ゲームセンターの聖地巡礼|高田馬場ミカドと秋葉原Heyで、遊びの記憶に触れる【推し活×聖地巡礼】
レバーとボタンの付いた白い筐体、横に三つの画面を並べた大型ゲーム、景品をつかむクレーン。高田馬場や池袋、秋葉原のゲームセンターには、異なる時代の遊びが集まっています。古いゲームを動かし続ける店、復刻商品と連動する企画、2026年に開いた新店舗に加え、秋葉原のレトロゲーム専門フロアや、大阪駅前のアーケードカフェも訪ねます。

高田馬場、池袋、秋葉原、大阪。古いゲームに会いに行く七つの店
1高田馬場ゲーセンミカド|基板を集めた店長がつくる店

高田馬場ゲーセンミカドは、オアシスプラザビルの1・2階にあります。JR高田馬場駅の戸山口から徒歩約30秒。公式の営業時間は10〜24時です。店長の池田稔は、子どもの頃から集めてきたゲーム基板を生かし、古いアーケードゲームを遊べる店をつくってきました。
2026年9月11〜27日には、タイトーとINHによる「超リアルアーケードコレクションPART2」を開催しました。家庭向けの『イーグレットツー ミニ』用追加ソフトに収録する十作品を、実物の「イーグレットツー」筐体で一斉に稼働させる企画です。家庭用ソフトの発売予定日は2027年3月25日。発売の約半年前に、店の画面と操作盤で遊べる機会を設けました。
サンダーブラスターを遊び続ける人たち
池田店長が2026年10月の取材で挙げた店の人気作の一つが、アイレムの『サンダーブラスター』です。ボタンを連打するとボムが出る仕組みで、連射装置を使えば楽に進めそうに見えても、実際には難しい。店では、一周で得点の上限に到達する遊び方を目指すファンもいると話しています。
同じインタビューで店長が思い入れを語ったのは、『ミスター・ドゥ対ユニコーン』でした。小学生の頃、上手な同級生や年上の子が遊ぶのを何度も見ていたため、ボーナスの取り方まで覚えているのに、自分の順番が来ず、十分に遊べなかったゲームだそうです。懐かしい作品の復刻には、昔の腕を取り戻すだけでなく、当時できなかった遊びを始める意味もあります。
出典:Gamer・2026年10月の池田稔、石黒憲一インタビュー
- 場所
- 東京都新宿区高田馬場4-5-10 オアシスプラザビル1・2階
- 店舗の特徴
- 店長・池田稔が集めた基板でレトロゲームやシューティング・格闘ゲームを稼働するゲームセンター
- 営業時間・アクセス
- 10時〜24時、JR高田馬場駅戸山口から徒歩約30秒
- 2026年秋の企画
- 2026年9月11日〜27日に1階で「超リアルアーケードコレクションPART2」を開催
出典:高田馬場ゲーセンミカド・店舗案内 ミカド・各店へのアクセス タイトー・9月の限定稼働企画と会期
2池袋ゲーセンミカド|ランブルプラザを引き継いだ二号店

池袋ゲーセンミカドは、池袋駅東口から徒歩約3分、東池袋1丁目にあります。公式の営業時間は10〜24時です。2018年10月21日、以前のゲームセンター「ランブルプラザ」の場所を引き継いで正式に開店しました。
池田店長は開店当時の取材で、建物のオーナーから閉店の相談を受け、店を引き継いだ経緯を話しています。正式開店の約3週間前から営業しながら店内を整えましたが、備品の整備やネットワークの見直し、不用品の処分が必要で、居抜きだから簡単だったわけではなかったそうです。
高田馬場で続けてきた中古基板の活用、イベントや大会、映像の生配信という運営が、別の街でも通用するか試す目的もありました。その一方で、仕事の合間に立ち寄り、『上海II』を少し遊んで帰るような客の居場所も残したいと語っています。
アニメ『ハイスコアガール』のゲーム画面も撮影
ミカドは、押切蓮介の漫画を原作とするアニメ『ハイスコアガール』のゲーム画面撮影にも協力しています。2018年の取材では、『モータルコンバット3』の更新前の基板を、アメリカから借りて撮影した例が紹介されました。苦労して用意したものの、作品で使われたのはタイトル画面だけだったそうです。
池袋店のマスコット「ミカドちゃん」も、押切蓮介が描いたものです。ゲームセンターを題材にした漫画、そのアニメ化を支える実機の撮影、作者が描く店のキャラクターという形で、作品と実店舗の交流が続いています。
