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カバーの​売上27.2%増/ポケモン初の​屋外施設​「ポケパーク カントー」​始動​【週刊推し活ニュース 2025年11月14日号】

2025年11月7日〜11月13日の1週間から、企業の推し活マーケティング・ファンビジネスの注目ニュースをお届けします。

今週のハイライト

今週のキーワードは、推し活の熱量が、決算と調査データの数字として表れたでした。

ホロライブを運営するカバーの2026年3月期第2四半期決算は、売上高が前年同期比27.2%増の217億5,400万円。グリーホールディングスは「メタバース事業」の名称を「VTuber事業」に変更し、営業利益は前年同期比142.4%増と大幅に伸びました。ファン側の実態も並行して可視化されています。アニメ!アニメ!の読者アンケートでは、推し活の悩みで「金銭面」が約45%とトップに。マイナビティーンズラボの調査では、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』が興行収入約350億円を突破し、10代女子のトレンド1位に選ばれました。

リアルの施設投資も動いています。株式会社ポケモンは、初の屋外常設施設「ポケパーク カントー」を2026年2月5日にオープンすると発表。キャナルシティ博多には100坪超のXR拠点が12月に開業します。企業がファンの熱量を「感覚」ではなく「数字」として扱い始めた週でした。

推し活の実態を、2つの調査データが数字で裏付けた

「金銭面」が最多の悩み ― アニメ!アニメ!の読者アンケート

アニメ!アニメ!は「いい推しの日」(11月4日)にあわせ、読者アンケート「あなたの“推し”について教えて!」を実施しました。10月20日から27日までの期間に58人が回答し、「どんなグッズを購入していますか」ではアクリルスタンドが65%でトップ、グッズ購入者は9割を超えました。イベント参加は「コラボカフェ」が20%で最多で、参加頻度は「年に1度」「3ヶ月に1度」「半年に1度」が各20%で拮抗しています。一方で推し活の悩みは「金銭面」が約45%で最多となり、「収納スペースが足りない」「イベント会場が遠い」といった声も寄せられました(アニメ!アニメ!)。

「“推し”は何人いますか」という質問には「3〜5人」がボリュームゾーンという結果も出ています。

研究所メモ: 「金銭面」が最多の悩みという結果は、逆に言えば支出の上限を超えた需要が常に存在するということです。月5,000円以内・1万円以内という回答が同率30%だった一方、5万円以上という層も一定数いる。企業が推し活層に商品を届けるときは、単一の価格帯ではなく、推し活の市場規模を踏まえた複数のラインを用意する発想が要ります。

鬼滅の刃とラブブが上位 ― 10代女子のトレンドランキング2025

マイナビが運営する「マイナビティーンズラボ」は11月12日、13〜19歳の女性613名を対象にした「2025年10代女子が選ぶトレンドランキング」を発表しました。2015年の調査開始から11年目です。「コト部門」1位は『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』で、公開73日間で興行収入約350億円を突破。香港のアーティストが生み出したキャラクター「ラブブ」も上位に入り、中国のトイメーカー「POP MART」のフィギュアは一時入手困難になるほどの人気でした。「ヒト部門」1位はABEMAの恋愛リアリティーショー出演者「長浜広奈」でした(AdverTimes.)。

研究所メモ: 10代女子は「勉強はGemini、相談はChatGPT、Xの調べものはGrok」とAIを使い分けているという記述もあり、情報収集の解像度がすでに高い層です。この層に向けたIPコラボは、単に人気作を選ぶだけでなく、どのSNS・どのAIで情報が拡散するかまで設計しないと届きません。

食品ブランドとキャラクター広告が、購入を後押しした

ミツカン「味ぽん」― ぽんまつりに前年20万件の投稿

Mizkanは11月10日の“味ぽんの日”にあわせ、SNSキャンペーン「令和から、とびだせ!はみだせ!昭和100年 ぽんまつり」を開催しました。1964年に誕生した味ぽんは今年で61周年。昨年実施した第1弾ではX上で約20万件の関連投稿が生まれ、話題化に成功しています。今年は純金の味ぽんを含む全61種類の「ぽんまつりグッズ」を抽選で830名にプレゼントし、11月10日から15日までの6日間、毎日新たなグッズを公開しました。同社コミュニケーション本部の伊山裕人氏は「昨年の成功が大きなプレッシャーだった」としつつ、「味ぽんファンの方には必ず喜んでいただけると考えています」とコメントしています(AdverTimes.)。

