レジャー白書 10〜20代の半数近くが推し活/ソニーが推し活スマホ発売/セゾンが漫画原作大賞【週刊推し活ニュース 2026年10月30日号】

2026年10月23日〜29日の発表から、推し活マーケティング・ファンビジネスのニュースを8本選びました。日本生産性本部の「レジャー白書2026」で、推し活が余暇の統計の中ではっきり数字になって表れた週です。スマートフォンやクレジットカードのように毎日持ち歩くものにも、推しと過ごす時間を持ち込む企業が増えています。
全18本の完全版は、noteで公開しています。本記事では企業の取り組みと調査から8本を紹介します。
今週のハイライト
「レジャー白書2026」の特別調査によると、2025年に推し活をした人は23.6%で、10代は47.7%、20代は45.0%でした。音楽コンサートの市場は過去最大になり、白書は大規模なアリーナ公演や推し活の熱量が支えたと分析しています。タイトーの調査でも、10代女性の75.6%に推しがいると分かりました。
企業の側では、ソニーがスマートフォンの壁紙を推しの作品に切り替えられる「Fan Sync」を新機種の売りにし、ナッジはバーチャルシンガー「CIEL」の公式クレジットカードを出しました。クレディセゾンは漫画原作の賞を立ち上げてIPを自分たちで育て始め、電通はIPとファンの特徴を分析するサービスを始めています。
ファンの「好き」を形にする場も広がっています。41回目のサンリオキャラクター大賞は過去最多の7064万票を集め、ME:Iの笠原桃奈さんの誕生日には、ファンが集めた費用で1,000機のドローンが夜空を飾りました。
余暇の統計にも、推し活の広がりがはっきり表れた
レジャー白書2026 — 10代と20代の半数近くが推し活
日本生産性本部は10月27日、「レジャー白書2026」の発表会を開きました。2025年の余暇関連市場は前年より3.9%多い78兆1,320億円で、コロナ禍前の2019年を8.1%上回りました。音楽コンサートは過去最大の規模になり、白書は動員数とチケット単価の上昇に加えて、大規模なアリーナ公演や推し活の熱量が支えたと分析しています。特別調査では、2025年に推し活をした人は23.6%で、10代は47.7%、20代は45.0%、女性は29.1%、男性は18.0%でした。情報源は「公式サイト・公式SNS・公式アプリ」が55.3%で最も多くなっています。
出典:トラベルボイス「2025年の余暇市場3.9%増78兆円、音楽ライブ・スポーツ観戦や『推し活』が成長を後押し」
研究所メモ: 10代と20代の半数近くが推し活をしているという数字に、勢いを感じます。ファンがまず公式の発信を見に行くという結果からは、企業や運営が自分たちの言葉で発信する大切さも伝わってきます。
タイトー — 2026年の流行グッズは「目印マスコット」
タイトーは、11月4日の「いい推しの日」に合わせて、第4回となる「推し活」と「グッズ」に関するアンケートの結果を発表しました。10月6日から9日に10〜30代の男女500人に聞いたもので、2026年に流行したと思う推し活グッズの1位は「目印マスコット・チャーム」でした。好きな推しのグッズは、ぬいぐるみ(小・中)が3年連続の1位です。推しがいる人は45.2%で、10代女性では75.6%にのぼりました。グッズの入手先は公式ショップ・物販が70.4%で、クレーンゲーム・カプセルトイも25.2%ありました。
研究所メモ: かばんに付けて目印にするマスコットが流行したのは、推しを身につけて出かける人が増えた表れかもしれません。クレーンゲームやカプセルトイで手に入れる人が4人に1人いるのは、ゲームセンターを運営するタイトーならではの気づきです。
毎日使うスマホやカードに、推しと過ごす時間を持ち込む
ソニー — 壁紙を推しの作品に変える「Fan Sync」
ソニーが10月8日に発売したスマートフォン「Xperia 10 VIII」は、新サービス「Fan Sync」を売りにしています。専用のカードを読み込むと、ホーム画面やロック画面の壁紙、時計まわりのデザインを作品のものに切り替えられます。発売記念のキャンペーンでは、購入して申し込んだ先着2万人に「鬼滅の刃」デザインのカード2種類を贈り、ソニーストアではハローキティとのコラボモデルを1,000セット限定で販売しました。日経クロストレンドは、円安とメモリー価格の高騰で価格が前の機種より2万円以上高くなり、基本性能がほぼ変わらないなかで、ソニーが「推し活」を差別化の軸に打ち出していると伝えています。
出典:ソニー「新サービス『Fan Sync』を体験できるスマートフォン『Xperia 10 VIII』を発売」、日経クロストレンド
研究所メモ: 性能や価格で差をつけにくくなったスマートフォンが、「推しと一緒に持ち歩けるか」で選ばれる時代になってきたのかもしれません。ソニーはFan Syncで採用してほしい推しのアンケートも募っていて、ファンの声で対応作品が増えていけば楽しみが広がりそうです。
ナッジ — バーチャルシンガー「CIEL」の公式クレジットカード
ナッジは10月29日、THINKRと提携し、バーチャルシンガー「CIEL」の公式クレジットカード「CIEL CARD」の提供を始めました。国際ブランドはJCBかVisaから選べ、年会費は無料、カードの発行費用は3,000円(税込)です。CIELクラブに入会した人だけが選べるオリジナルデザインがあり、利用に応じて直筆のデジタルwelcomeメッセージや限定の描き下ろし壁紙、録り下ろしボイス(後日公開)が届きます。カードを使うと、決済手数料の一部がクラブに還元されます。
出典:ナッジ「バーチャルシンガー『CIEL』の公式クレジットカードを提供開始」