- 場所
- 東京都豊島区東池袋1-42-19
- 店舗の特徴
- 2018年10月21日に旧「ランブルプラザ」を引き継いで開店したミカド2号店、押切蓮介描き下ろしマスコット「ミカドちゃん」を展開
- 営業時間・アクセス
- 10時〜24時、池袋駅東口から徒歩約3分
出典:池袋ゲーセンミカド・店舗案内 ファミ通・開店時の池田店長への取材
3秋葉原Hey|レトロビデオゲームから大型筐体まで

秋葉原Heyは、廣瀬本社ビルの1〜4階にあるタイトーのゲームセンターです。JR秋葉原駅の電気街口から徒歩約2分で、オレンジ色の大きな看板が目印。営業時間は10〜23時30分、年中無休です。
レトロビデオゲーム、音楽ゲーム、大型ビデオゲーム、プライズなどを扱っています。ビルにはエレベーターがあり、公式店舗ページではキャッシュレス決済やWi-Fiも案内されています。
2026年はHeyの開業25周年です。8月14日には4階で夏の物販イベントが行われ、新商品、再販品、過去に販売した商品の在庫を並べるワゴンセールを実施しました。同日には、タイトーの歴代会社ロゴと店舗ロゴを使ったミニアクリルスタンドも発売。ゲームだけでなく、会社や店の看板を記念品にした企画です。
- 場所
- 東京都千代田区外神田1-10-5 廣瀬本社ビル1〜4階
- 店舗の特徴
- レトロビデオゲーム、音楽ゲーム、大型ビデオゲーム、プライズを揃えるタイトーの店舗(2026年で開業25周年)
- 営業時間・アクセス
- 10時〜23時30分、年中無休、JR秋葉原駅電気街口から徒歩約2分
出典:タイトー・Hey公式店舗情報 タイトー・Heyの25周年と新店舗の案内
4Hey2|2026年に加わった、景品との出会いを楽しむ店

2026年8月8日、Heyの隣にクレーンゲーム中心の「Hey2」がオープンしました。所在地は廣瀬本社ビル2号館の1階。Heyが扱うビデオゲームや音楽ゲームに対して、こちらは景品を狙って遊ぶ機械を中心に構成しています。
- 場所
- 東京都千代田区外神田1-11-12 廣瀬本社ビル2号館1階
- 店舗の特徴
- 2026年8月8日に秋葉原Heyの隣に開業したクレーンゲーム中心の新店舗
- 営業時間・休館日
- 10時〜23時30分、年中無休
5RETRO:G(GiGO秋葉原3号館)|世界最古のアーケードゲームから並ぶ、レトロ専門フロア

Heyと同じ中央通り沿いの一本北の角に、赤い外壁のGiGO秋葉原3号館があります。その6階が、レトロゲーム専門フロアの「RETRO:G(レトロジー)」です。2021年7月21日、当時のセガ秋葉原3号館に開かれました。以前から名作アーケードゲームを多く置いていた店が、それらを専門のフロアとして拡充したものです。
名前は、Retro(レトロ)とTrilogy(三部作)を合わせた造語です。運営会社は、ゲームセンターの歴史を過去・現在・未来の三部作ととらえ、ゲーセン文化を後世へつなぐ思いを込めたと説明しています。掲げるコンセプトは「アーケードゲーム全盛期の熱量とゲームが体感できる場所」。対象は1980年代から2000年代の作品です。
開業時のラインナップには、世界最古のアーケードゲームとされる1971年の『コンピュータースペース』が入りました。任天堂の『ドンキーコング』とナムコの『ニューラリーX』は、どちらも1981年の作品で、純正のテーブル筐体が用意されました。
- 場所
- 東京都千代田区外神田1-11-11 GiGO秋葉原3号館6階
- 店舗の特徴
- 2021年7月21日開設のレトロゲーム専門フロア。1980〜2000年代のアーケードゲームを中心に稼働
- 営業時間・アクセス
- 毎日10時〜23時30分、JR秋葉原駅電気街口から徒歩約3分
出典:GiGO・RETRO:Gの公式ページ GiGO・秋葉原3号館の店舗情報 電ファミニコゲーマー・開設時の発表とラインナップ
6スーパーポテト秋葉原店|ゲームソフトの売り場の上で、筐体を遊ぶ