研究所メモ: 前年の実績(約20万件)を数字で公表したうえで今年の施策を発表している点が重要です。ファンにとって「去年より盛り上がっているか」は参加の動機になります。長期継続するファン施策は、単発の企画としてではなく、企業コラボの設計原則に沿って前年比の実績を積み上げる形で語る方が効果的です。

2025大阪・関西万博 ― ミャクミャクが大阪市内7カ所で送客広告

2025大阪・関西万博マスターライセンスオフィスは11月3日、公式キャラクター「ミャクミャク」の集中貼り広告を大阪市内に展開しました。夢洲駅で4月から展開していた広告が万博閉幕後の10月末で終了したのを受けた続編で、阪急大阪梅田駅や新大阪駅など主要駅内7カ所と近鉄南大阪線内に掲出。いずれも公式グッズを扱うオフィシャルストアへの送客が目的で、デザインは6種、場所ごとにコピーを書き分けています。クリエイティブディレクターの堀靖幸氏は「商魂たくましいミャクミャクの“かわいい圧”はそのままに、場所に合わせた多様な圧コピーとビジュアルでアプローチした」と述べています(AdverTimes.)。

研究所メモ: 万博閉幕から1カ月弱というタイミングで、あえて広告を再展開している点が示唆的です。イベント終了直後は最も忘却が進みやすい時期ですが、裏を返せば「まだグッズを買っていない」層が最も動きやすい時期でもあります。話題喚起の応援広告と同じく、熱量のピークではなく減衰の谷間を狙う設計が効いています。

VTuber企業が、決算と法務の両輪で地力を示した

カバー、グリー ― VTuber事業の売上と収益性が同時に進んだ

ホロライブを運営するカバー株式会社は、2026年3月期第2四半期(中間期)決算を発表しました。売上高は前年同期比27.2%増の217億5,400万円で、ライブ・イベント分野は前年同期比57.7%増の23億5,600万円、マーチャンダイジング分野は同32.5%増の116億7,800万円でした。一方で営業利益は同20.9%減の26億6,600万円と、増収減益の結果に。北米関税の影響や在庫評価減に加え、表現技術や物流体制、海外事業開発への先行投資が要因です(Mogura VR)。グリーホールディングスは11月6日、従来「メタバース事業」としていた事業群を「VTuber事業」に名称変更したと発表しました。VTuber配信アプリ「REALITY」を中心とする同事業の営業利益は前年同期比142.4%増で、四半期として過去最高を記録。2026年6月期通期では売上高116億円(前年比40%増)、営業利益18億円(同177%増)を見込んでいます(Mogura VR)。

研究所メモ: 同じ週にVTuber関連2社が「増収減益でも投資を継続する」「事業名称を実態に合わせて変える」という異なる意思決定を発表しました。共通しているのは、短期の利益率よりも事業の実態と将来の伸びしろを優先している点です。ファンビジネスは立ち上げ期の数字が荒れやすい分野だけに、経営がどこに投資しているかを開示する姿勢そのものが、ファン以外の投資家への信頼材料になります。

ホロライブプロダクション ― 卒業タレントのなりすましに法的対応

カバーは11月10日、ホロライブ所属タレントのなりすましアカウントについて注意喚起を行いました。卒業タレントの「火威青」さん、元スタッフの「春先のどか」さんを想起させる名称やプロフィール、キャラクターを用いたSNSアカウントとYouTubeチャンネルの存在を確認したとし、人格権侵害、商標権侵害、名誉毀損などを念頭に、刑事・民事の両面から法的対応を進めていると発表しました。ファンに対しては、問題のアカウントへの反応やフォロー、拡散を控えるよう呼びかけています(インサイド、Mogura VR)。

研究所メモ: なりすまし対応は地味ですが、ファンが誤ったアカウントに時間や感情、時には金銭を投じてしまうリスクへの防御です。IPやタレントを軸にした事業ほど、成長のスピードと同じだけブランド保護の体制整備が問われます。法的対応の速さと透明性そのものが、ファンコミュニティへの誠実さの証明になっています。

