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ANYCOLOR売上420億円で​45%増/AIが​勧めた​商品を​47.5%が​購入​【週刊推し活ニュース 2026年3月13日号】

2026年3月6日〜3月12日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週のキーワードは、AIが推した商品を、半数近くが実際に買っているでした。

サイバーエージェントが9,278人を対象に行った調査で、AIに勧められた商品・サービスをきっかけに実際に購入・利用した経験がある人は47.5%。検索行動で生成AIを使う人は37.0%となり、2025年5月の21.3%から9か月で15.7ポイント増えました。2月13日号で触れた「64%がAI要約で検索をやめる」という数字と合わせると、購買の入口が確実に移動しています。

決算も出ました。ANYCOLORの2026年4月期第3四半期は売上高420億2,000万円(前年同期比45.4%増)。一方で商品評価損9.7億円を計上し、利益予想は下方修正しています。

AIが勧めた商品を、半数近くが実際に買っている

サイバーエージェント調査 — 検索でのAI利用が9か月で15.7ポイント増

サイバーエージェントが3月5日、生成AIのユーザー利用実態調査(第3回)を発表しました。全国10代〜60代の男女9,278人が対象で、調査期間は2月6日〜7日。検索行動で生成AIを使う割合は37.0%となり、2025年10月の31.1%、2025年5月の21.3%から3回連続で増加しています。世代別の増加幅は50代が7.7ポイント、40代が6.7ポイント、20代が6.6ポイント。サービス別ではChatGPTが29.1%で最高、Geminiが15.6%(前回比5.2ポイント増)、10代のGemini利用率は24.5%(同8.2ポイント増)でした。Google「AIモード」の利用率は21.0%で、10代では33.5%に達しています(AdverTimes.)。

用途では商品価格・特徴の比較が9.8%、旅行の宿泊施設比較が9.5%。AIの回答に表示されたURLをクリックした経験がある人は54.4%、AIに勧められた商品・サービスをきっかけに実際に購入・利用した経験がある人は47.5%でした。

研究所メモ: 40代・50代の伸びが20代を上回っている点が見逃せません。AIは若者のものという前提が、すでに崩れています。しかも半数近くがAI経由で購買まで至っている。自社の商品情報がAIに正しく拾われているかは、いまや棚に並んでいるかと同じくらい重要な問いです。

ANYCOLOR — 売上420億円で45.4%増、一方で商品評価損9.7億円

ANYCOLORの2026年4月期第3四半期(2025年5月〜2026年1月)は、売上高420億2,000万円で前年同期比45.4%増、営業利益169億900万円、四半期純利益117億9,300万円となりました。「にじさんじ」「NIJISANJI EN」所属VTuberは172名、ANYCOLOR ID数は1,944万ID(前年比25.5%増)です。コマース領域の需要が強く推移し、ユニット周年や季節施策、ライブグッズの大型施策が好調でした。一方で商品評価損9.7億円を第3四半期に計上し、第4四半期にも15億円規模の損失を見込むため、通期売上高予想は上方修正しつつ利益予想は下方修正しています(Mogura VR、gamebiz)。

研究所メモ: 増収なのに商品評価損、という組み合わせは在庫の作りすぎを意味します。2月13日号のカバーが物流効率化を課題に挙げ、ワークマンが品切れを謝ったのと表裏の関係です。グッズは売れ残っても損、足りなくても損。 ファンビジネスで最も難しいのは需要予測だという事実が、数字で並びました。

HYBE JAPAN — 満足度99%超のVRコンサートを本格展開へ

HYBE JAPANが、年間を通じたVRコンサートプロジェクト「HYBE JAPAN VR NEXT STAGE 2026」を発表しました。事業は2024年に開始し、第1弾のTOMORROW X TOGETHER「HYPERFOCUS」は日本5都市の映画館で開催。公開初日に「#TXTZeroDistance」がXでトレンド入りし、来場者アンケートで満足度99%超を記録しました。2025年にはENHYPENを追加。映像は12K高精細、最大7.1chサラウンドで、韓国企業AMAZEが制作しています。2026年後半には地方都市を含む上映拠点の拡大も予定します(Mogura VR)。