北林ビルの3〜5階にある、レトロゲームの専門店です。3階と4階はゲームとゲーム機の売り場で、ファミコンやメガドライブから、今では珍しい「ぴゅう太」やLSIゲームまでそろえています。ビルの入口には、店名を書いた黄色い看板が掛かっています。
最上階の5階は、懐かしい筐体を並べたゲームセンターです。千代田区観光協会の紹介では、1プレイ100円から。二人で対戦できるゲームも多く置かれています。同じフロアには駄菓子の売店と休憩スペースもあります。家庭用ソフトの売り場と、アーケードの筐体が一つのビルに収まっている店です。
- 場所
- 東京都千代田区外神田1-11-2 北林ビル3〜5階
- 店舗の特徴
- 3・4階がレトロゲームの売り場、5階がレトロゲームセンターと休憩スペース(駄菓子の売店あり)
- 営業時間
- 11時〜20時、年中無休
出典:スーパーポテト・秋葉原店の店舗情報 千代田区観光協会・スーパーポテト秋葉原店
7GiGO Arcade Café KITTE大阪|駅直結のカフェで、食事とレトロゲームを

JR大阪駅の西口改札から徒歩約1分、KITTE大阪の6階にある、カフェ・レストランとアミューズメントを組み合わせたGiGOの店です。掲げるコンセプトは「飲みながら、食べながら、遊びながらが新しい!」。ランチの前にダーツを楽しんだり、仲間と飲みながらレトロゲームで遊んだりできる空間です。
RETRO:Gの公式ページは、この店を秋葉原店と並ぶ「大阪店」として案内しています。秋葉原ではゲームセンターの1フロアを丸ごと使い、大阪では飲食とゲームを一つの空間でつなげています。同じ名前のレトロゲームの場が、二つの形で展開されています。
- 場所
- 大阪府大阪市北区梅田3-2-2 KITTE大阪6階
- 店舗の特徴
- カフェ・レストランとアミューズメントを組み合わせた店舗。RETRO:Gの大阪店
- 営業時間・アクセス
- 毎日11時〜23時(フードLO22時、ドリンクLO22時30分)、JR大阪駅西口改札から徒歩約1分
出典:GiGO・GiGO Arcade Cafe KITTE大阪の店舗情報 GiGO・RETRO:Gの秋葉原店と大阪店
古いゲームが、今も新しい遊びになる理由
筐体、基板、操作盤。それぞれ何をしているのか
筐体とは、画面や操作部分などを収めたゲーム機の外側の構造です。基板は、その中でゲームを動かす電子回路の板。操作盤にはレバーやボタンがあり、遊ぶ人の入力を受け取ります。ゲームのタイトルと機械の名前が別々に出てくるのは、こうした役割の違いがあるためです。
2026年10月の取材で池田店長は、古いゲーム基板を修理するための部品取り用基板も入手しにくくなったと話しています。以前は安い基板を買って部品を移せましたが、数が減り、価格も上がりました。ゲーム史研究や移植に関わる石黒憲一は、ブラウン管向けに作られ、液晶へそのまま映せないゲームもあると説明しています。基板の保管場所、交換部品、画面の寿命が、それぞれ稼働を続ける条件です。
縦画面を回し、レバーの方向を変える筐体
アーケード筐体の「イーグレットツー」は1996年に登場しました。その形を卓上サイズにした『イーグレットツー ミニ』では、4対3の液晶画面を回転させ、縦画面と横画面を切り替えます。レバーも四方向と八方向を切り替える構造です。
四方向の入力では上下左右、八方向では斜めも使います。画面の向きと操作の方式を切り替えられるのは、一つのゲームだけでなく、異なる遊び方の作品を同じ筐体で動かすためです。タイトーは、この比率の液晶を新たに開発して回転機構を組み込んだと紹介しています。
2022年3月2日の発売時点では、1978年の『スペースインベーダー』から1997年までの四十作品を内蔵していました。その後は追加ソフトを用意し、作品を増やしています。ミカドの2026年の連動企画では、この小さな家庭用の筐体を説明するために、原型の実物を並べました。筐体そのものの復刻と、ゲームソフトの移植が一緒になった製品です。
攻略の発見が続くと、発売年だけでは古さを測れない
2020年の取材で池田店長は、新作への入れ替えが激しかった頃には、一つのゲームを店で遊べる期間が短かったと振り返っています。ミカドで古い作品を長く稼働させると、発売当時には見つからなかった技術や攻略が発見される。ゲームのプログラムを変えなくても、遊ぶ側の研究が進むということです。
