参加者に変える設計でした。

ミツカンの調味料ブランド「味ぽん」は、ファンがSNSに投稿した使い方をテレビCMに逆輸入し、2025年度上期のUGC投稿数を前年同期比132%の約27万件まで伸ばしました。サンリオは統合報告書で、VRテーマパーク「V-Puroland」を2026年3月期に常設化し、年間500万人の来場を目指す方針を明らかにしています。

日本中央競馬会(JRA)は人気VTuberグループ「にじさんじ」と組んだ「にじさんじ競馬王決定戦」を開始し、VTuber4名が予想対決を繰り広げています。広告分野でも、BMSGとちゃんみながタッグを組んだガールズグループオーディション「No No Girls」プロジェクトが、ACC TOKYO CREATIVITY AWARDSの2部門を制しました。

ファンの投稿や参加を、企業が広告や商品に変えた

「味ぽん」×ファン投稿 — ミツカンがUGCを広告に逆輸入

ミツカンは、調味料ブランド「味ぽん」のUGC(ユーザー生成コンテンツ)投稿数が2025年度上期(3〜8月)に前年同期比132%の約27万件になったと発表しました。9月6日から放映する新テレビCM「見よ、みんなの味ぽん使い」篇には、一般公募のファンに加え登録者45万人超の料理系YouTuber・バシャウマや、ホロライブ所属のさくらみこさん、白銀ノエルさんらが出演。ファンがSNSに投稿した”アイスクリーム×味ぽん”のアイデアを、アイドルグループ「iLiFE!」のあいすさんが実際に試すシーンも収録し、2024年比で約2倍のUGC創出を目標に掲げています(AdverTimes.)。

クリエイティブディレクターの多田秀彰氏は、「社員でも想定していなかった『味ぽん』の使い方を15秒に詰め込んだ」と述べています。

研究所メモ: ファンが自発的に投稿したレシピを、広告の主役に据える発想が肝です。企業がファンの創造性を素材として認め、CMという最も目立つ場所に返す。公式が「面白い使い方」を追認するだけで、ファンの投稿はさらに勢いづきます。UGCを集める施策と、それを広告に変換する施策は別物だと分かる事例です。

BMSG×ちゃんみな「No No Girls」— オーディション過程を広告として設計

ACCは10月17日、「2025 65th ACC TOKYO CREATIVITY AWARDS」の受賞結果を発表しました。応募総数2,263本の中から、BMSGとちゃんみなさんによるガールズグループオーディション「No No Girls」プロジェクトが、ブランデッド・コミュニケーション部門Bカテゴリー(ソーシャルインフルエンス)とPR部門の2部門で受賞。広告会社は博報堂・スパイスボックス、制作会社はサルベージが手がけました(AdverTimes.)。

贈賞式は11月13日、東京・大手町三井ホールで開催予定です。

研究所メモ: オーディション番組そのものを広告として設計した点が新しいところです。完成したCMを一方的に流すのではなく、結果が決まっていない過程そのものをコンテンツにすることで、視聴者は応援対象の誕生に立ち会えます。参加の過程を可視化する発想は、他業種のブランド育成にも転用できる余地があります。

外食チェーンがIPコラボで日常の接点を増やした

マクドナルド×ストリートファイター — カプコンが語る「格ゲーIP戦略」

日本マクドナルドは対戦格闘ゲーム「ストリートファイター」とのコラボキャンペーンを開始し、10月21日から「ストリートファイターII」をモチーフにしたテレビCM「うまいやつに会いに行く。」篇を放映しています。CMではリュウ、春麗、ケンがバーガーを必殺技のように繰り出し、マクドナルド限定キャラクター「ベガ・スマイル」と対戦するアニメーションを展開。カプコンEキャラクターライセンス事業統括の上田隆之氏は、35周年を迎えたシリーズについて「ファンの日常生活に溶け込み、親しみを持ってもらう」ことをテーマにしたIP戦略を進めていると説明しています(AdverTimes.)。

マクドナルドとのコラボを通じて、シリーズに熱中していた親世代とその子どもたちが一緒に楽しむ新たなファン層の拡大を狙うとしています。

研究所メモ: 35年分のファンの記憶を、子ども世代との接点作りに転用している点が要点です。旧作の必殺技をドット絵で再現するという手間は、旧ファンへの敬意として機能し、その旧ファンが自分の子どもを連れてくる導線になる。長寿IPほど、新規層の開拓を旧ファン自身に担わせる設計が効きます。

