ロッテが雪見だいふくを648通りに/ポケモン30周年で全国234カ所のSAが記念仕様に【週刊推し活ニュース 2026年6月19日号】

2026年6月12日〜6月18日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードは、周年を体験の入口に変えるでした。
キン肉マンSTATIONが関西初出店、THE★JOJO WORLDが1周年、sanrio houseが西日本初出店と、老舗・人気キャラクターが周年や新業態を機に体験型店舗を広げました。『キン肉マン』はシリーズ累計7,700万部を突破した長寿IPで、周年ではなく「未開拓エリアへの進出」という切り口で話題を作っています。
食品・通信業界も動きました。ロッテは東京・中目黒に、定番商品「雪見だいふく」を648通りにカスタマイズできる実店舗を期間限定でオープン。サントリーとNEXCO東日本・中日本・西日本の3社は、ポケモン30周年に合わせて人気飲料18種の「進化ボトル」と、全国234カ所のサービスエリアを舞台にしたスタンプラリーを同時に展開しています。NTTドコモが主催した写真展「ばくモレ展」は、応募174作品の中から日本イベント大賞を受賞しました。
VTuber領域では、ムジュウリョクと壽屋が合弁会社「VEID」を設立。体験を作る技術とIPを作る力を持つ企業同士が、商品化まで一貫した事業運営体制の構築を目指します。
老舗キャラクターが、周年を機に体験ショップを広げた週
CCPJAPAN×キン肉マン — 「キン肉マンSTATION」が京都駅で関西初開催
CCPJAPAN株式会社と株式会社Suguruが主催する「キン肉マンSTATION」が、6月19日(金)から6月25日(木)までJR京都駅構内「エキマル ア・ラ・モードJR京都駅西口店」で開催されます。これまで関東・東日本を中心に開催してきたイベントの関西初出店で、フィギュアやアパレル、雑貨などが並びます。『キン肉マン』は1979年連載開始でシリーズ累計7,700万部を突破し、キャラクター消しゴム「キンケシ」は1.8億体以上を販売した実績を持ちます。会場で税込3,000円以上購入すると特製うちわがもらえるほか、購入者には先着で「写真撮影&握手会」の参加整理券が配布されます(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 関西初出店という切り口自体が、すでに全国で実績のあるイベントの未開拓エリアへの進出という定番の拡大策です。3,000円という購入ハードルにノベルティと握手会をセットにする設計は、単価を上げるだけでなく来場者に参加した実感を持ち帰らせる仕掛けになっています。地域拠点を持つ小売業にとって、既存企画の横展開は低リスクで学べる好例です。
THE★JOJO WORLD — 渋谷PARCOの体験型ショップが1周年
『ジョジョの奇妙な冒険』の体験型公式ショップ「THE★JOJO WORLD」(渋谷PARCO6階)が2026年7月24日にオープン1周年を迎えるのに先立ち、6月12日から記念企画が始まりました。新規描き下ろしイラストを使ったグッズ、2種類の新規ミニゲーム、アパレルブランドglambとのコラボTシャツ、公式Xでのフォロー&リポストキャンペーンなど複数の施策を同時展開しています。入場料は無料で、アトラクションやミニゲームのプレイのみ有料です(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 入場無料・体験課金という設計が、1周年施策と相性よく効いています。新規グッズだけでなくミニゲームやコラボアパレルまで同時に投入することで、1回の来店で終わらせず、また来る理由を複数用意している。周年施策を単発のセールにせず、体験の更新として設計する発想は、常設型の体験施設全般に応用できます。
サンリオ — 「sanrio house」西日本初出店をルクア大阪に
サンリオ監修の新業態「sanrio house」の2号店が、西日本初出店として2026年6月30日にルクア大阪6階にオープンします。ハローキティやシナモロールなどの等身大フィギュアが出迎える写真映え設計の店内に加え、ルクア限定の「クリアタンブラー」や「ハローキティ フェイストートバッグ」を用意。税込7,700円以上購入者には先着でオリジナルステッカーシートが配布されます。同時に、6月30日から7月20日まで催事スペースで期間限定ポップアップ「CAPSULE TOY LAND」も開催されます(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 既存キャラクターショップの2号店を西日本初と打ち出すことで、関西の既存ファンだけでなく新規客にも来店理由を作っています。常設店と期間限定ポップアップを同じ場所に同居させる設計は、常設の集客力と期間限定の話題性を両方得られる。1つの拠点で複数の来店動機を積み重ねる発想は、他の商業施設にも転用しやすい設計です。
