ANYCOLORが売上34%増の最高益/ちいかわパークが池袋に常設オープン【週刊推し活ニュース 2025年6月13日号】

2025年6月6日〜6月12日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。
今週のハイライト
今週のキーワードは、ファンビジネスの成果が、決算という数字で証明されたでした。
にじさんじを運営するANYCOLORが2025年4月期の通期決算を発表し、売上高は前年同期比34.0%増の428億7,700万円、営業利益は31.7%増の162億8,000万円と過去最高益を記録しました。コマース分野だけで278億4,200万円と全体の約65%を占め、年間グッズ施策は190件に達しています。ファンが商品を買う行動が、そのまま企業の業績を押し上げる構図がはっきり見えた週でした。
リアル側でも動きが相次ぎました。「ちいかわパーク」が7月28日に池袋・サンシャインシティアネックスに常設オープンすることが決定。東京・新宿の東急歌舞伎町タワーでは「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」とのコラボが始まり、東急東横線の車両1編成をジャックする施策も実施されます。サンリオはクロミの20周年を祝うアフタヌーンティーをウェスティンホテル仙台で開催。住友商事とGeekOutはRoblox上の購買体験開発で資本業務提携を結びました。
外食とアパレル小売が、夏商戦をキャラクターで彩った
マクドナルド×ジュラシック・ワールド — 恐竜を主役にした期間限定バーガー
日本マクドナルドが6月17日より新テレビCM「ジュラシック・ワールドバーガーズ」篇の放映を開始します。8月公開の映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』とのコラボ商品を、日本国内ではマクドナルドでしか見られない公式映像で紹介する内容です。「肉厚ビーフ&ガーリックオニオンビーフ」にはT-REX、「旨辛ザクザクジューシーチキン」にはケツァルコアトルス、「チーズアボカドマヨシュリンプ」にはモササウルスと、恐竜ごとに商品を対応させています。新商品は6月18日から期間限定で、3種のバーガーと2種のドリンクの計5点が販売されます(AdverTimes.)。
研究所メモ: 商品ラインナップを恐竜の生態(陸・空・海)に合わせて設計している点が丁寧です。IPコラボは「絵をパッケージに貼る」だけになりがちですが、商品構成そのものを世界観に合わせると、選ぶ楽しさが生まれます。原作の設定を商品開発の軸に使う発想は、業種を問わず応用できます。
ジーユー×ちいかわ、しまむら×ポケモン — 品薄で予約期間を延ばした2社
ジーユーは5月23日発売の「ちいかわ サマーアイテムコレクション」の一部商品について、オンラインストアでの予約販売を実施。当初6月2日〜8日の予定でしたが、好評につき6月12日まで延長されました。一方しまむらは、ピカチュウとゲンガーをデザインしたコインケース(1,089円)やバッグ各種をオンラインストアで予約受付中で、発送は6月中旬〜7月上旬を予定しています(インサイド、インサイド)。
研究所メモ: どちらも「上限数に達し次第終了」という数量限定の設計です。ジーユーは延長という判断そのものが「まだ買える」という発信になり、しまむらはグッズ単価を1,000円台に抑えて手に取りやすくしています。ファン層の広いIPほど、価格帯を分けて複数の入り口を作る設計が効きます。
ホテル、商業施設、鉄道がIPで来店の理由を作った
サンリオ×ウェスティンホテル仙台 — クロミ20周年のアフタヌーンティー
サンリオの人気キャラクター「クロミ」の20周年を祝うイベント「KUROMI Afternoon Tea Party」が、7月19日よりウェスティンホテル仙台26階のレストラン シンフォニーで開催されます。ずんだ餅やずんだシュクレ、仙台牛のローストビーフなど仙台名物を取り入れた特別メニューを、平日と週末で異なる構成で提供。料金はWeekdayが大人5,500円〜8,500円、Weekendが7,500円〜9,000円です(超!アニメディア)。
研究所メモ: 地元の名産をキャラクターの世界観に合わせて再構成している点が特徴です。ずんだ餅やずんだシュクレは仙台では珍しくありませんが、クロミの色や好物(らっきょう)とひも付けることで、ファンにとって「ここでしか食べられない」体験に変わります。全国チェーンの施設ほど、地域性とIPの組み合わせで差別化できる余地があります。
