ヱビス拠点、1000万円のビール醸造体験/みずほ×Mrs. GREEN APPLEの新聞広告【週刊推し活ニュース 2025年4月11日号】

2025年4月4日〜4月10日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードは、ファンとの接点を、場と紙面と誕生日でつくるでした。
サッポロビールは、東京・恵比寿のブランド体験拠点「YEBISU BREWERY TOKYO」の開業1周年にあわせ、オリジナルビールをタンク1本分(約1,500杯分)開発できる新サービス「YEBISU 1TANK」を税込1,000万円で募集開始。この1年で来場者数は30万人を超え、6割が20〜30代という新しい客層と接点を持ちました。みずほは3月18日・19日の読売新聞に、Mrs. GREEN APPLEとファンの想いをつなぐ2日がかりの新聞広告を出稿。ヤマサ醤油は俳優・大泉洋の誕生日にあわせ、韓国発の「センイル広告」を東京・大阪・北海道に掲出しています。
技術面でも動きがありました。GMOペパボはVRChat空間で採用のカジュアル面談を実施し、堀江貴文氏は著名人をAIタレントとして運営する「ホリエモンAIキャラクター事務所」を開設。森永乳業は大阪・関西万博のブースで、手・声・脳波を使うVRシューティングゲームを先行公開しました。
映画館とテーマパークが、ファンの再来場をしくみにした
KING OF PRISMシリーズ — 「応援上映」でファンを何度も呼び込む
映画館で観客が声援を送りペンライトを振れる上映形式「応援上映」は、2010年代から広まりました。火付け役のひとつとされる「KING OF PRISM」シリーズでは、字幕の呼びかけに観客が声を出す“プリズムアフレコ”が特徴。2024年8月16日公開作では、10月から日本アニメ史上初となるSCREENX・ULTRA 4DX上映も展開されました。最新作「KING OF PRISM-Your Endless Call-」は2025年6月27日に公開予定です(AdverTimes.)。
熱心なファンは複数の映画館を訪れ、同じ作品を100回を超えて鑑賞する人もいるといいます。
研究所メモ: 1回ごとに観客が変わり体験も変わる設計が、遠方の劇場へ何度も足を運ばせる理由になっています。作品を「観る」だけでなく「参加する」余地を残すことが、リピート来場という結果につながります。
名探偵コナン×USJ — 原作者も驚くオリジナルストーリー2施設
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン内で展開中の「名探偵コナン・ワールド」に、原作者・青山剛昌氏が訪問しました。推理ライブ・レストラン「名探偵コナン・ミステリー・レストラン」では、フレンチを楽しみながら犯人を推理する体験を提供。4月18日公開の劇場版最新作『名探偵コナン 隻眼の残像』と連動する脱出ゲーム「名探偵コナン・ザ・エスケープ ~残像の序幕~」も用意されています(超!アニメディア)。
青山氏は施設内にサインを残すサプライズも行い、来場者に発見を呼びかけました。
研究所メモ: 映画公開の2週間前に、原作者本人を体験施設へ招いています。新作の宣伝を広告だけに頼らず、常設施設での原作者の反応をニュースにできる点が、テーマパーク型IP展開の強みです。
食品・飲料メーカーが、ブランド体験と広告でファンと向き合った
サッポロビール — ヱビス体験拠点1周年、1,000万円のビール醸造体験
サッポロビールは、東京・恵比寿の「YEBISU BREWERY TOKYO」開業1周年を記念し、オリジナルの「ヱビスビール」をタンク1本分(約1,500杯分)開発できる新サービス「YEBISU 1TANK」を税込1,000万円で募集開始しました。企業のイベント活用を想定しています。あわせて、スコッチウイスキー「デュワーズ」12年の木樽で熟成させるコラボ企画も実施。同拠点は1988年の恵比寿工場閉鎖から35年ぶりに復活した醸造施設で、来場者数は開業以来30万人以上、6割が20〜30代の若年層でした(AdverTimes.)。
