目印チャームがヒット商品1位/フジとSBIがファン事業で提携/関東経産局が推し活産業イベント【週刊推し活ニュース 2026年11月6日号】

2026年10月30日〜11月5日の発表から、推し活マーケティング・ファンビジネスのニュースを8本選びました。日経トレンディの「2026年ヒット商品ベスト30」で、推し活の定番になった目印チャームが1位に選ばれた週です。11月4日の「いい推しの日」に合わせて、国や県が推し活を地域の経済につなげる取り組みを打ち出したことも目立ちました。
全13本の完全版は、noteで公開しています。本記事では企業の取り組みと調査から8本を紹介します。
今週のハイライト
日経トレンディは「2026年ヒット商品ベスト30」の1位に目印チャームを選び、低価格でキャラクターと組んだ商品が「推し」という付加価値で支持されたと分析しました。USENの楽曲投票サービス「推しリク」は登録者が217万人になり、75万人以上が実際に店を訪れて推しの曲をリクエストしています。
企業の側では、フジ・メディア・ホールディングスとSBIグループが資本業務提携を結び、アイドルとファンが1年を通してつながるファンプラットフォーム事業の検討を始めました。DeNAは、ライブ配信アプリ「Pococha」の配信者が公認したAIと、ファンが話せる機能を正式に提供しています。
国や自治体も動きました。関東経済産業局は推し活の需要を地域のビジネスにつなげるイベントを初めて開き、静岡県は推し活ツーリズムを柱の一つにした産業計画を発表しています。ジェイアール東海バスは、夜行バスの新しい発着地に池袋のサンシャインシティを加えました。
小さなチャームと店のBGMに、推しを身近に置く人が増えた
日経トレンディ — ヒット商品ベスト30の1位は「目印チャーム」
日経トレンディは、毎年12月号で発表している「ヒット商品ベスト30」の2026年版を公開しました。2025年10月から2026年9月までに発表・発売された商品やサービスを「売れ行き」「新規性」「影響力」の3つで評価し、1位にはシリコーンの輪でさまざまな物に取り付けられる「目印チャーム」を選んでいます。バンダイ製は1億2000万個を出荷し、カプセルトイ市場をけん引しました。2位は「TikTok Shop」、3位は累計4500万枚を超えた「ボンボンドロップシール」です。日経トレンディは、低価格でキャラクターIPとコラボした商品が「推し」という付加価値で支持され、支出を抑えながら小さな幸せを得る「ポケット消費」が広がったと分析しています。
出典:日経クロストレンド「日経トレンディ『2026年ヒット商品ベスト30』 この1年で売れたものは」、オリコンニュース
研究所メモ: 先週ご紹介したタイトーの調査でも、2026年に流行したと思う推し活グッズの1位は目印マスコット・チャームでした。推し活の定番として広がったアイテムが、その年のヒット商品の1位にまで選ばれたのはうれしいニュースです。手ごろな値段で推しを身近に連れて歩けることが、物価高の中で多くの人に選ばれた理由なのだと感じます。
USEN — 楽曲投票「推しリク」の登録者が217万人に
USENは、楽曲投票サービス「USEN 推し活リクエスト(推しリク)」の利用状況を公表しました。2024年3月に始まった無料のサービスで、ファンの投票で上位に入った曲が、USENの店舗向け音楽配信で全国の店舗に流れます。9月30日時点の登録者は217万人、総リクエスト数は約15.7億回、利用店舗は約1万店です。利用者の78%が女性で、10代と20代が44%を占めます。2026年3月に始めた「USEN 推し活リクエストMAP」では、推しの曲が流れる店や、来店するとリクエストを1回増やせる店を探せます。実際に店を訪れてリクエストした人は75万人を超えました。
出典:Musicman「USEN『推し活リクエスト』、登録者217万人 75万人以上が店舗を訪れてリクエスト」
研究所メモ: 推しの曲が街のお店で流れるのは、ファンにとって誇らしい瞬間です。お店の側もリクエストの傾向や来店した人の年代・性別のデータを集客に生かせるそうで、ファンの応援がそのまま来店のきっかけになっています。BGMという身近なメディアが、ファンとお店をつなぐ場所になっていることに驚きました。