東急歌舞伎町タワー×ガンダムジークアクス — グッズ・フード・電車ジャックの複合展開
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』と東急歌舞伎町タワーのコラボレーション企画が、6月12日から30日まで開催されます。タワー2階の特設スペースでは描き下ろしビジュアルを使ったアクリルスタンドやTシャツなどのグッズを販売し、館内の飲食店舗では登場人物をモチーフにしたコラボフードを展開。あわせて東急東横線5050系4000番台1編成が「車内ジャックトレイン」として運行されます(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: グッズ・フード・交通広告の3つを同時に動かしている点が特徴です。単発のポップアップと違い、施設に来ていない人にも電車内で作品を届けられます。商業施設が周辺の交通事業者と組めば、集客の範囲を建物の外まで広げられるという実例です。
JR東海×ガンダムジークアクス — 新幹線コラボ第3弾は5カ月の連続企画に
JR東海が「機動戦士Gundam GQuuuuuuX」とのコラボ企画を発表しました。45周年を迎えた「ガンダム」シリーズと開業60年の東海道新幹線によるコラボで、シリーズ3作品を題材に約5カ月にわたって展開する企画の第3弾です。7月8日〜8月28日の実施期間中、車内限定のスペシャルラジオや、新大阪駅・名古屋駅チェックインでもらえるオリジナル壁紙、アニメイト梅田・名古屋でのグッズ販売が予定されています(インサイド)。
研究所メモ: 1回のコラボで終わらせず、同じ枠組みで3作品を連続展開している点が学びどころです。企画のたびにゼロから設計し直すのではなく、型を作って中身だけ差し替えれば、鉄道会社のような継続的な集客が必要な業態でもファンを飽きさせずに回せます。
ちいかわパーク — サンシャインシティに池袋初の常設体験施設
Juiceがスパイラルキュートの協力のもと、常設体験型施設「ちいかわパーク」を7月28日に池袋・サンシャインシティアネックスにオープンします。作品のワンシーンを再現した展示エリアや限定グッズショップ、有料のゲームコーナーを展開。前売券は事前抽選制で、一次抽選期間は6月16日〜23日、入場料は一般3,500円です(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: ポップアップではなく「常設」を選んだ判断が大きな違いです。期間限定は話題を作れますが、常設は毎月新しい来場理由(グッズ入れ替えやイベント)を用意し続ければ、リピーターの動線を施設側が持ち続けられます。短期の集客と長期の集客は、投資の設計がまったく別物だと分かる事例です。
伝統の工芸品とグローバルブランドが、キャラクターを商品化した
舞扇堂×プリキュア — 京くみひもを使った5アイテム
『Yes!プリキュア5GoGo!』と京都の扇子製造メーカー・舞扇堂がコラボし、伝統工芸品「京くみひも」を使ったブレスレットやキーホルダーなど5アイテムを展開します。5月28日より予約受付を開始しており、発売は9月上旬を予定。京くみひもブレスレット&バネ口ポーチは各3,850円です(アニメ!アニメ!)。
研究所メモ: 2008年放送の作品を、当時のファンが大人になった今のタイミングで伝統工芸に落とし込んでいます。子ども向けキャラクターグッズは卒業されやすいものですが、素材を大人の生活に合うものに変えれば、同じIPのまま客層を広げられます。老舗の技術を持つ企業ほど、この橋渡し役になれます。
atmos×クロックス×ワンピース — トリプルコラボの限定クロッグ
TVアニメ『ONE PIECE』と「atmos」、「クロックス」のトリプルコラボレーションによる限定クロッグが6月21日に発売されます。ギア5のルフィをモチーフにしたデザインで、価格は税込13,200円。atmosオンラインショップでは6月6日〜20日の期間、抽選を実施しています(アニメ!アニメ!、キャララボ、アニメージュプラス)。
研究所メモ: 原作の「目が飛び出るシーン」をジビッツチャームという既存パーツの仕組みで再現している点が巧みです。新しい造形を一から作るのではなく、ブランドが元々持つカスタマイズの仕組みにキャラクターを当てはめる。これなら開発コストを抑えながら、原作ファンが喜ぶ再現度を両立できます。