モスバーガー一番くじ第2弾 — BANDAI SPIRITSが日用品化するメニューグッズ

BANDAI SPIRITSは2025年11月1日発売の「一番くじ モスバーガー2」の全ラインナップを公開しました。はずれなしのくじで、A賞「テリヤキバーガー ティッシュケース」はレタスとパティの間からティッシュを引き出すデザイン、B賞は大きな「モスチキン クッション」、ラストワン賞は店舗で流れる音がアラームになる「モスバーガー クロック」です。価格は1回700円(税込)で、ローソンやデイリーヤマザキ、モスバーガー一部店舗などで11月1日より順次発売します(インサイド)。

研究所メモ: メニューをそのまま模型化するのではなく、ティッシュケースやクロックのように毎日使う日用品に変換している点が肝要です。購入後も店舗のブランド体験を思い出させる仕掛けであり、IPコラボを一度きりの物販で終わらせない設計として参考になります。

小売の旗艦店が、推し活向けにリニューアルを始めた

タワーレコード渋谷店 — 音楽と推し活が交差する新体験型ストアへ

タワーレコード渋谷店は11月4日より1階と3〜6階の一部を順次リニューアルし、2026年2月28日にフルオープンすると発表しました。1階は鏡とLEDサイネージを使った「ウェルカムゲート」や、自撮り機能付きフォトスポットを備えた”推しエリア”を新設。3階はJ-POPの在庫数を従来の約1.5倍に拡充し、4階はフォトスポットを個室化して等身大ビジュアルと撮影できる仕様にします。5階はK-POPファン向けに韓国の繁華街を模した内装へ改装します(AdverTimes.)。

今回の改装は、2023年のアナログフロア拡張以来およそ2年ぶりです。

研究所メモ: 「トレンドの、その先の“好き”へ」というテーマの通り、売り場を単なる商品陳列棚から撮影・体験の場に変えている点が要点です。K-POP・アニメ・ゲームとジャンルごとに内装のテンションを変える設計は、来店動機が異なるファン層を一つの店舗に共存させる工夫といえます。

スクエニ公式カプセルトイショップ — 渋谷サクラステージに常設出店

スクウェア・エニックスは、カプセルトイ専門ショップ「SQEX CAPSULE GARDEN」を10月29日、渋谷サクラステージ3Fにオープンします。「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」「ニーア」シリーズなど自社タイトルのカプセルトイを中心に、「つみつみスライム小物入れ」や「ミュージックコレクションキーチェーン」など全9種を展開します(インサイド)。

研究所メモ: 自社IPだけでカプセルトイの専門店を1店舗成立させられる点に、長期連載タイトルを複数抱える強みが表れています。少額で試せるガチャという形式は、ファンではない通行人にもIPへの入り口を開く。旗艦店ではなく駅前商業施設に出す立地選びも、既存ファンより新規接点の獲得を優先した判断と読めます。

アパレル各社が、IPコラボで売り場の棚を作り替えた

アベイル×リラックマ×ミスタードーナツ、アベイル×仮面ライダー — 低価格アパレルが複数IPを同時展開

衣料品チェーン「アベイル」は10月18日、「リラックマ×ミスタードーナツ」コラボグッズを全国店舗で発売しました。ドーナツを持ったてのりぬいぐるみやマスコット付きフリクションボールペンなどを展開し、1商品名につき1人1点の購入制限を設けています。同日には「仮面ライダー」5作品(クウガ・電王・ダブル・555・龍騎)のグッズも全国店舗とオンラインストアで発売し、マフラータオルやルームウェア上下セットなどをラインナップしました(アニメ!アニメ!、アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 同じ週に、系統の異なる2つのIPコラボを同時展開している点が要点です。リラックマ層と仮面ライダー層は重なりが小さく、1つのチェーンが複数のファン層を並行して取り込みにいっている。均一価格帯の衣料品チェーンでも、IPを1つに絞らず並べることで来店頻度を上げられることを示す事例です。

ZOZOTOWN×NIKKE、ちいかわ×NEW ERA — ファッションECとアパレルが高単価コラボに乗り出す

ZOZOは「ZOZOTOWN」で『勝利の女神:NIKKE』とのコラボアイテムを発売しました。バイパーやレッドフードなど人気キャラクターのコスチューム要素を取り入れたジャケットは24,200円(税込)、Tシャツとフーディのセットは16,500円(税込)で、11月10日まで受注販売中です(インサイド)。ストリートブランド「NEW ERA」も10月24日、「ちいかわ」とのコラボアイテム全13種を発売。キャップは1点7,150円(税込)で、2025年5月に先行予約を実施した商品です(インサイド)。