外食チェーンが、ゲームとアニメを商品棚に持ち込んだ

KFC×モンハンワイルズ ― 限定店舗とゲーム内アイテム

日本ケンタッキー・フライド・チキンは、『モンスターハンターワイルズ』とのコラボレーションを発表しました。11月19日から12月16日まで期間限定で「モンハンコラボパック」4種類を販売し、購入するとゲーム内で使えるコラボチャームやアイテムを入手できます。KFCネットオーダー限定の抽選キャンペーンでは、コラボパーカーが20名、アイルーパスケースが200名に当たります。東京の高田馬場店・秋葉原店、大阪の南海難波駅店・あべのキューズモール店の全国4店舗ではコラボ特別店舗も展開され、等身大パネルの設置や店内BGMの変更が行われます(インサイド)。

研究所メモ: 4店舗限定というスケールの絞り方が現実的です。全店展開すると希薄になる体験を、あえて4店舗に集中させることで「わざわざ行く価値」を作っている。全国チェーンが推し活層に施策を打つとき、店舗数を絞って濃度を上げる選択肢は、コスト面でも参考になります。

すき家、東洋水産 ― ジークアクスが外食とスーパーの棚に同時展開

すき家は、アニメ「機動戦士ガンダムGQuuuuuuX(ジークアクス)」とのコラボキャンペーン「このひととき、キラキラ。」を11月18日から12月26日まで全国店舗で開催します。コラボ限定「M.A.Vトッピングセット」(520円・320円)の注文で、第1弾はオリジナルステッカー、第2弾はA5クリアファイルを配布。作中キャラクターによる店内放送も実施します(電ファミニコゲーマー)。同じ週、東洋水産はカップ麺「赤いきつねうどん」「緑のたぬき天そば」の同作コラボパッケージを11月17日に発売すると発表しました。価格は259円(税込)で、2つのパッケージを並べると「M.A.V.」の文字が完成するデザインです(インサイド)。

研究所メモ: 同じ作品が、外食チェーンとスーパーの即席麺棚に同時に展開されたのが今週の特徴です。ファンにとっては「今日はすき家で、明日はスーパーで」と、生活動線のどこかで必ず接触するIP露出になります。単発のコラボカフェよりも、日常の購買導線に複数点で置く設計の方が、想起の持続時間は長くなります。

アパレルと生活雑貨が、キャラクターを日用品に変えた

バンダイ×ユニクロUT ― たまごっちが12月19日にTシャツ化

バンダイ ライフスタイル事業部は、ユニクロで『たまごっち』のUTコレクションを12月19日に発売すると発表しました。ウィメンズTシャツ4型(各1,990円)に加え、初代『たまごっち』のデバイス・パッケージをオマージュしたUTオリジナル『たまごっち』(2,990円)も1型ラインアップ。特設サイトでは、まめっちがUTを着用してアイテムを集めるミニゲームも公開されています(インサイド)。

研究所メモ: Tシャツと実機デバイスを同時に売る構成が効いています。着るファンと遊ぶファンの両方を、1つの発売日に同時に取り込める。IPコラボを企画する際、「着用できるもの」と「手を動かして遊べるもの」を組み合わせると、購入理由の異なる層を1回のキャンペーンでまとめて拾えます。

タニタ×ゴールデンカムイ ― 声優ボイス付きの体組成計と歩数計

健康総合企業のタニタは、TVアニメ『ゴールデンカムイ』とコラボした音声体組成計1種(2万2,000円)と3Dセンサー搭載歩数計26種(各3,520円)をタニタオンラインショップで予約限定販売しています。体組成計は杉元、谷垣、月島、鯉登の声優4人が初期設定や計測結果を音声でナビゲートし、体脂肪率が高いと作中キャラクターらしいセリフで声をかける演出も採用。予約は12月5日13時に締め切られ、発送は2026年2月下旬以降です(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 体組成計という毎日使う機器に、キャラクターの音声を組み込んだ点が新しいところです。グッズは棚に飾って終わることが多い中、これは「使うたびにファン体験が発生する」設計になっている。日用品メーカーがIPと組む際、見た目のデザイン変更だけでなく、使用時の体験そのものにキャラクターを組み込めるかが差になります。

空港とデベロッパーが、キャラクターとVRで体験を広げた

バンドリ!×羽田空港 ― Roseliaがキャビンアテンダント姿に

『BanG Dream!(バンドリ!)』は、羽田空港とのコラボレーション「世界へ羽ばたけ!バンドリ!×羽田空港スペシャルコラボ」を11月7日から12月7日まで開催しています。11月7日の記者会見では、ユニットRoseliaの5人がキャビンアテンダントの衣装で登場。対象店舗で1レシート3,000円以上購入するとオリジナルノベルティがもらえるほか、両ターミナルにフォトスポットやコラボ限定衣装の展示も設置されました。同作は今年10周年で、Roseliaはこの後アジアツアーを控えています(アニメ!アニメ!)。