責任者のLee Soo-hyun氏は、他社のアーティストIPとの共同公演などオープンなコラボレーションの可能性も探りたいとしています。

研究所メモ: VRを自宅ではなく映画館で見せている点が要点です。ヘッドセットを持っていない人でも体験でき、しかも同じ空間に他のファンがいる。1月30日号のRoblox公演が1,286万人を集めた一方で、こちらは「一緒に見る」ことに価値を置いている。同じVRでも、設計思想がまったく違います。

誤解を正す説明も懐かしさも、広告の題材になっている

チロルチョコ — 「小さくなった」は誤解、と公式が説明

チロルチョコが2月19日、Xで「定期的に『チロルチョコが小さくなった』とのご意見を見かける」と発信し、「ずっとサイズ変わってません!!」と否定しました。袋商品に入っている小さいサイズと、1粒から買えるバーコード入りの大きいサイズの2種類があり、これらの混同が誤解の原因だと説明。続く投稿ではXの「記事」機能でサイズ展開の歴史も公開しました。最初の投稿には約1週間で650件以上のコメントが寄せられています(AdverTimes.)。

開発部マーケティング室のSNS担当は「小さくなったと感じられるのも無理はない」としつつ、「誤解を正すというより、チロルチョコの豆知識として楽しんでもらいたい」と述べています。

研究所メモ: 訂正を「豆知識」として出したのが効いています。事実関係を正すだけの投稿は説教くさくなりますが、雑学として差し出せば拡散されます。ファンが持っている思い込みは、正すのではなく話のタネに変える。 長く売られている商品を持つ企業ほど、この手の誤解は蓄積しているはずです。

カルピス×長澤まさみ — 20年分のCMを1本に重ねる

アサヒ飲料が2月24日、「CALPIS濃いめ」の発売に合わせてCM「カルピスすぎるぜ!」編の全国放送を開始しました。長澤まさみさんは2005年から20年以上「カルピス」のCMに起用されており、本編には2005年「ケンスイ男」編から2018年「発酵と発酵」編まで過去5作品分のカットを使用。高校生から母親まで演じてきた20年の歩みと、ブランドの進化を重ねる構成です(PR TIMES)。

研究所メモ: 20年同じ人を起用し続けたからこそ、過去の映像がそのまま資産になります。1月9日号で正月CMのタレント起用理由を扱いましたが、起用の価値は年数で複利的に増えるということ。短期で顔を替えていたら、この1本は作れませんでした。

サントリー — 3段階の映画仕立てで、リニューアルを話題にする

サントリー食品インターナショナルが、「クラフトボス 甘くないイタリアーノ」のリニューアルに合わせて「宇宙人ジョーンズ」シリーズのCMを3段階で展開しました。2月20日に「宇宙人ジョーンズ映画化決定!?」という真偽不明の予告篇、2月22日に役所広司さん、杉咲花さん、河合優実さんが登場する大作映画予告編風の第1弾、3月2日にLiLiCoさんと古市憲寿さんがカフェで種明かしをする第2弾です。第2弾で「甘くないイタリアーノにラテ専用ミルクが入って、カフェみたいな味が実現した。だから『カフェから人が消えた』っていうストーリー」という商品リニューアルの内容が明かされます(AdverTimes.)。

研究所メモ: 商品のリニューアルは、企業にとって重大でも消費者には関心を持たれにくい情報です。それを3段階に分け、最後まで見ないと分からない構造にしている。伝えたいことを最初に言わないという選択は勇気が要りますが、話題化の設計としては合理的です。