研究所メモ: 先週ご紹介した三菱UFJニコスの「応援+カード」に続き、毎日の支払いを推しの応援に結びつけるカードがまた一つ増えました。画面の向こうで活動する推しにとっても、ファンの日常の買い物が支えになる仕組みは心強いと思います。
カード会社や広告会社が、IPを育てたり選んだりする側に回る
クレディセゾン — 漫画原作を募る「まんがセゾン原作大賞」
クレディセゾンは、創作プラットフォームを運営するindentと組み、漫画原作を募る「まんがセゾン原作大賞」を始めました。募集期間は10月26日から2027年1月31日までで、プロ・アマ、ジャンルを問いません。賞金は大賞が200万円、優秀賞が各50万円で、受賞作は漫画化が確約され、同社の電子書籍サービス「まんがセゾン」で配信する予定です。同社は2026年8月に全社横断の「推し活課」を新設しており、受賞作をカードやグッズ、通販サイト「STOREE SAISON」、イベントと結びつけてIPに育てることも検討しています。
出典:ペイメントナビ「indentと『まんがセゾン原作大賞』開催」
研究所メモ: これまで提携カードなどでIPホルダーと組んできたカード会社が、IPを生み出す側にも回ろうとしているのが新しいと感じます。原作の段階から関われば、作品が育っていく過程そのものをファンと一緒に楽しめそうです。
電通 — IPの市場での位置とファンの特徴を見える化
電通は10月27日、アニメや映画、アーティストなどのコンテンツについて、市場での位置づけとファンの特徴を共通の指標で見える化する「コンテンツデータソリューション」の提供を始めました。2020年から社内で使ってきた分析ツール「コンテンツプランナー」をもとに、全国10万人を超える調査データと、約15万人に年2回行う生活者意識調査を組み合わせます。IPの市場での位置と競合との関係を示す「電通コンテンツMAP」や、ファンの規模や属性、価値観、行動の特徴まで分析する「電通コンテンツファン・プロファイリング」など4つのメニューがあります。今後はスポーツや海外市場にも対象を広げる予定です。
研究所メモ: コラボ相手を選ぶときに、ファンの価値観まで踏まえて考えられるのは企業にとって心強い材料です。データで相性を確かめたうえで、最後はその作品やアーティストを大切に思う気持ちが伝わる企画にできるかどうかが大事なのだと思います。
40年続く投票や夜空の広告で、ファンの好きを形にする
サンリオ — キャラクター大賞は過去最多の7064万票
宣伝会議のAdverTimesは10月27日、『販促会議』12月号から、サンリオキャラクター大賞の企画・運営を担当するサンリオの日置佳苗さんへの取材記事を掲載しました。41回目となる2026年の大賞は、46日間の投票期間で総得票数が過去最多の7064万7379票に達しました。1986年の第1回はハガキ投票で、3万通を超える応募でした。いまはWebで1キャラクターにつき1日1回投票でき、店舗やオンラインショップでの買い物でも投票できます。約90キャラクターがエントリーする中で、最大15キャラクターをお気に入り登録してまとめて投票できる機能や、投票した日数に応じて追加の投票券がもらえる「まいにち投票スタンプ」も加わりました。
出典:AdverTimes「なぜ『サンリオキャラクター大賞』はここまで盛り上がる?」
研究所メモ: 毎日の投票が大変だというファンの声を聞いて、毎年少しずつ仕組みを直してきたところに、ファンへの誠実さを感じます。キャラクターとファンが「大好き」を伝え合う場と位置づけているのもすてきです。
センイルJAPAN — ファンの費用で1,000機のバースデードローンショー
10月24日、東京の隅田川沿いで、ME:Iの笠原桃奈さんの誕生日を祝う1,000機のドローンショーが行われました。ファン有志の「笠原桃奈FANBASE」が主催し、応援広告を手がけるセンイルJAPANが企画・制作、ドローンショー・ジャパンが運営しています。費用は推し広告向けのクラウドファンディング「推しクラファン」でファンから集めました。ME:Iの楽曲に合わせて、夜空に「桃奈ちゃん宇宙一愛してる」の文字やバースデーケーキを描いています。9月のBTS・JUNG KOOKさんに続く「推し活ドローンショー」の第2弾です。
出典:マイナビニュース
研究所メモ: 駅や街の広告でおなじみの応援広告が、とうとう夜空にまで広がりました。誕生日を祝いたいファンと、それを実現する技術を持つ企業をつなぐ仕組みが、推し活の表現をどんどん広げていると感じます。
今週の所感
「レジャー白書2026」で、推し活が余暇の統計の中ではっきり数字になりました。10代と20代の半数近くが推し活をしていて、音楽コンサートの市場が過去最大になった理由にも推し活の熱量が挙げられています。ファンがまず公式の発信を見に行くという結果も、企業にとって見逃せない点です。
スマートフォンやクレジットカードのように、毎日持ち歩くものに推しを持ち込む動きも続いています。ソニーのFan SyncやCIELのカードは、性能や価格とは別に「推しと一緒にいられるか」で選ばれる場面が増えていることを感じさせます。
クレディセゾンの原作大賞や電通の分析サービスからは、IPを借りるだけでなく、育てたり、相性を確かめたりする段階に企業が進んでいる様子がうかがえます。サンリオキャラクター大賞やファンが集めたドローンショーのように、ファンの「好き」を形にする場を丁寧に用意することが、長く応援してもらえる関係につながるのだと思います。
前号:ウマ娘LA公演中止での返金と、暮らしの手続きに入る推し活
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