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猫の​日商戦が​過熱/ファミマの​購入者は​6割が​猫を​飼っていない​【週刊推し活ニュース 2026年2月27日号】

2026年2月20日〜2月26日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週のキーワードは、「飼っていないけれど好き」という層が、記念日商戦を支えているでした。

2月22日の猫の日に向け、コンビニ、旅行予約、電力、楽器メーカーまで多様な企業が施策を展開しました。注目したいのはファミリーマートの調査データです。2025年の「ファミリ〜にゃ〜ト大作戦!」購入者のうち、猫を飼ったことがない層が56.2%。「飼育経験はないが猫が好き」という層は全体の37.7%を占めます。

ファンビジネスの基盤側でも動きがありました。Epic GamesがドイツのMeshcapadeを買収し、デジタルヒューマン技術をMetaHumanへ統合する見込みです。東京都はAI広報アバター「都星人」の運用を開始しました。

「飼っていないけれど好き」が、猫の日商戦を支えている

ファミリーマート — 4年目の「猫の日」、購入者の56.2%は飼育経験なし

ファミリーマートが2月10日から「ファミリ〜にゃ〜ト大作戦!」を開始しました。4年目となる今年はオリジナル商品17種類を展開し、mofusand監修の「肉球タルト」「mofusandわっふれ〜む」、Coony監修の「くろねこテリーヌ ショコラ」、ヤマト運輸とのコラボ「クロネコのオムレット」などを揃えています。真空断熱カフェタンブラーは全国約8,000店、しっぽ付きポーチは約5,000店で展開。キャンペーン商品売上の一部は地域猫活動の支援に充てられます(AdverTimes.)。

ファミペイの調査(有効回答1,502件)では、「猫が好き」が69.8%に対し、現在猫を飼っている人は11.7%。2025年の同キャンペーン購入者のうち猫を飼ったことがない層が56.2%を占め、「飼育経験はないが猫が好き」層は全体の37.7%でした。購入理由は「かわいいから」が72.9%、購入シーンは「自分へのご褒美として」が41.2%、購入きっかけは「店頭で出会って買う」が73.7%です(AdverTimes.)。

商品本部スイーツ部の山岡美奈子部長は、猫の日が「自分への癒やし」と「SNSを通じたコミュニティーの盛り上がり」へ進化していると説明し、今年のテーマを「安定感」と「鮮度(驚き)」の共存と位置づけています。

研究所メモ: 購入者の6割近くが猫を飼っていない。この数字は、記念日商戦の設計を根本から変えます。飼い主向けの実用品ではなく、猫という概念が好きな人へ向けた自分へのご褒美として作るべきだということ。しかも購入きっかけの73.7%が店頭。SNSでの事前告知より、棚での出会いが効いています。

楽天トラベル — 53匹がエントリー、3,200票超の看板猫ランキング

楽天トラベルが「2026年 全国の宿 自慢の看板猫ランキング」を発表しました。2015年から続く企画で、今年は53匹がエントリーし、投票数は3,200を超えました。1位は山梨「ALBERGO del otto」の富士子ちゃん(看板猫歴5年目)、2位は大分「筋湯温泉 宿房 花しのぶ」のかぼす、3位は同票で栃木「塩原温泉 山口屋旅館」のちゃっぴーと北海道「岩盤浴 慈の癒」のレオンでした(観光経済新聞)。

投票者からは「つぶらな瞳と穏やかな表情でお出迎えされて疲れが和らぎそうです」「チェックアウトのあと、バスの時間までロビーでいっしょに過ごしてくれました」といったコメントが寄せられています。

研究所メモ: 宿の設備でも料理でもなく、そこにいる猫で宿を選ぶ動線をつくっています。企画目的も「宿の魅力を様々な角度から発信すること」と明快。自社の商品以外に、ファンが語りたくなる存在がいないか。 店舗や施設を持つ企業にとって、この視点は集客の切り口になります。

オリンピック協賛が、露出から「場の活用」へ移った

三井不動産 — 2015年から3大会連続、判断軸は「露出」と「場の活用」

三井不動産がTEAM JAPANのゴールドパートナーを2015年から継続し、東京2020大会、パリ2024大会に続きロサンゼルス2028大会まで協賛します。同社のスポーツ・エンターテインメントチーム主事の栗田智仁氏は、スポンサーシップの評価軸を「露出」と「場の活用」の2つとしています。日本橋エリアでは所有ビルの壁面にTEAM JAPAN選手のグラフィックを掲出する「シティドレッシング」を実施。東京ミッドタウン日比谷とCOREDO室町テラスで開催した「ふつうじゃない2020展」には約42万人が来場しました。2024年には商業施設本部を「商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部」へ名称変更しています(AdverTimes.)。