この1年で限定オリジナルビールを17品発売し、うち3品は全国発売のナショナルブランドとして商品化されています。
研究所メモ: 1,000万円という高額サービスは、実際に買う人の数より「そんなことができるのか」という話題の広がりを狙った設計です。若年層が中心という来場者構成は、通常の購入層とは別のファン層を掘り起こせた証拠でもあります。
ヤマサ醤油×大泉洋 — 韓国発「センイル広告」で誕生日を祝う
ヤマサ醤油は、CMキャラクターを務める俳優・大泉洋の誕生日にあわせ、3月31日から4月6日まで東京・大阪・北海道で「応援広告」を掲出しました。商品「ヤマサ 万能クッキングたれ Yummy!」のプロモーションの一環で、韓国でアイドルや俳優の誕生日をファンが祝う「センイル広告」文化に着想を得ています。同社マーケティング部の西谷綾氏は「大泉さんへの感謝を表現したかった」と話しています(AdverTimes.)。
制作を担当した読売広告社は、韓国料理を手軽に再現できる商品特性と韓国文化との親和性を重視したといいます。
研究所メモ: 10年近く起用してきたタレント本人への感謝を、ファン文化の形式を借りて表現した点が新しいところです。長期契約のタレント施策は、契約満了時の広告より、日常の節目でファンと一緒に祝う形のほうが記憶に残ります。
みずほ×Mrs. GREEN APPLE — 2日がかりで完結する新聞広告
みずほは3月18日・19日の読売新聞に、Mrs. GREEN APPLEとのコラボレーション広告を出稿しました。18日は「青い記念日」、19日は「青い声援」というコピーで、2日分の紙面を並べると一つのメッセージになる15段広告です。3月18日はMrs. GREEN APPLEが活動を再開した「フェーズ2」の開幕記念日で、ファンが「#届けミセスに」とメッセージを贈る日でもあることに注目して企画されました(AdverTimes.)。
CMには「青い挑戦」のイメージに合う楽曲「ニュー・マイ・ノーマル」が起用されています。
研究所メモ: ファンが毎年欠かさず祝う記念日に、企業からのメッセージを重ねています。新聞というリーチの限られた媒体でも、ファンの習慣に合わせることで「誰かに伝えたくなる」仕掛けに変わる好例です。
ゲームIPが、温泉施設と採用イベントに染み出した
ヘブンバーンズレッド×豊島園「庭の湯」— コラボ風呂とグッズで4週間
『ヘブンバーンズレッド』は4月3日、温浴施設「豊島園 庭の湯」とのコラボレーションを開始しました。部隊カラーのピンクに彩られたコラボジャグジー「31Aの湯」、キャラクターをイメージしたリラクゼーションサービス、キーマカレーやパンケーキなどのコラボメニュー、館内装飾やグッズ販売まで用意されています。コラボ期間は4月30日までです(インサイド)。
会場には一般の年配利用者も同じ湯に浸かっており、ファン以外の客層とも自然に混ざり合う空間になっていました。
研究所メモ: 装飾やグッズだけでなく、風呂とリラクゼーションという施設の本体機能までコラボさせている点が徹底しています。既存客とファンが同じ空間を共有する設計は、施設側にとって新規と既存の両方を取りこぼさない動線になります。
GMOペパボ×VRChat — メタバース空間で採用カジュアル面談
GMOペパボは株式会社Vと共同で、VRChatのワールド「NAGiSA」を使った採用のカジュアル面談を実施しました。10名ほどの求職者が1名ずつ入室し、約10分の1対1で対話する形式です。同社は2025年1月にメタバース推進室を新設していました。VRChat内では、日本人向けワールド「ポピー横丁」に2025年3月時点で400万人以上が来訪し、2018年開始の「バーチャルマーケット」は延べ来場者100万人を突破。2024年開催のライブイベント「META=KNOT」では最大3,000人超を記録しています(インサイド)。
担当者は「顔が見えないぶん緊張感が薄まり、距離の縮まり方が早い」と手応えを語っています。