若いプレイヤーについては、過去の雑誌や口コミに頼っていた世代より、ネットを通じて多くの情報へアクセスできると語っています。古い作品を始めた年と、その攻略を知る時期は一致しません。発売から何十年もたった格闘ゲームでも、新たに参加した人が強い相手になる余地があります。
開発者と店の歩みを知ると、画面の見方が増える
- 1978年スペースインベーダーが登場作品
- 1986年10月ダライアスがAMショーで初披露作品
- 1987年2月ダライアスがゲームセンターで稼働開始作品
- 1996年イーグレットツー筐体が登場機器
- 2001年Heyと同ビルのNECCAが展開店舗
- 2004年池田稔が会社を設立、音楽・攻略映像を制作運営
- 2006年頃新宿の店舗を引き継ぎミカドを運営店舗
- 2009年ミカドが高田馬場へ移転店舗
- 2018年10月21日池袋ゲーセンミカドが正式オープン店舗
- 2020年8月29日星狩物語の大会を遠隔で公式配信配信
- 2022年3月2日家庭向けイーグレットツー ミニ発売機器
- 2025年7月31日白鳥会館のナツゲーミカドが閉店店舗
- 2026年8月8日秋葉原Hey2がオープン店舗
- 2026年9月11〜27日PART2の収録10作品を限定稼働、現在は終了催し
- 2027年3月25日予定アーケードコレクションPART2発売予定機器
西角友宏
電気回路の設計者としてタイトーへ入り、機械の動きを使うエレメカの後にビデオゲームを担当した開発者です。1978年の『スペースインベーダー』、1980年の『スペースサイクロン』をつくりました。
池田稔
ゲーセンミカドの店長です。高校卒業後にゲームセンターの店員になり、2004年に会社を設立。サウンドトラックCDや攻略DVDの制作を経て、集めた基板を客が遊べる店を運営しています。
西角友宏がつくった『スペースインベーダー』の手触り
『スペースインベーダー』は1978年に登場しました。開発者の西角友宏は、電気回路の設計者としてタイトーへ入り、機械の動きを使うエレメカを作った後、ビデオゲームを担当しました。制作に必要になってからプログラミングを学び直し、企画からプログラムまで一人で受け持っていました。
西角は、ゲームを動かすための仕組みも自分で作る必要があったと振り返っています。後年の復刻を担当した外山雄一が難しさを挙げたのは、音の再現でした。当時の機械では、同じ筐体でも状態や電源を入れてからの時間によって音が変わります。復刻版では、タイトーのサウンドチームZUNTATAの石川勝久が、再現する音を決めました。
出典:ファミ通・西角友宏氏と外山雄一氏への開発インタビュー タイトー・公式の歴史年表
テーブル筐体が、喫茶店へ広がった理由
西角友宏によると、『スペースインベーダー』のテーブル筐体は、最初から喫茶店専用として作ったものではありません。狭い場所にも多くのゲーム機を置けるよう、営業側の発想で小さくした結果、喫茶店にも広がったといいます。机の上をのぞき込んで遊ぶ形式は、立って画面に向かう筐体とは異なる姿勢を生みました。
ゲームの人気は、機械の内部にも影響しました。投入された硬貨をためる箱を従来の約四倍にしたのに、それでも足りなかったと開発者は振り返っています。遊べる場所も、ボウリング場や温泉地の一角から、ゲームをまとめて置く「インベーダーハウス」へと広がりました。
西角自身は、そのブームの間も、次の基板の描画性能を高めることを考えていたそうです。完成した作品を広める営業や、需要に応える製造の仕事と、次の画面を作る開発の仕事が、同時に進んでいました。
声の出る『スペースサイクロン』を復刻する
1980年の『スペースサイクロン』も、西角友宏が作ったゲームです。『スペースインベーダー』の基板をもとに開発し、音声を出す機能を使いました。声を担当したのは、開発当時に西角の隣の席にいた女性社員。敵が画面の下まで下りてロケットが完成すると、発射の準備を告げる声が出ます。