プロ野球チームとVTuber事務所が、球場で手を組んだ
ドジャース×ホロライブ — MLB史上初のスタジアム生配信
ロサンゼルス・ドジャースとホロライブプロダクションが、2024年に続く2回目のコラボ企画「hololive night」を7月5日にドジャー・スタジアムで開催します。ホロライブEnglish所属の一伊那尓栖さん、IRySさん、古石ビジューさんが参加し、MLB史上初となるスタジアムからのVTuber生配信も実施。会場ではコラボグッズやフード&ドリンクパッケージも販売されます。チケットは6月9日から発売されました(Mogura VR)。
研究所メモ: 前年の実績があったからこそ「再コラボ」として2回目を実現できています。1回きりのコラボは話題性で終わりがちですが、継続することでファンの中に「毎年の恒例行事」という位置づけが生まれます。スポーツチームがVTuberという別ジャンルのファンダムと組む際、単発で終わらせない設計が長期的な価値を作ります。
VTuber運営会社が、決算と提携で存在感を示した
ANYCOLOR — 売上34%増、コマース好調で最高益
にじさんじを運営するANYCOLOR株式会社が2025年4月期の通期決算を発表しました。売上高は前年同期比34.0%増の428億7,700万円、営業利益は31.7%増の162億8,000万円、当期純利益は31.9%増の115億1,100万円で、いずれも過去最高です。主力のコマース分野は47.0%増の278億4,200万円で売上全体の約65%を占め、年間グッズ施策は190件(32.9%増)に達しました。イベント分野の視聴チケット販売枚数は35.9%増の53.6万枚。2025年3月末時点で所属VTuberは日本135名・NIJISANJI EN35名、ID登録数は168万7,000アカウントです(Mogura VR)。
研究所メモ: コマース分野が全社売上の約65%を占めている構造が示唆的です。配信の再生回数や投げ銭ではなく、グッズという「形に残るもの」への支出がファンビジネスの主力になっています。ファンとの接点を配信だけに頼っている企業にとって、物販という出口をどう設計するかが収益の伸びしろになります。推し活の市場規模ともあわせて見ておきたい数字です。
住友商事×GeekOut — Roblox発の購買体験に資本を投じる
住友商事とGeekOutが、「Roblox」を活用した新たな購買体験の創出を目指し資本業務提携を締結しました。住友商事は2023年から「Omochi Studio」名義でRoblox上のコンテンツを展開しており、累計訪問数は3億回を超えています。今後はRoblox内のアバター用アイテムと実店舗のアパレル商品を同時展開する販売施策や、Roblox発キャラクターのグッズ化、デジタルファッションなど生活者向けサービスの提供を進める方針です(Mogura VR)。
研究所メモ: 3億回という訪問実績が先にあり、そこに資本を投じる判断が続いています。新しいプラットフォームに手を出す企業は多いですが、実績を積んでから提携という順番を踏んでいる点が堅実です。バーチャル空間とリアル店舗の商品を同時展開する発想は、小売業がメタバースに関わる際の一つの型になりそうです。
Gugenka×IP書店 — 神椿市の世界観を体験できる店舗型シアター
株式会社GugenkaがIP書店との共同プロジェクトとして、店舗型イマーシブシアター「NIJIGATE(ニジゲート)」を発表しました。MRヘッドセットと立体音響を使い、二次元の世界へ転送されるような没入体験を提供します。第一弾コンテンツは「神椿市建設中。」で、東京会場(SHIBUYA TSUTAYA)は6月13日〜14日に無料開催、大阪会場(TSUTAYA EBISUBASHI)は7月1日〜8月31日に1,000円で開催されます(Mogura VR)。
研究所メモ: 東京は無料のお披露目会、大阪は有料の本展開と、地域で料金設計を分けている点が現実的です。新しい体験は最初から高額にすると敷居が上がりますが、無料で体験の質を確かめてもらってから有料展開に移す順序なら、ファンの期待値を壊さずに広げられます。
製薬、化粧品、出版社がキャラクターで顧客と繋がった
ロート製薬 — 公式VTuberを生成AI化、万博で対話接客