研究所メモ: ライブや握手会で培われてきたメタバース空間の使い方を、そのまま採用面談に転用しています。会場設計がすでにファンイベントで検証済みという点が、新しい用途への転用を後押ししました。
テクノロジー企業が、AIとXRで新規事業をつくった
堀江貴文プロデュース — 「ホリエモンAIキャラクター事務所」開設
実業家の堀江貴文氏をプロデューサーに迎え、著名人の外見やパーソナリティをもとにしたAIキャラクターが所属する事務所「ホリエモンAIキャラクター事務所」が開設されました。第一弾として堀江氏をモデルにした「ホリエニャン」「ホリエペン」「ゆるえもん」が所属し、教育・PR・イベント・グッズ化・ファン対応など多分野でのコラボが可能とのこと。ユーザー参加型の「AIキャラオーディション」や、企業・自治体とのタイアップも構想されています(Mogura VR)。
著名人本人のコストを抑えたまま、半自動的な活動ができる点が特徴です。
研究所メモ: タレント本人の稼働を介さずにIPを展開できる仕組みは、グッズ化やイベント出演のハードルを一気に下げます。著名人起用を検討する企業にとって、契約形態そのものを見直す材料になりそうです。
森永乳業 — 大阪・関西万博ブースにVRシューティング
森永乳業は、4月13日開幕の大阪・関西万博「大阪ヘルスケアパビリオン」に出展するブースの体験会を実施しました。テーマは「ビフィズス菌で超人間」。目玉コンテンツ「VR腸内クエスト」は、手・声・脳波・振動を使って悪玉菌と戦うVRシューティングゲームで、プレイ時間は7分程度です。企画制作は株式会社ワントゥーテン、脳波デバイスは VIE株式会社が担当しました(Mogura VR)。
「ビフィズス菌!」と発声すると攻撃が発動する仕組みで、声を出す楽しさが体験の中心になっています。
研究所メモ: 関心を持たれにくい「腸」という切り口を、ゲームという入り口に変換しています。BtoCの接点が薄い商品分野ほど、説明よりも体験させる設計のほうが記憶に残る好例です。
アパレル・小売がキャラクターを店頭とデジタルに置いた
ユニクロ×mofusand — キッズTシャツを各990円で発売
ユニクロは4月7日、SNSで人気のイラスト「mofusand」とコラボしたキッズ向けTシャツを発売しました。イラストレーター「ぢゅの」が手がけるにゃんこのイラストシリーズで、価格は各990円(税込)です(インサイド)。
ユニクロ×ガンダム — 店舗前に等身大ARが出現
ユニクロは「機動戦士ガンダム45周年UT」の発売にあわせ、全国7店舗でARコンテンツを展開。対象店舗周辺でスマートフォンをかざすと等身大のガンダムRX-78-2が出現する仕組みで、4月14日から体験できます。店舗に行かなくても楽しめる「どこでもガンダム」版のARコンテンツも4月10日に公開されました(Mogura VR)。
研究所メモ: 990円のキッズTシャツと、投資額の異なる店頭ARを同じ週に展開しています。買ってもらう企画と、買わなくても体験できる企画を並走させることで、購入層と話題化層の両方を同時に狙えます。
たまごっち×靴下屋 — 初コラボの刺繍ソックス
「たまごっち」と靴下専門店・靴下屋が初コラボレーションを発表し、4月11日より刺繍ソックスなど5種類を国内外で発売します。「バックタグたまごっち刺繍ソックス」は各1,980円(税込)。販売は国内の靴下屋店舗に加え、中国・韓国・アメリカ・フランス・イギリスのTabio店舗でも行われます。「たまごっち」は1996年の発売以来、全世界累計9,400万個を販売しています(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 息の長いIPほど、玩具やグッズだけでなく実用品への展開余地が残っています。靴下という毎日使うアイテムにキャラクターを乗せることで、コレクション目的ではない層にも接点が広がります。
くりことサンリオが、ファンの参加のきっかけを増やした
ちいかわ焼き — 横浜に専門店グランドオープン