通信と生協が、体験イベントで来場者を動かした週
NTTドコモ — 「ばくモレ展」がSNS漏洩啓発で日本イベント大賞に
日本イベント産業振興協会(JACE)は6月16日、「第12回JACEイベントアワード」の表彰式を開催し、応募総数174作品の中からNTTドコモ主催の写真展イベント「ばくモレ展」が最優秀賞・経済産業大臣賞(日本イベント大賞)に選ばれました。写真が「盛れる」ことと情報が「漏れる」ことを掛け合わせ、SNS上の情報漏洩リスクを楽しさや驚きを入り口に伝えた点が評価されました。NTTドコモの福岡真美氏は「安心・安全の啓発は重要な責務」と説明し、イベントをきっかけにシミュレーション型ゲームの配信や教育教材の展開にも取り組みを広げているといいます(AdverTimes.)。
イベントプロフェッショナル賞には、映画『8番出口』を題材にした東京メトロ全線の周遊型謎解き企画「東京メトロ脱出ゲーム」が選ばれ、来場者は約10万人弱に上りました。
研究所メモ: 「盛れる」と「漏れる」を掛け合わせるという言葉遊びに近い企画の軸が、堅い啓発テーマを写真展という体験に変換しています。社会課題の啓発を義務的な広報物で終わらせず、参加したくなる仕掛けに翻訳できるかどうかが評価の分かれ目になっている。自社の伝えたいメッセージを、まず楽しさに変換する発想は、業種を問わず啓発系の施策に応用できます。
日本生活協同組合連合会 — 「喫茶コープ」75周年で若年層との接点づくり
日本生活協同組合連合会は、創立75周年記念施策の1つとして、4月24日から26日まで東京・渋谷ストリーム前稲荷橋広場で記念イベント「喫茶コープ」を開催しました。ターゲットは20〜30代で、生協の組合員だけでなく未組合員にも生協やプライベートブランド「CO・OP商品」に触れる機会を広げる狙いです。テーマは「喫茶店」とし、ロングセラー商品「CO・OPミックスキャロット」の試飲やレトロ喫茶風のフォトスポットなどを展開。イベントを通して商品購入意向は93%に増加したと報告されています(AdverTimes.)。
研究所メモ: 生協という、すでに信頼はあるが若年層との接点が少ない業態が、レトロ喫茶という体験フォーマットを借りて接点を作った事例です。商品そのものを売り込む前に、まず場に来てもらい、試飲という低いハードルで体験してもらう順序が効いている。信頼資産はあるのに認知の接点がない業種ほど、体験からの逆算設計が有効だと分かります。
金融と時計メーカーが、キャラクターを長期接点に変えた週
エポスカード×夏目友人帳 — カード利用が熊本県人吉市の復興支援に
エポスカードは6月12日、アニメ『夏目友人帳』とのコラボレーションカード「夏目友人帳エポスカード」の申込受付を開始しました。デザインはニャンコ先生と熊本県の郷土玩具「花手箱」を描き下ろした「ニャンコ先生と花手箱」など2種類。利用金額に応じて付与されるエポスポイントのうち、利用額の0.1%分が『夏目友人帳』のモデル地である熊本県人吉市へ支援金として渡され、令和2年7月豪雨からの復興支援や環境保全に活用されます。新規入会後3カ月以内に累計10万円以上利用すると非売品のポーチが贈られるほか、記念のPOP UP SHOPが有楽町マルイなど5店舗を巡回します(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: カードという長期利用が前提の商品に、聖地への継続支援を組み込んだ設計が要点です。単発のグッズ購入では終わらない、使い続ける理由をファンに提供している。IPコラボを一過性のキャンペーンで終わらせず、金融商品のように継続利用の中に組み込む発想は、他業種のロイヤルティ施策にも応用できます。
セイコー×鋼の錬金術師 — 6万円台のコラボウオッチで継続顧客を狙う
セイコーは『鋼の錬金術師』とのコラボレーションウオッチ「セイコーコラボレーションウオッチ エドワード・エルリックモデル」を発売し、通販サイト「AMNIBUS」で受注を受け付けています。価格は65,780円(税込)。主人公エドワード・エルリックを象徴する赤い錬成陣をダイアルにデザインし、時計裏ぶたには作中の国家錬金術師の銀時計に刻まれた文字を再現。10気圧防水機能を備え、メーカー保証は3年です。原作は2001年連載開始で、連載開始20周年を機にした関連プロジェクトが継続的に展開されています(超!アニメディア)。