研究所メモ: 空港という「移動の通過点」を、ファンにとっての目的地に変えている点が着目点です。海外ツアーの出発地という文脈と、CA衣装というビジュアルが噛み合っているため、単なる企業コラボ以上の説得力が生まれています。移動インフラを持つ企業にとって、通過されるだけの場所を体験化する余地はまだ大きいはずです。

シャープ×近鉄グループ ― バーチャルあべのハルカスに新型VR機器

シャープと近鉄不動産は、VRとメタバース分野での協業を開始したと発表しました。シャープが開発したVRグラス「Xrostella VR1」と、近鉄不動産が運営する累計1,600万人以上が参加したメタバース空間「バーチャルあべのハルカス」を組み合わせ、新たな体験を作ります。11月1日・2日の「きんてつ鉄道まつり2025」では体験ブースを共同展示し、12月1日から3日の「XR Kaigi 2025」でも共同出展を予定。あべのハルカスの夜景を題材にしたジェットコースター体験のVRデモも披露されます(Mogura VR)。

研究所メモ: 累計1,600万人という参加実績があるからこそ、新型デバイスとの協業が成立しています。ゼロからメタバース空間を作るのではなく、既存の資産にデバイスメーカーが乗る構図です。不動産や商業施設が長期間コンテンツを運用してきた実績は、後発企業にとっての提携価値そのものになります。

大型ファン体験施設への投資が、相次いで動き出した

ポケパーク カントー ― ポケモンが屋外型の常設施設を26年開業

株式会社ポケモンは、ポケモン初の屋外常設施設「ポケパーク カントー」を2026年2月5日にオープンすると発表しました。関東の遊園地「よみうりランド」の一部区画に開業予定で、広さは約2.6ヘクタール。ポケモンの生態を観察できる「ポケモンフォレスト」と、ポケモンセンターやジムを備えた街「カヤツリタウン」の2エリアで構成されています。チケット販売は11月21日18時から開始され、施設のチケットでよみうりランドにも入園可能です(電撃オンライン)。

研究所メモ: 既存の遊園地の一区画を使う形での常設施設という点が現実的です。ゼロから土地を確保するより初期投資を抑えつつ、既存来園者の動線に常設のIP体験を組み込める。長期運営を前提としたファン施設を検討する企業にとって、既存施設との共同開発は有力な選択肢です。

日本XRセンター ― キャナルシティ博多に100坪超のXR拠点

株式会社日本XRセンターは、直営施設「XR CENTER GAME SPACE 福岡店」を2025年12月に福岡市のキャナルシティ博多で開設すると発表しました。GENDAグループの株式会社ダイナモアミューズメントと共同運営し、施設は100坪超。ライド型VR「ウルトラ逆バンジー」やフリーローム型対戦VR「VRサバスポ INFINITY」に加え、中野ブロードウェイ店などで人気のサバイバルアクション「ZOMBIE STORM」も展開される予定です(PR TIMES)。

研究所メモ: ゲームセンターや映画館、キャラクター雑貨店が集まる商業施設の中に出店している点が要点です。単独で集客するのではなく、すでにファン層が集まる場所に相乗りする発想は、聖地巡礼の考え方とも近く、体験型コンテンツを持つ企業が新規出店先を選ぶ際の基準になります。

今週の所感

今週は、推し活の熱量を「数字」で語る企業が増えた週でした。

カバーの売上27.2%増、グリーの営業利益142.4%増、味ぽんの前年20万件のSNS投稿、鬼滅の刃の興行収入約350億円。いずれも企業側が具体的な実績値を公表し、ファンの熱量を可視化する形で発信していました。一方で、アニメ!アニメ!のアンケートが示した「金銭面」という悩みの多さは、その熱量が無尽蔵ではないことも同時に示しています。数字で語れるファン層ほど、支出の限界も同時に抱えている。

外食3社が同じ作品のIPを店舗と店頭に同時展開したように、単発の大型施策よりも生活動線上の複数点にコンテンツを置く動きも目立ちました。企業コラボの設計原則やファンマーケティングの手法とあわせて、自社のファン接点がどこに何点あるか、今週の動きを参考に点検してみてください。


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