西角は、上手なテストプレイヤーの意見を聞いて調整を繰り返し、難しくしすぎたと振り返っています。家庭向け復刻を担当した外山雄一は、出荷数が少なく、子ども時代を過ごした長崎では作品の存在も知らなかったそうです。タイトーに残っていた基板を開発会社へ渡し、移植につなげました。
復刻では、売れた作品の知名度だけでなく、残っている基板が重要になります。少数しか出回らなかった作品でも、その機械が動けば、画面や音声、難しさを実際に確かめられます。『スペースサイクロン』は、開発者の記憶と残された基板が結び付いた例です。
ミカドは、ゲームを好きな人の企画から始まった
池田店長は高校を卒業後、ゲームセンターの店員になりました。2004年に会社を作った際には店舗を持つ資金がなく、メーカー公認のサウンドトラックCDや攻略DVDを制作。音楽や映像編集の経験を使った仕事を約2年続け、2006年頃に、雇われ店長をしていた新宿・歌舞伎町の店舗を買い取りました。
2009年には入居ビルが売却されることになり、高田馬場へ移転しました。好きなゲームの基板を集めるところから、音楽や攻略映像を制作し、店を運営するところへと仕事が広がっています。
温泉街から集めたゲームと、仙台から来たダライアス
池田店長は、古いゲームを求めて地方の温泉街を回ったこともあります。店に残っていた『アウトラン』を譲ってもらうため、比較的新しい『レイブレーサー』を持ち込み、交換を交渉したそうです。古い機械を処分する側と、それを探す側の希望を合わせて、筐体を移していきました。
ミカドの『ダライアス』の筐体は、仙台のゲームセンター「プレイランド エフワンR」で使われていたものでした。池田店長はオーナーから購入を持ちかけられ、実物を見に行きます。傷みがあり、価格も高く悩んだものの、店を開く際に『ダライアス』が必要だと考えて買いました。
『ダライアス』が初めて披露されたのは、1986年10月のアミューズメントマシンショー。ゲームセンターでの稼働は1987年2月からです。タイトーはお披露目の日である10月7日を節目として扱っています。大きな筐体を引き継ぐ仕事と、その作品が作られた日を記録する仕事によって、一台のゲームの来歴が残っています。
出典:ファミ通・池田店長が語る筐体の入手 / タイトー・ダライアスの発表と稼働開始
『グラディウスIII』が店から消え、基板を買った
池田店長が最初に基板を買ったきっかけは、好きだった『グラディウスIII』が店から姿を消したことでした。無敵になる技が見つかり、稼働する店が減ってしまったため、自分で基板を持つ必要があると考えたそうです。
ところが、家で動かすと部屋の蛍光灯が画面に映り込み、店で遊ぶ気分とは違った。結局、またゲームセンターへ通うようになったと話しています。一方、基板を持ったことで、設定を変えるスイッチや内部の仕組みを理解できました。遊ぶために集めた機械が、後に店をつくるための知識にもなっています。
2018年の取材で店長は、ミカドでは基板を飾るためではなく、客に遊んでもらうために使うと語っています。『ダライアス』も発売時には別の新作へ短期間で入れ替わったのに、ミカドでは長く稼働できたという話がありました。作品の発売年と、その店で遊ばれてきた年数は別々の歴史です。
Heyの歴史には、街の遊び方の変化も映る
タイトーの公式年表では、2001年に高性能PCを使うインターネット・カフェ「NECCA」が展開され、Heyのあるビルにも開いたことが記されています。家庭での接続やPC環境が今ほど整っていなかった時期、ゲームセンターのビルに、PCを使う別の遊び場も入っていました。
出典:タイトー・2001年の施設展開を記した年表 Hey2開業の発表
完璧なプレイだけを配信しない
ミカドの配信では、見事な攻略だけを見せるとは限りません。池田店長は2018年の取材で、視聴者に自分も遊びたいと思ってもらうため、あえて苦労しながら進むプレイを見せることがあると話しています。完成された技術に感心して終わるより、失敗を含めて挑戦する姿を映すという考え方です。