研究所メモ: 6万円台という価格帯は、グッズというよりアクセサリーやジュエリーの領域です。作中のディテールを裏ぶたや針の色まで再現することで、高単価でも購入理由を作っている。ライトなファン向けの低単価グッズと、コアなファン向けの高単価コラボを両方持つことが、IPホルダー側の収益の幅を広げる基本設計だと分かります。
飲料と製菓が、周年とカスタマイズで来店動機を作った週
サントリー×ポケモン — 人気飲料18種を「進化ボトル」に
サントリーは『ポケットモンスター』30周年を記念したタイアップ第2弾として、オリジナルパッケージ「ポケモン進化ボトル」を6月中旬より発売しました。人気ドリンク全18種にポケモンの「進化」をイメージしたデザインを展開し、「C.C.レモン」にはブランドカラーの黄色と炭酸の刺激から”でんきタイプ”のピチュー・ピカチュウ・ライチュウを、「ペプシ〈生〉BIG ZERO」などには初代『赤・緑』の御三家フシギダネ・ヒトカゲ・ゼニガメとその進化形をデザインしています(AppBank)。
研究所メモ: パッケージデザインだけで、既存の主力ドリンクをまるごとコラボ商品に変える手法です。新商品を開発する必要がなく、在庫リスクを抑えたまま話題を作れる。ブランドカラーとキャラクターの属性をひもづける発想は、飲料に限らず色や質感で語れる商品全般に転用できます。
NEXCO3社×ポケモン — 全国234カ所のSAでスタンプラリー
NEXCO東日本・中日本・西日本の3社は、『ポケモン』30周年記念キャンペーン「めぐってであおう!ポケモンサービスエリアのたび」を7月1日から9月30日にかけて開催します。全国234カ所のサービスエリア・パーキングエリアを対象に、オリジナルスタンプラリー、フォトパネル設置(54カ所)、グッズ販売(アクリルスタンド142カ所、アクリルキーホルダー170カ所)を展開。スタンプラリーの応募者には抽選でA賞(1,000名)・B賞(1,000名)・SP賞(250名)が用意されています(GAME Watch)。
研究所メモ: 234カ所という規模の大きさが、そのままドライブの目的地の数に変わります。1カ所あたりの投資は小さくても、面で展開すれば立ち寄る理由が全国に散らばる。既存のインフラを持つ企業が周年IPと組むと、拠点網そのものが広告塔になるという好例です。
サーティワン×ドラゴンクエスト — 追加施策で来店を継続
B-R サーティワン アイスクリームは、6月1日から30日まで開催中の『ドラゴンクエスト』コラボキャンペーンについて、6月15日から21日の期間限定で追加施策を実施します。対象商品を購入するごとに、ゲームの「冒険の書」をモチーフにした、鉛筆で書けるメモ機能付きの「書けるクリアファイル」を数量限定でプレゼントします(おたくま経済新聞)。
研究所メモ: 1カ月間のキャンペーン期間の中盤に、あえて追加施策を挟む設計です。開始時の話題が落ち着く時期に再度ノベルティを投入することで、来店の波を1回で終わらせない。長期キャンペーンほど、期間の途中に小さな再点火を仕込む工夫が、来店頻度を左右します。
ロッテ — 「雪見だいふく」を648通りにカスタマイズできる店
ロッテは6月17日、ロングセラー商品「雪見だいふく」を自分好みにカスタマイズできる実店舗を東京・中目黒に期間限定でオープンしました。営業は9月23日までの完全予約制。8種類のアイス、9種類のトッピング、9種類の仕上げから選べる組み合わせは648通りで、価格は2つ990円からです。店舗専用に厚く柔らかい求肥を特別開発し、スタッフが目の前で手作業で包む形式です。雪見だいふくは1981年発売で今もロッテのアイス売上額2位を誇りますが、10代・20代の需要は伸び悩んでいました。2016年の表参道での実店舗が4時間待ちの人気となった実績を踏まえ、今回は中目黒を選んでいます(AdverTimes.)。
研究所メモ: ロングセラー商品の課題は、知られすぎていて新しく語れないことです。ロッテはカスタマイズという参加型の体験に変えることで、商品そのものではなく自分だけの組み合わせを語らせる仕掛けを作りました。若年層の需要が伸び悩む定番商品ほど、味や品質の改良よりも体験の設計を変えるほうが効くという事例です。
アパレルと小売が、グッズを店頭とオンラインに広げた週
GU×パペットスンスン — 品切れを見込んで追加予約販売を用意
GUは6月19日発売の「パペットスンスン」とのコラボコレクションについて、好評による品切れを見込み、6月25日までオンラインストアで数量限定の追加予約販売を実施すると発表しました。「スンスンたちとアイスクリーム」をテーマに、レディース向けグラフィックTシャツを中心に全15種を展開。レディースTシャツは各1,490円(税込)です(インサイド)。