研究所メモ: 数千円のグッズが主流だったIPコラボで、2万円台のジャケットが受注販売という時間をかけた形式で成立している点が目を引きます。すぐ買えないからこそ、発売までの期間がファンの間で話題を保つ役目を果たす。ストリートブランドとの協業は、IPを「グッズ」から「ファッション」の文脈に引き上げる動きとも言えます。

VTuber業界で資本と事業提携の動きが加速した

SCARZ×ビクターエンタテインメント — eスポーツチームが音楽レーベルと組む

株式会社XENOZが運営するeスポーツチーム「SCARZ」は、ビクターエンタテインメントと共同でVTuberプロジェクト「MeSTAGE」を始動しました。「音楽とeスポーツの融合」を掲げ、VTuberのDELUTAYAさん(2020年12月デビュー、歌唱中心)と煌イヴさん(2021年10月配信開始)がSCARZ Content Creator部門のメンバーとして加入しています(SCARZ)。

研究所メモ: eスポーツチームが音楽レーベルと組む組み合わせは一見遠回りに見えますが、どちらも「ファンが特定の個人を応援する」構造を持つ点で親和性があります。既存ファン層が異なる2社が組むことで、互いのファンダムを行き来させる導線を作れる。異業種提携の狙い目は、ファンの応援構造が似ている企業同士にあると分かります。

viviON — REALITY StudiosからVTuber事務所「Vebop Project」を事業譲受

株式会社viviONは、REALITY Studios株式会社からVTuber事務所「Vebop Project」の運営を引き継いだと10月22日に発表しました。事業譲受日は2025年8月31日付けで、アカシ・ニコさんや数寄屋橋れんげさんなど現在11名が所属しています。viviONは自社運営の「あおぎり高校」との相乗効果を見込んでいます(viviON)。

研究所メモ: タレント個人の移籍ではなく、事務所ごと事業譲受する形を取った点が特徴です。所属VTuberとファンとの関係を切らずに運営会社だけを入れ替えられる。ファンとの結びつきが強いコンテンツを譲り受ける際は、個人の移籍より箱ごとの引き継ぎのほうが摩擦が少ないという判断が透けて見えます。

花譜×エイベックス — バーチャルシンガーがメジャーデビューし海外展開へ

バーチャルシンガーの花譜さんが、活動7周年の10月18日にエイベックス・ミュージック・クリエイティヴよりメジャーデビューしました。エイベックスとの共同プロジェクト「KAF81 KAF×avex Overseas Mission」も発足。11月29日・30日には中国・上海で海外初のワンマンライブ「宿声」を開催し、2026年3月1日には神奈川・ぴあアリーナMMで5th ONE-MAN LIVEを予定しています。YouTubeチャンネル登録者数は100万人超、総再生回数は3億回を突破しています(Mogura VR)。

研究所メモ: 5月の北米公演の手応えを踏まえ、海外展開の窓口としてメジャーレーベルの海外ネットワークを選んだ流れが分かります。バーチャルシンガー単体では持ちにくい現地の興行・権利処理のノウハウを、既存レーベルとの契約で補う形です。IPやタレントを自社だけで大きくしようとせず、足りない機能を持つ会社と組む判断が、海外展開のスピードを決めています。

公共機関が、ファンダムの手法で若年層に届いた企画

JRA×にじさんじの「競馬王」決定戦でVTuberファンを競馬場に呼ぶ

日本中央競馬会(JRA)は、VTuberグループ「にじさんじ」所属の天宮こころさん、榊ネスさん、四季凪アキラさん、ニュイ・ソシエールさんの4名による「にじさんじ競馬王決定戦」を10月17日から開始しました。秋華賞・菊花賞・天皇賞(秋)などGI6レースを対象に予想対決を行い、優勝者は競馬場の大型モニター「ターフビジョン」への出演権を獲得します。「JRA FUN CLUB」ではキャンペーンコード入力で抽選500名にアクリルキーホルダーが当たる企画も実施しています(PR TIMES)。