くりこは4月7日、日本初となる「ちいかわ焼き」専門店を横浜ワールドポーターズにグランドオープンしました。ちいかわ・ハチワレ・うさぎ型の生地に、小倉あん・クリーム・チョコレートなど全6種の具材を挟んで店内で焼き上げます。ひとり最大6個までの購入制限があり、来店にはWEB入店抽選予約が必要です(インサイド)。
研究所メモ: 購入制限と抽選予約という「並んでも買えるとは限らない」設計が、来店そのものをイベントに変えています。物販ではなく実演販売型の店舗は、SNSでの拡散を前提にした集客手段になります。
サンリオキャラクター大賞 — 40周年、パートナー部門37組
「2025年サンリオキャラクター大賞」の投票が4月10日にスタートしました。450を超えるサンリオキャラクターから90キャラクターがエントリーし、1986年開始で今年40周年を迎えます。企業や地方自治体のキャラクターとサンリオキャラクターがパートナーを組む「パートナー部門」も同時開催され、37組がエントリー。結果は6月29日、パシフィコ横浜「SANRIO FES 2025」で発表されます(アニメ!アニメ!)。
投票はWebのほか、サンリオショップでの購入金額に応じた投票も可能です。
研究所メモ: 自治体や企業のキャラクターを人気投票に混ぜることで、それぞれのファン層を大賞の投票行動に呼び込んでいます。自社キャラクターを持つ企業にとって、既存の大型投票企画に相乗りする選択肢を示す事例です。
高知県が、アニメ産業の担い手をイベントで育てた
高知アニクリ祭2025 — 13ブースに新作・老舗IPが集結
高知県で「高知アニクリ祭2025」が4月5日・6日、高知県立県民体育館を中心に開催されました。「高知アニメクリエイター聖地プロジェクト」の一環で、メイン会場には13の展示ブースと6の販売ブース、7つのステージが用意され、名探偵コナン・たまごっち・刀剣乱舞などが出展。タカラトミー、KADOKAWA、集英社もブースを構えました。入場は無料です(アニメ!アニメ!)。
会場は県民体育館だけでなく帯屋町商店街やおまち多目的広場にも広がり、まち全体を巻き込みました。
高知アニメクリエイターアワード2025 — 賞金総額3,000万円で新人発掘
同じく4月5日に授賞式が行われた「高知アニメクリエイターアワード2025」には、国内外から293作品の応募がありました。前回の倍以上の応募数で、30作品がノミネート。グランプリ賞金300万円を含む総額3,000万円が贈呈され、グランプリには『鯨を夢む』(Shuzuku)が輝きました(Branc)。
研究所メモ: 大手IPのブース誘致と、次世代クリエイターの発掘を同じ週末に同時開催しています。ファンを呼ぶ祭りと、作り手を育てる仕組みを両輪で回すことが、地方でのアニメ産業定着には欠かせないようです。
今週の所感
今週は、ファンとの接点を「場」と「時間」と「テクノロジー」の3方向から作り直した週でした。
サッポロビールの体験拠点、豊島園「庭の湯」、ちいかわ焼きは、いずれもファンが実際に足を運ぶ「場」への投資です。みずほとヤマサ醤油の広告は、ファンがすでに持っている記念日や誕生日という「時間」に企業のメッセージを重ねました。そしてGMOペパボのVRChat採用面談、堀江貴文氏のAIキャラクター事務所、森永乳業のVRシューティングは、ファンイベントで磨かれてきた没入設計を、採用や新規事業という別の目的に転用しています。
同じ週に、企業がキャラクター人気投票に相乗りする動き(サンリオキャラクター大賞パートナー部門)と、自治体が次世代の作り手に賞金を投じる動き(高知アニメクリエイターアワード)が並んだのも印象的です。ファンを集める施策と、作り手を育てる施策は、一見別物に見えて同じ地域・同じIPの中で連動しています。推し活マーケティングの設計原則やコラボカフェの作り方とあわせて、自社が接点を作れる「場」と「時間」を今一度見直してみてください。
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