研究所メモ: 発売前から品切れ後の追加予約を告知するのは異例です。欠品を待つのではなく、あらかじめ手当てすることで機会損失を防ぎつつ、話題性そのものを事前告知に使っている。人気が見込めるコラボほど、発売後の対応を後追いにせず初動から用意しておく設計が有効です。
しまむら×ポケモン — オンライン限定で全国に届ける
しまむらは6月17日15時より、公式オンラインストアで『ポケットモンスター』とのコラボグッズを予約販売します。ピカチュウやゲンガーをデザインした和柄アラジンパンツのほか、枕・枕カバー・敷きパッドなど寝具類を含む全8アイテムをラインナップ。発送は7月下旬から8月中旬を予定しています(インサイド)。
研究所メモ: 店舗在庫を持たず、オンライン限定の予約制にすることで、全国どの店舗の近くにいるかに関係なく届けられます。地方の店舗数がまばらなチェーンほど、オンライン限定コラボは公平に需要を拾える手段です。
ドン・キホーテ×阪神タイガース — 関西限定の応援タオル
関西のドン・キホーテでは6月30日より、プロ野球「阪神タイガース」とのコラボ応援タオルが限定発売されます。店内の手書きPOP文字「ドンキ文字」の専門ライターが手がけたデザインで、藤川監督と選手12人を合わせた全13種のフェイスタオル(約34×80cm)。価格は各2,200円(税込)です(インサイド)。
研究所メモ: 自社の店内文化である手書きPOPを、そのままグッズのデザイン言語に転用しているのが特徴です。外部のデザイナーを起用せず、自社にしかできない表現を商品化することで、他チェーンには真似できない差別化になっています。
VTuber事業で、企業同士が新会社をつくった週
ムジュウリョク×壽屋 — 合弁会社「VEID」でVTuber事業へ
ムジュウリョク株式会社と株式会社壽屋は、合弁会社「株式会社VEID(ヴェイド)」を設立すると発表しました。事業内容はバーチャルタレント(VTuber等)を含む動画コンテンツの企画・制作・配信・運営などで、商品化まで一貫した事業運営体制の構築を目指すとしています。ムジュウリョクはモーションキャプチャー技術とAI制御を組み合わせ、VRキャラクターを現実空間に融合させる「Vダイバー」を展開するXR企業で、壽屋はフィギュア事業に加え、2020年からVRChat向けアバター販売を継続してきました(Mogura VR)。
研究所メモ: 体験を作る技術を持つムジュウリョクと、IPを作る力を持つ壽屋が合弁を組んだ点が要点です。どちらか一方だけでは、VTuberという商材を企画から商品化まで一気通貫で持てなかった。自社に足りない工程を、買収ではなく合弁という形で補う設計は、VTuber事業に限らずIPビジネス全般の座組みの参考になります。
ローソンエンタテインメント×ホロライブ — 61名分のグッズと店頭プリント
ローソンエンタテインメントは、2026年3月に開催されたライブイベント「hololive 7th fes. Ridin’ on Dreams」の限定グッズを@Loppi・HMV&BOOKS onlineで予約受付しています(受付は6月15日まで)。総勢61名分の衣装チャーム・アクリルスマホスタンド(各1,980円・2,750円)に加え、ローソン店内のマルチコピー機サービス「ローソンプリント」でもオリジナルブロマイド(L判300円)を5月19日から7月27日まで販売します(インサイド)。
研究所メモ: グッズの事前予約とコンビニのコピー機販売を組み合わせることで、事前予約したい熱量の高いファンと、店頭でふらっと買いたいファンの両方を1つの企画で取りこぼしていません。物販チャネルを1つに絞らず、熱量に応じて複数の入口を用意する設計は、ライブグッズに限らず応用が利きます。
今週の所感
今週は、「周年」が新しい体験を作るきっかけになった週でした。
キン肉マンSTATIONの関西初出店、THE★JOJO WORLDの1周年、ポケモン30周年に合わせたサントリーとNEXCOの同時展開。いずれも、すでに知られたIPやブランドが、周年という区切りを使って新しい体験を作っています。ロッテの雪見だいふくも同じ構図です。1981年発売のロングセラー商品を、カスタマイズという参加型の体験に変えることで、伸び悩んでいた若年層の関心を取り戻そうとしていました。
一方で、VEIDの合弁会社設立のように、事業の座組みそのものを作り直す動きも見えました。体験を作る技術とIPを作る力を別々の企業が持ち寄る座組みは、今後のVTuber事業における一つの型になりそうです。知られていることは、新しくないことと同じではありません。
自社の周年や記念日を、どんな体験に翻訳できるか。推し活マーケティングの設計原則やファンビジネスの基本とあわせて、今週の動きを見てみてください。
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