店には全国一位の得点を目指す人も、若い頃に最後まで進めなかったゲームへ再挑戦する人も来ます。発売時には合わないと思って離れた作品を、改めて遊び直す客もいるそうです。映像で作品を紹介する仕事は、昔の映像を保存するだけでなく、今そのゲームに硬貨を入れるきっかけにもなっています。
公式配信で、店と離れた場所にも続く大会を見る
ミカドの公式チャンネルには、2020年8月29日の「星狩物語」での『スーパーストリートファイターII X』大会を遠隔で配信した映像があります。プレイする店とは別の場所から実況を加え、試合を視聴者へ届けた記録です。
出典:ミカド公式サイト・配信チャンネル 池田店長・遠隔実況の取り組みを語ったインタビュー
ナツゲーミカドの閉店と、家庭向け復刻の展開
ナツゲーミカドは2025年7月31日に閉店
高田馬場の白鳥会館にあった「ゲーセンミカド×ナツゲーミュージアム」、通称ナツゲーミカドは、2025年7月31日に閉店しました。オアシスプラザビルの高田馬場ゲーセンミカドとは別の店舗です。
公式の閉店告知は、理由を賃貸借契約の満了とし、一部の筐体を高田馬場店・池袋店へ移設する方針を伝えています。また、別の場所で再始動を目指す意向も記されています。
店と家庭で、違う形でゲームに触れ続ける
2022年3月2日に発売された『イーグレットツー ミニ』は、1996年の筐体を卓上サイズで再現した家庭向けの機器です。小さな画面を回転させ、縦横の異なるゲームを遊べるようにつくられています。店で見た筐体の特徴を、家庭の机の上へ持ち帰る発想です。
2027年3月25日発売予定の『アーケードコレクションPART2』は、ユニバーサルとアイレムの十作品を収録します。1980年代初頭のアクションゲームから、1990年代のシューティングや横へ進む格闘アクションまでをまとめた追加ソフトです。
出典:タイトー・イーグレットツー ミニの発売と機構 タイトー・PART2の発売予定と収録作品
スマートフォンからアーケードへ来た『アカとブルー』
『アカとブルー』は、2017年にiOSとAndroidで配信されたタノシマスのシューティングゲームです。アーケード版は『アカとブルー Type-R』として展開されました。店から家庭へという移植とは逆に、スマートフォンで生まれた作品が、ゲームセンターのレバーとボタンで遊ぶ作品になった例です。
池田店長は、アーケード用の基板システム「exA-Arcadia」の立ち上げにも協力しました。このシステムはPCをもとにしており、四本のゲームを扱える構成です。2018年の取材では、ミカドで行った『アカとブルー Type-R』のロケーションテストの反応に触れ、シューティングを遊ぶ客の需要を感じたと話しています。
ゲームセンターは、完成したゲームを仕入れるだけでなく、開発中の作品を客が試す場所にもなります。店に集まるプレイヤーの反応を、製品化の前に開発側へ返せるからです。ミカドの活動には、昔の基板を動かす仕事と、新しいゲームが店で遊ばれるよう支援する仕事の両方があります。
十作品を一斉に稼働させた、2026年秋の企画
「超リアルアーケードコレクションPART2」で並んだ作品には、1980年の『チーキーマウス』、1981年の『レディーバグ』、1982年の『スナップジャック』、1983年の『ミスター・ドゥ対ユニコーン』が含まれます。いずれもユニバーサルのアクションゲームです。短い間に毎年生まれた異なる作品を、同じ店でまとめて遊ぶ構成でした。
家庭向けの復刻ソフトを紹介する試遊機ではなく、タイトー純正のアーケード筐体を使い、料金を入れて遊ぶ店舗の環境で稼働させた点が、この企画の特徴です。開催場所は高田馬場店の1階。17日間の会期を設け、メーカーの収録発表と店での体験をつなげています。
Heyが生まれたビルに、パソコンのゲーム空間もあった
秋葉原Heyの始まりは、レンタルで置いた数台のゲーム機でした。後にビルの二階から四階を借り、二・三階をゲームセンター、四階を「NECCA」とする形へ発展します。2001年7月に開いたNECCAは、高性能なパソコンでゲームを遊ぶ施設。韓国で広がっていたPCバンを参考にした企画でした。