テレビ局と金融、配信アプリがファンとの関係を事業の柱に
フジHDとSBI — アイドルとファンをつなぐ事業を検討
SBIホールディングスとSBIネオメディアホールディングス、フジ・メディア・ホールディングスは11月2日、メディア・コンテンツ領域での資本業務提携契約を結びました。ライブやイベント、スポーツ興行など人が実際に集まる場を「リアルメディア」と捉え、これを中核とする合弁会社を2027年1月に設立する予定です。出資比率は両グループが50%ずつです。提携の第1弾として、アイドルをはじめとするアーティストとファンが1年を通してつながるファンプラットフォーム事業の子会社の設立を検討しています。フジの番組・イベントの企画制作力と、SBIグループの8,800万を超える顧客基盤や決済の技術を組み合わせ、国内で確立したモデルをアジアから海外へ広げることを目指します。
出典:SBIホールディングス「SBIグループとフジ・メディア・ホールディングスによるメディア・コンテンツ領域における戦略的資本業務提携のお知らせ」、Impress Watch
研究所メモ: テレビ局のグループと金融グループが、ファンとアーティストの関係そのものを事業の柱に据えようとしていることに驚きました。SBIグループは感情の循環から生まれる経済を「感情経済圏」と呼んでいて、応援する気持ちが決済や投資にまでつながる構想のようです。イベントの日だけでなく1年を通してファンとつながる場がどんな形になるのか、注目しています。
DeNA — 「Pococha」の配信者が公認したAIと話せる機能
DeNAは11月4日、ライブ配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」と推し活AIアプリ「OSHIAI」の連携機能を正式に提供すると発表しました。OSHIAIはアイドルやVTuber、配信者などが公認したAIと、チャットや音声でやり取りできるアプリです。配信者が所属する「Pocochaオーガナイザー」が、本人に説明して同意を得たうえで、Pocochaのプロフィール情報を取り込んで公認AIを作ります。AIの名前や紹介文、画像は公開前に確認・編集できます。今回の連携は2026年5月に発表した取り組みの正式版で、配信のない時間にもファンと配信者の接点を広げるねらいがあります。
出典:DeNA「Pococha、推し活AIアプリ『OSHIAI』との連携機能を正式リリース」、CNET Japan
研究所メモ: 配信が終わったあとも推しと話せる時間があるのは、ファンにとってうれしい変化かもしれません。そのぶん、本人の同意をきちんと取ることや、公開前に内容を確かめられる仕組みが用意されている点が大事だと感じました。
国と県が、推し活の需要を地域の経済につなげようと動き出す
関東経済産業局 — 推し活の需要を地域につなぐイベントを初開催
経済産業省関東経済産業局と日本立地センターは11月4日の「いい推しの日」に、東京・霞が関の経済産業省別館で「推し活産業創出ネットワーキングイベント」を初めて開きました。自治体や飲食・観光・宿泊・交通の事業者、コンテンツホルダー、DMOなどを対象に、推し活の需要を地域のビジネスにつなげることを目的とした催しです。同局がOshicocoなどと7月に行った調査では、遠征するファンの約7割が1回の遠征で3万円以上を使い、約6割が「地域を好きになった」「再訪意向がある」と答えました。一方で、自治体の約9割が推し活は地域活性化に有効だと答えながら、半数以上は具体的な取り組みに至っていません。
出典:関東経済産業局「『推し活産業創出ネットワーキングイベント』を開催します」、NHKニュース
研究所メモ: ファンがお金を使ってその土地を好きになっても、受け入れる側の準備が追いついていないという調査結果は、とても率直だと思いました。交通や宿泊の会社と自治体、作品の権利を持つ会社が同じ場で話し合うことで、ファンが訪ねやすい地域が少しずつ増えていくのではないでしょうか。
静岡県 — 推し活ツーリズムを柱にした産業計画を発表