研究所メモ: VTuberが「競馬の予想を学ぶ過程」を見せる構成にしている点が要点です。競馬に詳しい人向けの解説ではなく、初心者のVTuberが視聴者と同じ目線で学ぶ様子を見せることで、ファンも一緒にルールを覚えられる。専門性の高い分野ほど、案内役を「詳しい人」ではなく「学んでいく人」に置く設計が入り口を広げます。

渋谷未来デザイン×トランスコスモス — Robloxでハロウィンのマナーを学ばせる

一般社団法人渋谷未来デザインとトランスコスモスは10月17日、Roblox向けコンテンツ「FIND THE HALLOWEEN SHIBUYA」を公開しました。「渋谷グッドマナープロジェクト」の一環で、仮装やカルチャーを探しながら街の美化やマナー向上につながる行動をクエスト形式で体験できます。『たまごっち』『ベイブレード』、アニメ『夜のクラゲは泳げない』のアーティスト「JELEE」とのコラボも順次展開予定です(Mogura VR)。

研究所メモ: マナー啓発という説教くさくなりがちなテーマを、既存IPとのコラボによってゲームの体裁に変えている点が工夫です。自治体が単独で呼びかけるより、若年層がすでに時間を使っているプラットフォームと複数IPを組み合わせたほうが、同じメッセージでも届く速度が変わります。

エンタメ企業が、XRへの投資を本格化させている

サンリオ — VRテーマパーク「V-Puroland」を常設化、年間500万人目標

サンリオは統合報告書で、VRテーマパーク「V-Puroland(ブイ・ピューロランド)」を2026年3月期に常設化する構想を明らかにしました。年間来場者数500万人を目標に、サンリオキャラクターに限定せず他社IPも集う24時間365日稼働の施設を目指します。2025年に開催した「Sanrio Virtual Festival」には過去最高の15万人が参加し、前年の12万人を上回りました(Mogura VR)。

クリエイター支援サービス「Charaforio」の機能強化も進め、個人クリエイターや他社IPのグローバル展開を支援する方針です。

研究所メモ: 期間限定イベントとして育てたVfesの参加者数の伸びを見てから常設化に踏み切っている点が堅実です。いきなり大規模投資をするのではなく、期間限定で需要を検証してから恒常施設に切り替える順序は、他社IPとの共存という難易度の高い展開を始める前段階として理にかなっています。

KDDI — 大阪・関西万博『モンスターハンターブリッジ』の専用ARデバイス開発

KDDIは大阪・関西万博の大阪ヘルスケアパビリオン内「モンスターハンターブリッジ」で使用する専用ARデバイスの開発秘話を、XR Kaigi Hub in 大阪で公開しました。会場は直径約12m・高さ5mの円筒形シアターで、壁面と天面をLEDディスプレイが覆い、合計97台のスピーカーで89.1chの立体音響システムを構築しています(Mogura VR)。

研究所メモ: ARデバイスの開発を、ゲーム会社ではなく通信会社が主導している点が示唆的です。IPの魅力を伝える体験の質は、コンテンツそのものより会場のハード設計に左右される場面が増えている。映像・音響インフラの技術を持つ通信・電機メーカーにとって、IPコラボのXR領域は本業の技術力を転用できる市場だと分かります。

今週の所感

今週は、企業がファンを「参加者」として設計に組み込む動きが目立った週でした。

味ぽんのUGC広告も、JRAの競馬王決定戦も、ACC賞を制した「No No Girls」プロジェクトも、完成した広告や商品をただ届けるのではなく、ファンが関与できる余地を意図的に残しています。関与した人ほど、ブランドを自分ごと化しやすくなる構図です。

一方、VTuber業界ではSCARZ×ビクターエンタテインメント、viviONによるVebop Projectの事業譲受、花譜のエイベックスからのメジャーデビューと、資本や事業の再編が同時多発的に起きました。サンリオのVRテーマパーク常設化やKDDIのARデバイス開発も含め、コンテンツを届ける「場」そのものへの投資が本格化しています。ファンとの接点を増やす施策と、その接点を支えるインフラへの投資は、切り離せない関係にあるようです。

自社のファンにどんな「参加の余地」を残せているか。推し活マーケティングの設計原則やファンマーケティングの基本とあわせて、今週の動きを見てみてください。


週刊推し活ニュースは、推し活×ビジネスの1週間を毎週まとめてお届けします。過去の号は推し活×ニュースカテゴリからどうぞ。