家庭用ゲームの催しにも使われた同じビルの中に、アーケードの実機とパソコンのゲームが集まっていたのです。2026年の二十五周年企画では、Heyの歴代ロゴを使ったカプセル商品も登場しました。ゲームのタイトルに加え、通っていた店の看板にも年月が積み重なっています。
『ダライアス』の専用基板から、ゲーム音楽のアルバムへ
三画面の大型筐体で知られる『ダライアス』は、1986年10月のAMショーで初披露され、翌年二月に稼働を始めました。当時はゲームごとに専用基板を作る開発方式。タイトーは、独自のチップを製造する費用も課題となり、その後、複数のゲームで使える基板の開発へ進んだと振り返っています。
音楽もゲームセンターの外へ広がりました。1987年6月発売の『TAITO GAME MUSIC VOL.2 ダライアス』で、サウンドチーム「ZUNTATA」の名が初めて世に出ます。チーム自体の結成は1983年。プレイ中に聴く音をアルバムで聴く文化と、大きな筐体に座って音を浴びる体験が、この作品でつながりました。
『電車でGO!』を増産に導いた、店で遊ぶ人の反応
1997年3月に登場した『電車でGO!』も、最初から大量生産を予定したゲームではありませんでした。タイトーの回顧では、社内に販売を危ぶむ声があり、当初の生産台数を抑えていたといいます。それが、店頭での人気とテレビでの紹介を受け、毎月の追加受注へ結び付きました。
コインを入れた人の反応が、次に作られる台数を変えた例です。ミカドが新作のロケーションテストに協力してきたことも、この開発と店頭の往復につながります。昔のゲームを残す店舗でありながら、これから発売される作品を遊び、その反応を作り手へ返す場所にもなっているのです。
出典:タイトー・七十年の歩み、タイトー・Hey二十五周年とHey2開店
研究所メモ|ビジネスの視点から:復刻商品から、店で遊ぶ理由をつくる
タイトーとミカドの2026年9月の企画は、翌年発売の復刻ソフトに入る10作品を、実際の筐体で先に遊べる場にしました。商品を見せるだけでなく、操作して面白さを確かめる時間を用意した点が参考になります。
復刻ソフトの販売に合わせて、製品の原型になった筐体を店で動かしています。家庭向けの商品と実店舗の遊びを、同じ作品群で結んだ企画です。長く集めた基板と動かす設備がある店舗だからこそ、十作品をまとめて体験する場を用意できました。
よくある質問
高田馬場ミカドは、どの出口から近いですか?
JR高田馬場駅の戸山口から徒歩約30秒です。東京メトロの1番出口からは約45秒、西武新宿線の早稲田口からは約1分です。
高田馬場ミカドとナツゲーミカドは同じ店ですか?
別の店舗です。白鳥会館にあったナツゲーミカドは2025年7月31日に閉店しました。高田馬場ゲーセンミカドはオアシスプラザビル1・2階にあります。
池袋ミカドは、いつ開店しましたか?
2018年10月21日です。池袋駅東口側のゲームセンター「ランブルプラザ」を引き継ぎ、正式開店の約3週間前から営業しながら店内を整えました。
HeyとHey2では、遊べる内容が違いますか?
Heyはレトロビデオゲーム、音楽ゲーム、大型ビデオゲームなどを扱い、2026年8月開業のHey2はクレーンゲーム中心です。二つの店舗は隣接しています。
アーケードコレクションPART2の店舗企画は、いつ開催されましたか?
高田馬場店で2026年9月11〜27日に開催されました。家庭向け追加ソフトの発売予定日は2027年3月25日です。
ミカドとHeyのほかに、古いゲームを遊べる場所はありますか?
秋葉原では、GiGO秋葉原3号館6階のレトロゲーム専門フロア「RETRO:G」と、スーパーポテト秋葉原店5階のゲームセンターがあります。大阪では、JR大阪駅直結のKITTE大阪6階にあるGiGO Arcade Café KITTE大阪がRETRO:Gの大阪店です。
HeyとHey2の営業時間は?
どちらも10〜23時30分で、年中無休です。Heyは廣瀬本社ビル1〜4階、Hey2は隣の2号館1階にあります。
イーグレットツー ミニの画面は、縦向きにもできますか?
画面を回転させ、縦画面と横画面のゲームに対応できます。1996年のアーケード筐体「イーグレットツー」を卓上サイズにした家庭向けの機器です。