静岡県は11月4日、国の地域未来戦略に沿って、コンテンツ関連産業で地域の振興を目指す「地域産業クラスター計画」を発表しました。模型産業を核に、2026年度から2030年度までの5年間で計130億円の投資を見込んでいます。推し活ツーリズムの推進、クリエイティブ人材の育成、コンテンツ産業の振興の3つを「オシノミクス3本の矢」と位置づけ、連動させて進める計画です。
出典:静岡新聞「静岡県、“模型”を核に130億円の投資見込む コンテンツ産業『クラスター計画』発表 推し活ツーリズムなど推進」
研究所メモ: アニメや映画の舞台を訪ねる推し活ツーリズムが、県の産業計画の柱の一つに入ったことに注目しました。プラモデルづくりで知られる静岡らしく、ものづくりとファンの旅を結びつけようとしているのが面白いところです。
夜行バスや音楽配信が、ファンの移動と応援を後押しする
ジェイアール東海バス — 夜行バスが池袋サンシャインに発着
ジェイアール東海バスは10月29日、名古屋と東京を結ぶ夜行バス「ドリームなごや号」に、12月1日から池袋を発着する便を加えると発表しました。池袋を経由するのは名古屋駅22時30分発の6号と東京駅23時20分発の9号で、東池袋の「池袋サンシャインシティバスターミナル」に発着します。名古屋からの便は池袋に5時05分に着きます。運賃は片道2,400円(得割適用運賃)からで、4列シート車で運行します。同社はこの場所を「観光やビジネスはもちろん、イベント参加や推し活にも便利な立地」と紹介しています。
出典:乗りものニュース「JR夜行バスが新規乗り入れ!『東京・推し活の聖地』にドリーム号の直行便が誕生」
研究所メモ: 夜行バスで朝早く着いて、そのままイベントに向かえるのは、遠征するファンにとって心強いと思います。交通会社が「推し活」という言葉で行き先を紹介していることから、ファンの移動が大きな需要として見られていると感じました。
楽天ミュージック — 1,000回の再生でお見送り会の抽選に参加
音楽配信サービスの楽天ミュージックで、11月4日の「いい推しの日」に合わせた超ときめき♡宣伝部の再生キャンペーンが始まりました。期間は11月27日までです。「超とき宣“いい推しの日”プレイリスト」をお気に入りに登録し、収録曲を合計1,000回以上再生すると、12月19日に開かれるお見送り会の抽選の対象になります。招待は30人で、参加者全員には楽天ミュージック限定のデジタル集合画像が贈られます。1曲をフルサイズで再生すると1回と数え、アプリでの再生だけが対象です。
出典:マイナビニュース、Musicman「楽天ミュージック、AND2BLE『French Kissing』と超ときめき♡宣伝部のプレイリストの再生キャンペーンを開始」
研究所メモ: チケットやグッズを買うだけでなく毎日曲を聴くことそのものがイベントへの参加につながるのは、面白い仕組みだと感じました。再生数はアーティストにとっても大切な数字なので、ファンの「好き」がそのまま応援として積み上がっていきます。
今週の所感
日経トレンディのヒット商品1位に目印チャームが選ばれ、推し活の定番アイテムがその年の消費をいちばんよく表すものとして取り上げられました。USENの「推しリク」のように、推しの曲を店で流すことがファンの来店につながる仕組みも広がっていて、推し活が日々の買い物や外出と結びついていることがよく分かる週でした。
フジ・メディア・ホールディングスとSBIグループの提携や、Pocochaの公認AIからは、イベントや配信の時間だけでなく、1年を通してファンとつながる場をつくろうとする企業の動きが見えます。本人の同意やファンの気持ちを大切にしながら、つながる時間をどう広げていくかが問われていると感じます。
関東経済産業局のイベントや静岡県の産業計画のように、国や県も推し活を地域の経済の言葉で語り始めました。夜行バスが池袋への便を加えたように、ファンが訪ねやすい仕組みが少しずつ整っていけば、推し活の遠征は地域にとっても大切な出会いの機会になっていくのではないでしょうか。
前号:レジャー白書で見えた推し活の広がりと、推しを持ち歩くスマホやカード
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