栗田氏は「我々の持ってる場所とそのコンテンツとの親和性がすごく高い」と語っています。

研究所メモ: 協賛の価値を、ロゴ露出ではなく自社施設の集客に置き換えている点が明快です。しかも本部名にスポーツを入れて組織まで変えました。前号の群馬県ぐんまちゃん推進室と同じく、続ける意思を組織図で示す企業が成果を出している。 協賛費を広告費として計上するか、事業投資として扱うかで、打ち手が変わります。

JOC — 協賛の目的が「認知度向上」から「企業課題の解決」へ

日本オリンピック委員会(JOC)マーケティング部担当部長の脇本昌樹氏が、「TEAM JAPANパートナーシッププログラム」について語りました。企業が協賛する目的は、認知度向上や販促を中心としたものから「自社の企業課題をスポーツやTEAM JAPANがどれだけ解決してくれるか」という視点へシフトしているといいます。JOCは「JOC Vision 2064」を策定し、中期計画の中心メッセージを「アスリートとともに スポーツの力を 社会の力へ」としました。2025年からは日本パラリンピック委員会(JPC)の権利をセット販売し、契約手続きの簡素化と両団体エンブレムの一体使用によるアクティベーション拡大を図っています(AdverTimes.)。

研究所メモ: 阿部一二三・詩選手との小学生向け柔道大会「ABE CUP」創設のように、選手個人と企業が具体的な事業を作る形が増えています。ロゴを出す権利を買うのではなく、選手とともに何かを立ち上げる。応援される側と応援する側の関係が、共同事業者に近づいてきています。

東京都 — AI広報アバター「都星人」を3体で運用開始

東京都が2月20日、AI広報アバター「都星人(とせいじん)」の運用開始を発表しました。デザインは「ピカチュウ」などを手がけたキャラクターデザイナーのにしだあつこ氏が担当。多摩に住む「ふくほう」、島しょに住む「きくかめ」、23区に住む「つたねこ」の3体構成です。地球によく似た惑星「都星」から調査員として派遣され、発展のための調査拠点として東京を選んだという設定を持ちます。都が発表した情報をもとに、生成AIで3体が会話する動画も制作予定です(TOKYO MX、Koubo)。

研究所メモ: 1体ではなく3体にして、多摩・島しょ・23区を分担させた設計が効いています。行政情報は地域によって関係の濃さが違うので、担当を分ければ「自分の地域の話」として届きます。生成AIで会話動画を量産する前提も現実的。キャラクターを情報発信の器として使うなら、誰に向けた口なのかを最初に決めておく必要があります。

バーチャルの制作基盤が、買収と提携で組み替わった

Epic Games — Meshcapadeを買収し、MetaHumanを強化

Epic Gamesが2月18日、ドイツ・テュービンゲンのスタートアップMeshcapadeの買収を発表しました。同社チームはEpic GamesのAIリサーチチームに合流し、Epic GamesはAI研究集積地「Cyber Valley」に新オフィスを開設します。Meshcapadeは2018年にマックス・プランク知能システム研究所のスピンオフとして設立され、同研究所が開発した3DボディモデルSMPLを基盤に技術を開発。モーションキャプチャー設備なしで通常の動画から3D人体動作を取得でき、表情やジェスチャーなど非言語表現も再現します(Mogura VR、CGinterest)。

共同創業者のナウリーン・マフムード氏は「デジタルヒューマンの開発をより簡単に、より表現豊かに、よりクリエイターにとって身近なものにするのがMeshcapadeのミッションでした」と述べています。

研究所メモ: 専用スタジオがなくても、スマートフォンの動画から3Dの動きが取れるようになる。VTuberやバーチャルタレントの制作コストを大きく下げる技術です。前号のa16zによるShizuku AIへの出資と合わせると、バーチャル領域の投資が「見せ方」から「作り方」へ移っているのが分かります。

AMATERASU×サンミュージック名古屋 — VTuberが芸能事務所と組む

Virtual Peer Support LAB.が運営するVTuber事務所「AMATERASU」が、サンミュージックのグループ会社であるサンミュージック名古屋と業務提携しました。サンミュージック名古屋が出演案件の紹介・斡旋を行い、テレビ・ラジオ・リアルイベントへの出演機会を提供します。目的は、デジタル領域に限定せず芸能界全体への展開、ハイブリッド型タレント育成、地方発エンターテインメントモデルの構築です(Mogura VR)。

研究所メモ: VTuber事務所が芸能事務所のネットワークを借りる、という形です。1月2日号で取り上げたChumuNoteの新事務所設立や、1月9日号のVICによる受け皿づくりと並べると、演者のキャリアをどう長くするかが業界の共通課題になっているのが見えます。タレントを抱える企業は、活動の場を1つの媒体に閉じない設計が必要です。

22/7 — ソニーの群ロボットで、リアルメンバーとキャラクターが初共演

22/7(ナナブンノニジュウニ)が2月23日、東京・西新井文化ホールで「ジャパンフェスタ in ADACHI 2026」公式アンバサダーとして公演を行いました。ソニーグループが開発したエンタテインメント向け群ロボットシステム「groovots(グルーボッツ)」を使い、22/7史上初となるリアルメンバーとキャラクターの共演を実現。同技術は1月24日・25日の「アイドルマスター」如月千早武道館単独公演でも導入されています(Mogura VR)。