Duolingo — 平成の学園ドラマ風に、4:3の横型で

Duolingoが3月2日から、オリジナルショートドラマ「私立デュオリンゴ学園」の配信を開始しました。約3分×全4話構成で、デュオ先生の声優は伊藤英明さん、主題歌はGRe4N BOYZの書き下ろし『讃歌』。縦型が主流のSNSショート動画で、あえて4:3の横型フォーマットを採用し、平成の学園ドラマの懐かしさを演出しています。同社調査では日本人の約7割が英語に苦手意識を持ち、そのうち約7割が中学・高校時代にそう感じたとされます(AdverTimes.)。

CHOCOLATEの松下加奈氏は「学生時代の言語学習で挫折したほろ苦い記憶そのものに感情移入してもらえるように、英語学習の共感ポイントをストーリーに詰め込んでいます」と説明しています。

研究所メモ: SNSの定石である縦型を、意図を持って外しています。4:3にすること自体が「平成」という記号になる。同社は相撲大会やコンビニ型ポップアップも手がけており、毎回まったく違う形式を試しているのが特徴です。企業アカウントが型にはまりやすいなか、参考になる姿勢です。

支援の現場と、地域が、ファンの技術を使い始めた

味の素 — 6大会目の選手支援拠点、パリでは延べ3,925人が利用

味の素が、ミラノ・コルティナ2026冬季五輪でJOCの選手栄養サポート拠点「JOC G-Road Station」を運営しました。リオ2016から数えて6回目で、2024年のパリ五輪では延べ3,925人の選手が利用しています。同社は2003年に「ビクトリープロジェクト」を開始し、2009年に契約を「ゴールドパートナー」へ引き上げました。うま味成分を効かせた「だし」の汁物や「鍋キューブ」を使った「エネルギー豚汁」を提供し、パリからはミシュランシェフとの共同メニュー開発も始めています(AdverTimes.)。

グローバルコミュニケーション部の高橋和也氏は「ミラノの選手村ダイニングの食事は肉が硬かったり、野菜の味付けがオリーブオイルと塩だけで食べづらいという声を聞いた」とし、「うま味は、これから食事をするという『食欲のスイッチ』を入れる機能がある」と説明しています。

研究所メモ: 協賛社が現地で厨房を運営し、延べ3,925人に食事を出す。2月27日号の三井不動産が「場の活用」を評価軸にしていたのと同じで、ロゴを出すのではなく、自社の本業で貢献する形です。しかも冷凍餃子の海外販売にもつながっている。支援と事業が同じ線の上にあります。

鉾田市×まちスパチャプロジェクト — VTuberと話しながら野菜を買う

uyet Inc.が推進する「まちスパチャプロジェクト」が、茨城県鉾田市と連携し、2月28日・3月1日に鹿島灘海浜公園で農産物の無人販売スタンドを設置しました。さつまいも、いちご、ほうれん草などを販売しつつ、モニター上でVTuberが来場者とリアルタイムで交流するコーナーを併設。麗しリリリ、關白ミコ、平ヒカリの3名が1時間ごとに登場しました。同プロジェクトはこれまで全国8自治体で実施しており、10代〜30代中心のVTuberファンに「応援できる町」を見つけてもらい、ふるさと納税の拡大につなげることが目的です(Mogura VR)。

研究所メモ: 無人販売にVTuberを置く、という組み合わせが実務的です。人件費をかけずに接客が生まれ、しかもファンが遠方から関心を持つ。1月30日号の長野県がインフルエンサー21組で資料請求を2.3倍にした例と同じく、自治体の情報発信はファンダムの力を借りる段階に入っています。

国土交通省 — 万博会場の3Dデータを無償公開

国土交通省が3月6日、大阪・関西万博2025会場の3D都市モデルと点群データを、Project PLATEAUの一環として無償公開しました。G空間情報センターの公式サイトからダウンロードでき、商用利用や販促・グッズ化などの営利目的は禁止されています。Project PLATEAUは2020年に開始した全国の3D都市モデルのオープンデータ化プロジェクトで、防災、環境問題、都市開発などで活用されています。SNS上ではVRChatのワールド制作への活用を期待する声も出ています(Mogura VR)。