ロート製薬の公式VTuber・根羽清ココロさんを生成AI化したデジタルヒューマン「NEOココロ」が、6月9日〜11日に大阪・関西万博の「大阪ヘルスケアパビリオン」内ロート製薬ブースに登場しました。来場者とリアルタイムで対話でき、対応言語は日本語・英語・中国語。ULTRA SOCIAL株式会社の生成AIソリューション「Spaike」を採用し、アイケアやスキンケアの専門知識を分かりやすく案内します(Mogura VR、PR TIMES)。
研究所メモ: 2018年から一方向の配信で情報発信してきたキャラクターを、対話型に進化させた判断です。長く愛されてきたマスコットほど「今さら変えられない」という制約が生まれがちですが、生成AIという新しい技術は、既存キャラクターの世界観を壊さずに接客の質だけを底上げできます。
花王KATE×呪術廻戦 — 陰影メイクをアジアへ運ぶIP戦略
花王のグローバルメイクブランド「KATE」が6月4日、アジア圏を中心とした新グローバル成長戦略を発表しました。KATEが提唱する「陰影メイク」を、日本と近いメイク文化を持つアジア圏へ拡大する方針です。打ち手として6月2日から『呪術廻戦』とコラボし、キャラクター“五条悟”を起用。旗艦店「KATE TOKYO 渋谷サクラステージ店」にフォトスポットを設置し、SNSでの発信も強化しています(AdverTimes.)。
研究所メモ: 自社の独自メイク手法という「文化」を輸出するために、IPコラボを橋渡しに使っている構図です。海外市場でゼロからブランドを説明するのは時間がかかりますが、すでに現地でファンのいる作品と組めば、認知の壁を越える近道になります。海外展開を狙う企業にとって、IPは市場調査と広告の両方を兼ねる手段になり得ます。
秋田書店 — 完結記念に1,606ページ丸ごと読める交通広告
秋田書店が『凪のお暇』最終巻の発売を記念し、1巻から11巻までの1,606ページが一気に読める交通広告を6月9日、渋谷駅に掲出しました。最終12巻の発売日は6月16日で、広告は前日の15日まで掲出。読売広告社の担当者は「試し読みや単純なキャラ紹介では伝えきれない」ことから、物語をまるごと読んでもらう企画に至ったと説明しています(AdverTimes.)。
研究所メモ: 名シーンを切り出す一般的な手法をあえて捨て、全ページを見せる判断が異例です。連載が長く、キャラクターの背景が複雑な作品ほど、一部の抜粋では魅力が伝わりません。「要約せずに全部見せる」という発想は、情報量の多いコンテンツを持つ企業が広告を作るときの選択肢になります。
声優ライブとアフレコが、10年分の物語を再生した
東京喰種FES — 花江夏樹ら6人が生アフレコで10周年を締めた
TVアニメ『東京喰種トーキョーグール』の10周年記念イベント「東京喰種FES. -PLAY BACK-」が6月8日、立川ステージガーデンで開催されました。花江夏樹さん、雨宮天さん、花澤香菜さんら6人が出演し、全シリーズの名シーンを生アフレコで再現。TK from 凛として時雨、People In The Box、österreich、Cö shu Nieによるライブパフォーマンスも行われました。主催はソニー・ミュージックソリューションズです(USENの音楽情報サイト)。
研究所メモ: 過去の名場面を「見せる」だけでなく、声優本人がその場で再演することで、10年分の記憶を一夜に凝縮しています。周年イベントは物販やグッズに偏りがちですが、当時の出演者が同じ役を演じ直す体験は他社が簡単に真似できない資産です。長期シリーズを持つ企業ほど、こうした「時間そのもの」を価値に変える企画が効きます。
今週の所感
今週は、ファンビジネスの成果が、決算書という誰もが読める数字に表れた週でした。
ANYCOLORの売上34.0%増という数字は、配信の盛り上がりという曖昧な指標ではなく、コマース分野の売上278億4,200万円という具体的な結果です。住友商事がRobloxでの3億回という訪問実績を見てから資本業務提携に踏み切ったのも、同じく「数字で確認してから動く」という順番でした。ファンビジネスは感覚で語られがちですが、実際には決算や訪問数という形で検証できる領域だと、今週の動きが示しています。
一方で、数字に表れない工夫も目立ちました。ジークアクス×JR東海の5カ月連続企画、東京喰種FESの生アフレコ再演、舞扇堂の京くみひも。どれも一度きりでは終わらない、あるいは他社が簡単に真似できない設計です。推し活マーケティングの設計原則や推し活の市場規模とあわせて、自社のファンビジネスがどちらの型に近いか、確認してみてください。
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