瀬良穂乃花役の望月りのさんは「キャラクターと歌うことが、夢でした。こういう技術を使ったステージができるように頑張るので、これからも私たち〝14人〟をよろしくお願いします」と語りました。

研究所メモ: 「私たち14人」という言い方に、この技術の意味が凝縮されています。演者とキャラクターを別々に数えず、同じステージの仲間として並べる。1月16日号のにじさんじフェスにおけるソニーの裸眼立体ディスプレイと同じく、技術が「実在感」の演出に投資される流れが続いています。

鉄道からコンビニまで、季節の節目でIPと組んだ

CCさくら×JR東海「推し旅」、忍たま乱太郎×ラスカル

JR東海の「推し旅」が、TVアニメ『カードキャプターさくら クリアカード編』とのコラボ「さくらと春の京都旅行」を2026年3月18日から5月17日まで実施します。東海道新幹線の車内限定で配信するオリジナルボイスドラマを聴くと、スマホ壁紙全4種を1日1枚入手可能。京都市内4か所を巡るデジタルスタンプラリーも行います(にじめん)。東京ソラマチでは2月21日から3月9日まで『忍たま乱太郎』と『あらいぐまラスカル』のコラボイベントが開催され、先行商品25種類を展開。2月22日にはラスカルの着ぐるみ来店イベントも実施しました(アニメ!アニメ!、超!アニメディア)。

研究所メモ: 新幹線の車内でしか聴けないボイスドラマ、という設計が秀逸です。移動そのものをコンテンツにすれば、目的地に着く前から旅が始まる。聖地巡礼を扱う交通事業者にとって、車内という閉じた時間は使いどころの多い資産です。

東京ドームホテル×サンリオ、モンチッチ×ハローキティ

東京ドームホテルが、サンリオの「マイメロディ」「クロミ」とのコラボ宿泊プランの予約を2月27日15時から受け付けます。提供期間は4月1日から9月30日で1日各1室限定、ツインルーム2名利用時で1室63,300円から(室料・朝食・サービス料・諸税込み)。ホテルのシェフ ド パティシエによる限定描き下ろしデザインのデザートプレートが4月1日宿泊分からリニューアルされます(アニメ!アニメ!)。セキグチの「モンチッチ」とハローキティのコラボは2月21日から、ドン・キホーテとアピタ限定で全15アイテムを発売。長袖ジャージ上下セットが5,499円、Tシャツが2,199円(税込)などです(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 6万円超の1日1室限定プランと、2,199円のTシャツ。同じサンリオIPでも、組む相手によって価格帯が20倍以上変わります。モンチッチは1974年発売で30か国以上・累計7,000万体以上を販売してきたブランド。歴史のあるキャラクター同士を組ませると、どちらのファンにも新鮮に映るという点も見逃せません。

メダリスト×ローソン、ドラえもん×イオンシネマ

ローソンが2月24日から、TVアニメ『メダリスト』のオリジナルグッズを全国店舗で展開しました。グリッター缶バッジがランダム4種で660円(税込)。「見なよ…オレの司を…」というセリフが「ネット流行語100 2025」で7位にランクインした作品で、ミラノ・コルティナ2026オリンピック直後という時期に合わせています(アニメ!アニメ!、超!アニメディア)。イオンシネマは『映画ドラえもん 新・のび太の海底鬼岩城』の2月27日公開に合わせ、ポップコーンとドリンクに選べるアイテムが付く「ドラえもんキッズセット」を750円(税込)で販売し、限定オリジナルグッズ全14アイテムを展開します(超!アニメディア)。

研究所メモ: フィギュアスケートを描く作品を、冬季五輪の直後にぶつけている。競技への関心が最も高い時期に、その競技の物語を置く。外部のイベントカレンダーに自社IPを合わせるという考え方は、季節商材以外でも使えます。

今週の所感

今週いちばん重要だったのは、ファミリーマートの「購入者の56.2%は猫を飼ったことがない」という数字でした。

猫の日商品を買っているのは、猫と暮らしている人ではありません。猫という存在が好きで、自分へのご褒美として買っている人です。この構図は、推し活そのものと同じではないでしょうか。推しに直接会える人より、会えないけれど好きな人のほうが圧倒的に多い。 施策をつくるとき、どちらを想定しているかで商品も価格も変わります。

三井不動産が協賛の価値を「場の活用」に置き換え、東京都がキャラクターを3体に分けて地域を担当させたのも、根は同じです。熱量の濃さではなく、関わり方の幅で設計する。 今週の企業は、そこに手をかけていました。

推し活マーケティングの設計原則やファンマーケティングとあわせて、自社の想定顧客という視点で今週の動きを見てみてください。


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