研究所メモ: 閉幕した会場を、データとして残して配る。1月9日号で万博グッズストアの地方巡回を、2月6日号でメモリアルキャラバンを取り上げましたが、物理的な記憶とデジタルの記憶を両方残しているわけです。大型イベントを終える企業にとって、終了後の資産設計として学ぶところがあります。

キャラクターが、くじと百貨店とアプリを横断した

侍ジャパン×サンリオ、モンチッチ×実写ONE PIECE

タイトーが3月6日から「タイトーくじ 侍ジャパン×サンリオキャラクターズ」を1回880円(税込)で発売しました。侍ジャパンのユニフォームを着たサンリオキャラクターズが集合し、A賞はホームベースへヘッドスライディングするポムポムプリンの抱き枕。E賞のハンドタオルとF賞のアクリルキーホルダーはそれぞれ全10種です(アニメ!アニメ!)。セキグチは3月14日から、Netflixシリーズ実写版『ONE PIECE』シーズン2とのコラボで「ルフィ モンチッチ」を発売。Sサイズが5,500円、キーチェーンが4,180円(税込)で、麦わら帽子は本物と同じ製法でストロー素材の平紐を編んで縫いつないでいます(超!アニメディア)。

研究所メモ: モンチッチの麦わら帽子を本物と同じ製法で作る、という一点にこだわりが出ています。累計7,000万体を売ってきたブランドが、他社IPを着せるときにも自社の作り方を落とさない。2月27日号のモンチッチ×ハローキティと合わせ、歴史あるキャラクター同士の掛け算が続いています。

高橋留美子3作品フェア、ジョジョ×アニメイト、ゴールデンカムイ一番くじ

「サンライズワールド」6店舗で3月14日から、『犬夜叉』『半妖の夜叉姫』『MAO』を対象にした高橋留美子作品フェアが始まります。3作品のキャラクターデザインを担当する菱沼義仁氏の描き下ろしキービジュアルを使った新商品や、影付け原画と完成イラストのアートプリントを販売します(アニメ!アニメ!、ORICON NEWS、超!アニメディア、山陽新聞)。アニメイトは3月20日から、アプリゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オラオラオーバードライブ』のハーフアニバーサリーフェアを開催(アニメ!アニメ!、超!アニメディア)。「一番くじ ゴールデンカムイ〜金塊争奪戦〜」は3月28日から1回850円(税込)で、杉元佐一・尾形百之助・海賊房太郎が約24センチのMASTERLISEフィギュアになります(アニメ!アニメ!、超!アニメディア)。

研究所メモ: サンライズワールドのフェアは、影付け原画と完成イラストを並べて売っています。制作の途中経過を商品にする発想で、作り手の仕事そのものがファンの関心事になっている。完成品だけでなく、過程を見せられる企業は商品の幅が広がります。

今週の所感

今週いちばん重い数字は、AIに勧められて実際に買った人が47.5%というものでした。

これまで企業は、検索結果の上位に出ること、SNSで話題になることを競ってきました。そこへ「AIが何と答えるか」という新しい関門が加わっています。しかも40代・50代の伸びが最も大きい。ファンが自社を知る経路が、この1年で大きく組み替わったということです。

同じ週に、チロルチョコが「サイズは変わっていない」と自ら発信し、650件以上のコメントを集めました。誤解は放っておくと事実として流通し、やがてAIも学習します。自社について正しい情報を、自社が一次情報として出しておく。 地味ですが、これから効いてくる作業だと思います。

推し活マーケティングの設計原則やファンマーケティングとあわせて、情報の入口という視点で今週の動きを見てみてください。


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